2019年12月24日火曜日

山口敬之氏の不逮捕・不起訴は 政権による「刑事司法の私物化」

 ブログ「半歩前へ」が、東京新聞「本音のコラム」に前川喜平元文部次官が寄せた一文を紹介しました。山口敬之強姦事件についてのものです。
 前川氏は、「刑事と民事で判断が分かれた」と言われるが、裁判所は刑事の判断をしていないので「検察と裁判所で判断が分かれた」と言うべきだとし、不起訴の背景に「法の不備」や「立証の困難さ」があるという声もあるが、真の理由は「政権による検察の支配」なのではないか山口元記者逮捕も起訴もされなかった背景には、安倍政権による「刑事司法の私物化」という恐るべき疑惑が存在すると述べています。

 この件に関しては「世に倦む日々」氏が、詩織さん事件の3つのキーワードとして、人間の尊厳、グロテスク、権力犯罪を挙げています。

「人間の尊厳」は詩織さんにかかわるもので、人間の尊厳が傷つけられた詩織さんがそれを取り戻すために取った勇気ある行動に真実を訴える純白な精神に感動を受けた。勇気づけられた弱者の一人として感謝したい。2年間、否、4年間、本当によく耐えて頑張ってきた」、「伊藤詩織(さん)は人間の尊厳の代名詞「気高く犯しがたいシンボルと惜しみない賛辞を贈っています。

グロテスク」は山口敬之氏への形容詞であり、彼が鉄面皮にも堂々とマスコミの前で開き直り人の尊厳を傷つけて平然と居直り、権力の庇護と優越の立場を見せつけていることに対するものです。

「権力犯罪」は説明を要しませんが、「世に倦む日々」氏は、日本の言論界でそうした論調が殆どないことを憂いています。

 紙数の関係で紹介できませんので、興味のあるかたは下記からアクセスしてください。

 併せて日刊ゲンダイの記事「詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑」を紹介します。
 これは詩織さんが先の記者会見で明らかにしたもので、まだ山口氏を起訴するかどうかの結論が出ない201510に、安倍首相が、笹川平和財団に、山口氏をワシントンDCにあるシンクタンク「イースト・ウエスト・センター」に派遣して欲しいと要請したという件です
 この件についてはLITERAも取り上げていますので、興味のあるかたは下記からアクセスしてください。
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安倍政権による「刑事司法の私物化」が要因と前川喜平!
半歩前へ 2019年12月22日
 前川喜平元文部次官が、山口敬之の強姦事件について東京新聞「本音のコラム」に一文を寄せた。
 この中で、山口が逮捕も起訴もされなかったのは安倍政権による「刑事司法の私物化」という恐るべき疑惑が存在するからであると喝破した。
 みんな、前川さんと同様に思っている。現役官僚にこういう人がおれば、今の景色はずいぶん変わっていたのではないか。
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前川 喜平が書いた「山口敬之 元 記者の事件」

 伊藤詩織さんが山口敬之元TBS記者を性的暴行で訴えた民事裁判は、伊藤さんの完全勝訴だった。やっと正義(の一部)が実現された
 しおりさんの勇気ある行動に心から敬意を表したい。
 しかし判決の事実認定に照らせば、準強制性交罪が成立するはずだ。なぜ立件されなかったのか
 
 山口元記者には逮捕令状が出ていた。逮捕直前に警視庁の中村格刑事部長(当時)がその執行停止を命じた。
 この行動がまず異常だ。
 山口元記者は安倍夫妻と交友関係があり『総理』という本も書いていた。官邸に人脈もある。中村元部長は菅官房長官の秘書官だった。逮捕中止は官邸の指示だったのではないか?
 東京地検が山口元記者を不起訴にしたのも、被疑者が首相のお友だちだからではないか?
 検察審査会の結論も「不起訴相当」だったが、審査会事務局が素人の審査員を誘導したのではないか?

「刑事と民事で判断が分かれた」と言われるが、裁判所は刑事の判断をしていない。「検察と裁判所で判断が分かれた」と言うべきだ。
 不起訴の背景に「法の不備」や「立証の困難さ」があるという声もあるが、真の理由は「政権による検察の支配」なのではないか?
 山口元記者はなぜ逮捕も起訴もされなかったのか? そこには、安倍政権による「刑事司法の私物化」という恐るべき疑惑が存在するのだ。


詩織さん重要発言 安倍首相に山口氏“海外逃亡”根回し疑惑
日刊ゲンダイ 2019/12/23
 ジャーナリスト・伊藤詩織さんと元TBS記者の山口敬之氏のレイプ民事裁判。東京地裁が山口氏に330万円の支払いを命じ、詩織さんの“完勝”に終わった。大手メディアは報じていないが、詩織さんは19日の会見で重要な発言をしている。安倍首相が、山口氏の“海外逃亡”に手を貸した疑いがあるというのだ。

 詩織さんによると、安倍首相は2015年10月、笹川平和財団で講演した見返りに、山口氏をワシントンDCにあるシンクタンク「イースト・ウエスト・センター」に派遣して欲しいと笹川平和財団に要請したという。一部報道によると、イースト・ウエスト・センターと笹川平和財団は協力関係にあり、実際、山口氏は16年にセンターのHPに客員研究員として紹介されていたという。
 問題はその時期だ。山口氏は15年6月8日に逮捕されるはずだったが、直前に見送られた。同年8月26日に書類送検され、約1年後の16年7月22日に不起訴処分となっている。詩織さんの言い分が正しければ、まだ検察による捜査が続いている時期に、安倍首相はワシントンDCに“避難”させようと根回ししたことになる。検察の捜査と、メディアの取材攻勢から逃れるため、便宜を図ったのだろうか。

 詩織さんは、一連の経緯をイースト・ウエスト・センターの責任者から直接、聞いたという。 
 詩織さんによれば、通常、イースト・ウエスト・センターのフェローは非常に難しい複雑なプロセスを経て選出されるが、山口氏のケースは笹川平和財団からの直接の依頼で選ばれた。これは非常にイレギュラーなケースだという。
 山口氏については不思議なカネの流れもある。週刊新潮によると、彼が生活していたのはキャピタル東急(東京・永田町)の賃貸レジデンスで広さは239平方メートル。毎月の家賃はなんと200万円だ。
 しかも、この恐ろしく高額な家賃は、安倍政権と近く、国家事業を請け負っていた「ペジーコンピューティング」というベンチャー企業の元社長・斉藤元章被告が払っていたと報じられている。
 斉藤被告は事業費を水増しし、助成金約4億3100万円をだまし取った疑いで17年12月に逮捕されたいわくつきの人物だ。

 元衆議院議員で政治学者の横山北斗氏が言う。
「詩織さんの新証言は衝撃的です。レイプ事件の最大の焦点は、権力者と近いから山口氏は逮捕を免れ、起訴もされなかったのではないか、ということです。そのうえ、アメリカへの避難にまで協力していたとしたら大問題です。いったい真相はどうなのか。大手メディアも、国会も、徹底的に追及すべきでしょう」
 控訴審はどんな展開になるのだろうか。