2019年12月31日火曜日

2019年 安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり(LITERA)

 LITERAは今年も年末恒例の記事「安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり」を出しました。因みに昨年も下記の記事を出しています。
 いずれも あまたある中から8~15を厳選し、それぞれ発言時のTPOなども明らかにした労作です。

 今年の原題には「今年はサイコパスぶりがさらにエスカレート! ~」が冠されています。ここでいう「サイコパス」とは反社会的人格を持つ精神病質者のことで、その特徴は“ウィキペディア”によると
   良心が異常に欠如している   他者に冷淡で共感しない
   慢性的に平然と嘘をつく    行動に対する責任が全く取れない
   罪悪感が皆無         ・自尊心が過大で自己中心的
   口が達者で表面は魅力的
となっています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
年末特別企画 リテラの2019振り返り
今年はサイコパスぶりがさらにエスカレート! 2019年・安倍首相がついた真っ赤な嘘とインチキ総まくり
LITERA 2019.12.30
 今年もまた、リテラ年末恒例・安倍首相による「大嘘」振り返り企画をお届けする季節がやってきた。毎年、恥も反省もなく虚言を吐きつづける安倍首相だが、今年2019年も政策・外交の失敗、あるいは私物化疑惑をごまかすために山のような嘘を平然とついてきた。
 今回は、その嘘の山から厳選の8つの嘘を振り返ろう。まず最初は、新年早々、多くの国民の度肝を抜いた、この嘘からはじめたい。

◎大嘘その1 
「いま、土砂が投入されている映像がございましたが、土砂を投入していくにあたってですね、あそこのサンゴについては、移しております」
1月6日放送『日曜討論』(NHK)で
 今年がスタートしてたった6日目に飛ばした最初の嘘がこれ。安倍政権は前年12月14日に新基地建設のために辺野古の海への土砂投入をはじめたが、それを正当化した上、「サンゴは移した」と言い張った。しかし、映像のなかで土砂が投入されていた「埋立区域②−1」ではサンゴの移植はおこなわれていなかったのだ。
 しかも、通常国会でこの発言が問題視されると、安倍首相は「南側の海域に生息している保護対象のサンゴは移植したと(防衛省の幹部から)聞いている」と答弁。土砂が投入されている映像を指して「あそこのサンゴ」と言っていたのに、土砂が投入されているエリアの隣の区域を含む「南側海域のサンゴ」だとごまかしたのである。
 総理大臣が新年早々フェイク発言をテレビで垂れ流すという唖然とするような幕開けとなった今年。その後も安倍首相は嘘に嘘を重ねつづけたのだ。

◎大嘘その2
「いわば『100年安心』ということはですね、確保された」
6月10日、参院決算委員会
 今年5月に金融庁の審議会が「年金に頼るな、自分で2000万円貯めておけ」という報告書案をまとめていたことで一気に国民に不安が広がった「年金2000万円」問題。国会では「100年安心は嘘だったのか」と追及を受けた安倍首相だったが、「反論させていただきたい」と大見得を切り、「マクロ経済スライドによって『100年安心』という、そういう年金制度ができたということなんです」「マクロ経済スライドも発動されましたから、いわば『100年安心』ということはですね、確保された」などと主張。しかし、安倍首相はその「100年安心」の具体的な根拠を何ひとつ示さず、だらだらと「マクロ経済スライド」の説明をつづけ、「今年度の年金額は0.1%プラス改定になった」と強調しただけだった。
 だが、このプラス改定というのは年金を満額で受け取っている人の場合でたったの月67円の増額でしかない。しかも、安倍首相がその正当性を説きつづけている「マクロ経済スライド」によって、年金は「増えた」どころか実質的には「減って」いる。
 そもそも、年金は物価や賃金の上昇に合わせて上昇率分増えるが、マクロ経済スライドの実施は物価の上昇による年金支給額の上昇を抑制するもの。そして、年金の0.1%の増額改定に対し、今年1月に総務省が発表した消費者物価指数によると、物価上昇率は1%。つまり、安倍首相が誇る「年金額を増やした」という話は、実質的には0.9%のマイナスであって、年金が月10万円だったら月900円が減らされたというのが実態なのだ。
 その上、姑息にも参院選後まで公表をずらした財政検証の結果では、現実に近いケース5では39年後には所得代替率は44.5%となり、現実の経済状況とも一部重なるケース6では2052年には国民年金の積立金は枯渇。つまり、いまのような経済状況だと「100年安心」どころか、公的年金制度は約30年程度で破綻するという結果が出た。
 しかし、安倍首相はこうした現実を直視せず、さらにはこんな嘘まで国会で吐いたのだ。

◎大嘘その3
「たいへん残念なのは、先程の党首の議論でですね、年金の、いわば積立金が枯渇すると言ったとき、拍手が起こったことであります」
6月19日、党首討論
 年金問題がクローズアップされた党首討論では、当然、野党党首から厳しい追及がおこなわれ、国民民主党党の玉木雄一郎代表は2017年の全要素生産性では政府のシミュレーションでも「36年後に積立金が枯渇する」と指摘し、共産党の志位和夫委員長もマクロ経済スライドをやめて富裕層の保険料増額で「減らない年金」にすることを提案。だが、安倍首相は志位委員長の質問に答える番になったとき、前の質問者だった玉木代表の話を持ち出して「拍手が起こった」などと言い出した。ようするに、“年金積立金が枯渇することを喜ぶなんて、政府を批判したいだけだ、なんと卑しい”と印象付けようとしたのだ。
 しかし、これはとんだ「でっちあげ」だった。
 国会中継を確認すると、玉木代表が「いま総理がやるべきなのは、国民に、どういう年金の姿になっているのかを、正直に語る政治を実現することじゃないですか」などと語ったときに拍手が起きていたが、「積立金の枯渇」について言及したときは小さなどよめきが起きただけで、拍手の音は聞こえてこないのだ。
 起きてもない拍手をでっちあげて、野党に対して印象操作をおこない、年金制度追及をごまかす……。卑劣というか、これではデマで野党を攻撃しているネトウヨサイト以下と言ってもいいだろう。もし安倍首相が「嘘」という自覚がないとしたら、自分の都合のいいように事実をねじ曲げるサイコパスと言うほかない。

◎大嘘その4
「まるで私たちがですね、統計をいじってアベノミクスをよくしようとしている、そんなことできるはずないじゃないですか。そんなことできるはずがないんですよ」
2月4日、衆院予算委員会
 昨年末、「毎月勤労統計」の不正調査問題が発覚したことで、2018年の統計調査手法の変更によって賃金伸び率を上振れさせた“アベノミクス偽装”疑惑が浮上。しかも、調査変更をめぐっては、中江元哉首相秘書官(現・財務省関税局長)や菅義偉官房長官が厚労省に圧力をかけるなど暗躍していたことまで判明したが、安倍首相は統計調査変更による“アベノミクス偽装”を否定し、こう逆ギレしてみせたのだ。
 しかし、「できるはずがない」と言うものの、実際に2018年の実質賃金伸び率は1〜11月で5カ月がプラスとなっていたものが、実態に近づけた野党側の試算ではプラスになったのは1カ月だけ。厚労省もこの結果を「(厚労省が試算した場合も)同じような数字が出ると予想される」と認めている。いや、そもそも安倍政権は2016年12月にGDPの計算方法を変更し、それによって名目GDPを大幅にかさ上げするという“前科”まである。そして、安倍首相はその恣意的な数字を強調し、「名目GDP過去最高」などとアピールに使ってきたのだ。
 統計をいじってアベノミクスの効果を演出する。これは国民を欺く詐欺的行為だが、安倍首相は「そんなこと」までしてしまっているということの重大性を、いま一度考えるべきだろう。
 
◎大嘘その5
「(トウモロコシを)買うのは民間、政府ではない」
8月25日、日米首脳会談後の記者発表で
「中国がやると言ったことをやらなかったから、国中でトウモロコシが余っている。代わりに日本の安倍総理が、すべてのトウモロコシを買うことになった」。首脳会談後にわざわざ予定になかった記者発表を開くと、トランプ大統領がごきげんな様子で切り出したこの話題。しかも、トランプ大統領は安倍首相にも「トウモロコシについても発言を」と催促し、対する安倍首相は、まずいと思ったのか「買うのは民間、政府ではない」とやんわり訂正したのだった。
 まるで民間企業が買うのであって政府は関係ないと言わんばかりだが、実際は違う。農水省は飼料用トウモロコシの前倒し購入を決めた企業に対して保管料や購入代金の金利分の補助をおこない、この補助には最大32億円の税金が投入されるのだ。
 しかも、ひどかったのは、この“トウモロコシ爆買い”を正当化するために安倍政権が「害虫被害のため」などとさらなる嘘をついたこと。これには農家からも「それほど被害は出ていない」「影響はあまりない」という声があがっていたが、それを裏付けるように、米国産トウモロコシ購入の補助制度は9月に募集を開始したのに、3カ月ものあいだ申請はゼロ。今月中旬にようやく初めての申請があったという。
 最終合意した日米貿易交渉も安倍首相は「両国にとってウィンウィンの合意」などと言ったが、それも大嘘で、日本がアメリカに売り渡す農産物市場はなんと約72億ドル(約7800億円)。トランプのために際限なく国益を差し出す“ケツ舐め外交”を、恥もなく安倍首相は来年もつづけるのだろう

◎大嘘その6
「『令和』というのは、いままで中国の漢籍を典拠としたものと違ってですね、自然のひとつの情景が目に浮かびますね」
4月1日、『ニュースウオッチ9』出演時に
 新元号の発表を政治利用し、平成のときになかった会見まで開いて、勝手な解釈で自分の政策との関連をアピール。テレビ番組に出演して、まるで自分が元号を決めたかのような発言を繰り返した安倍首相だったが、なかでも失笑を買ったのはこの“日本スゴイ”アピールだ。
 そもそも日本の古典文学は基本的に中国や朝鮮の影響下でつくられているものであり、いくら「国書典拠」を強調したところで、日本固有の文化、中国排除などできるはずがない。現に、「令和」の典拠は『万葉集』の梅花の歌の序文だが、それも中国由来の漢文調で書かれたものだ。しかも、「令和」の大元には張衡(78〜139)という後漢の役人・学者が残した「帰田賦」があると専門家らが指摘。安倍首相は「自然のひとつの情景が目に浮かびますね」などと言うが、じつは「帰田賦」そのものが自然の情景を描いているのである。
 漢文の教養なんて何もないくせに知ったかぶりをして恥をさらすとは、この総理大臣は救い難いものだが、ネット上ではこの「帰田賦」の作者である張衡が“権力の腐敗に嫌気がさして田舎に引っ込んだ役人”であったことが話題に。本サイトが調べたところ、張衡は〈法を遵守する者が災難に遭うご時世〉(明治書院『新釈漢文体系』81巻 通釈より)などと憂い、腐敗と忖度にまみれた政治を批判していた(詳しくは既報参照)。
 ようするに、「おれは国書を典拠とする元号をつけた初めての総理だ」と悦に入るものの、実際は自らの政権とそっくりな不正と忖度官僚の跋扈を嘆いた中国の役人の言葉を元ネタとする元号をつけてしまっていた、という大オチがついたのだった。

◎大嘘その7
「私が言っていること、嘘だって言っているんでしょう? それは非常に無礼な話ですよ。嘘だって言っているんでしょ、あなたは。本当だったら、どうするんです、これ。あなた、嘘だって言ってるんだから!」 
「私が嘘を言うわけないじゃないですか!」 
2月13日、衆院予算委員会 「お父さんは違憲なの?」
という話は本当かと問われて
 安倍首相が9条に自衛隊明記する改憲の理由としてしきりに持ち出していた、「自衛官が息子に『お父さんは違憲なの?』と目に涙を浮かべながら言われた」というエピソード。国会では、小中学校と自衛隊駐屯地のそばで育ったという立憲民主党の本多平直議員が「こんな話が出たことがない」と質疑のなかで述べると、安倍首相は血相を変えてこうまくし立て、「資料を出せと言うんであれば出させていただく」と大見得を切ったのだった。
 これまでさんざん国民に嘘をついてきた安倍首相が「私が嘘を言うわけないじゃないですか!」と言っても何の説得力もないが、じつはこの話題でも安倍首相は嘘をついていたことがわかった。というのも、その後の衆院予算委で、出すと言っていた資料も出さず、「防衛省担当の総理秘書官を通じて、航空自衛隊の幹部自衛官から伺った話」と答弁したからだ。
 「自衛隊の幹部から聞いた」「ある自衛官から聞いた」と語ってきたのに、実際には又聞きだった……。しかも、本サイトが調べたところ、「お父さん違憲なの?」のネタ元だと思われる元自衛官の話が「正論」(産経新聞社)に掲載された2017年6月と同時期に、同じような話が極右界隈で語られはじめていた。ちなみに安倍首相が9条に自衛隊を明記する改憲案をぶちあげたのは同年5月。つまり、改憲案を正当化するために改憲勢力や自衛隊出身の右派論客などが古いエピソードを持ち出した疑いがあるのだ(過去記事参照)。
 安倍首相は同じように「自治体の6割以上が自衛官募集の協力を拒否している」という話を喧伝していたが、これも本当は9割が協力していたことがわかっている(https://lite-ra.com/2019/02/post-4546.html)。来年、安倍首相が改憲に向けて猛突進することは間違いないが、こうした嘘に騙されてはいけない。

◎大嘘その8
「私は招待者のとりまとめ等には関与していない」
11月9日、参院予算委員会
 やはり今年の安倍首相がついた嘘の大トリを飾るのは、「桜を見る会」問題しかあるまい。問題に一気に火がついた11月8日の参院予算委では、「後援会や支援者の招待枠を自民党内で割り振っているのでは」という共産党・田村智子議員の追及に対し、「私は主催者として挨拶や招待者の接遇はおこなうのでありますが、招待者のとりまとめ等には関与していないわけであります」と答弁した安倍首相だったが、次々と証拠や証言が出てくると、約1週間後の16日に不意打ちでおこなった記者団のぶら下がり取材で「私、そして官房長官、官房副長官からの推薦を長年の慣行で受けていた」と発言。同月20日の参院本会議では「私の事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募ってきたと承知している。私自身も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」などと、しれっと推薦に関与していたことを認めたのだ。
 どうしてこうも簡単にバレるような嘘をついてごまかそうとするのか──。しかも、ここにきて招待区分「60」が総理枠であることを示す公文書が公開され、悪徳マルチ商法のジャパンライフ山口隆祥会長(当時)を招待したのが安倍首相であることは確定的となった。安倍首相は「山口氏と1対1のようなかたちで会ったことはなく、個人的な関係は一切ない」と答弁しているが、なぜ個人的関係が一切ない人物を安倍首相は招待したのか。またも虚偽答弁の可能性が出てきたのである。
 「桜を見る会」問題はこれにとどまらず、「前夜祭」や招待者名簿破棄問題をめぐってもあきらかに嘘としか思えない説明をおこなってきた安倍首相。来年の通常国会では、安倍首相がついた嘘をすべて徹底的に暴くほかない。
-----------------------------------------------------------------------
 安倍首相の嘘を振り返ったこの企画、いかがだったろうか。しかし、安倍首相の発言で問題なのは、嘘だけではない。詭弁に驕り、そしてアホ丸出しのバカ発言については、あらためてまとめて紹介するので、そちらもご期待いただきたい。(編集部)