2019年12月25日水曜日

二階・菅氏が絡むカジノ疑惑に検察が踏み込む理由

 自民党の二階幹事長が20日、台風19号の被害を受けた栃木県内を視察した際の報道陣へのぶら下がりで、ある記者から東京検特捜部から任意聴取された秋元司衆院議員について聞かれると、突然激高し、色をなして記者を罵倒したということです。
 秋元議員は二階派なのですが、それだけであれほど激高するとは思えないので、その件に触れられたくない何かの事情があるのかと想像させました。

 自民党が国内での根強いカジノ反対運動を押し切って、カジノ運営を可能にする「統合型リゾート(IR)実施法」を成立させたのは18年7月でした。
 安倍首相がトランプ氏から厳命されたからと当時も言われていました(LITERA)

 安倍氏とトランプ氏の初の日米首脳会談は17年29日に行われましたが、その前日にトランプ大統領はホワイトハウスで、米ラスベガスなどでカジノを運営する企業「ラスベガス・サンズ(LVS)」を経営する世界的な富豪として知られるシェルドン・アデルソン氏と夕食をともにしています。そして翌10日朝、安倍首相が全米商工会議所などが主催する朝食会に出席した際に、同席したアデルソン氏が安倍首相に対して直接、カジノの件を話題にしたということです。

 アデルソン氏は、16年にトランプ氏が大統領選を争った際に選挙費用として2000万ドル(約21億円余)を寄付したといわれ、トランプ氏の最上級の支援者です。従って彼の希望をトランプ氏が安倍首相に強要しないということはあり得ないのでした。
 要するにカジノ誘致もまた「安倍首相案件」であるということです。

 東京地検特捜部は近く秋元議員を逮捕すると見られていますが、これまで安倍政権のあらゆる疑惑をスルーして来た特捜部が、何故ここにきて積極性を見せだしたのでしょうか。疑惑の金額は数百万円ではなく数億円の筈という説もありますが、それだけでは疑問は晴れません。

 LITERAが今回検察が立件に向けて動き出した背景には、これまで特捜部のすべての立件を阻止した元凶 “安倍政権の番犬”といわれてきた東京高検検事長の黒川弘務氏に対して検察内部で彼のあまりにも政権べったりの姿勢とその強権支配への、反乱の動きが起きていることがあると報じました
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自民党・秋元司衆院議員の逮捕Xデイが目前に! 
二階幹事長や菅官房長官も絡むカジノ疑惑に検察が踏み込む理由
LITERA 2019.12.22
 自民党・秋元司衆議院議員が中国企業関係者による外為法違反事件にからみ、週明け、東京地検特捜部に逮捕されるとの情報が入ってきた。
「特捜部はすでに秋元議員の元政策秘書らを事情聴取していますが、元秘書らは完落ちし、証拠資料も提出しているらしい。19日に議員会館の秋元氏の事務所に家宅捜査をかけたのも、それをふまえてのことです。特捜部としては、通常国会が始まる1月20日以前には秋元議員本人を起訴に持ち込む予定で、12月24日に逮捕に踏み切るのではないかといわれています。一方で、当局は年またぎの勾留を避ける傾向もあるので、年明けになる可能性もゼロではないですが、勾留期限を考えると、やはり年内、それも今週前半での逮捕の可能性が高い」(全国紙社会部記者)
 いずれにしても、もし秋元議員が逮捕されたら、安倍政権を大きく揺るがす事態となるだろう。というのも、すでに報じられているように、この外為法違反事件の本丸は、安倍政権が強行したIR、カジノをめぐる汚職だからだ。

 今回、外為法に違反したとされるのは、中国のカジノ企業の関係者。この企業は、沖縄と北道のIR事業参入を目指し、2017年10月に日本法人を設立しているが、その日本法人元役員の外国人男性とアドバイザーを務める日本人男性が、日本国内に違法に数百万円を持ち込んだと報じられた。
 そして、この中国カジノ企業の日本人アドバイザーと非常に親しく、中国企業のIR参入に全面協力していたのが秋元議員だった。
 秋元議員はIR推進の超党派議連の中心メンバーで、2016年12月には衆議院内閣委員会の委員長として、IRの整備を推進する法案を強行採決。その後、2017年8月から今年9月まで国土交通省と内閣府の副大臣を務め、去年10月まではIRを担当している。

 ところが、その秋元議員は2017年8月、この中国企業が那覇市で開いたIRのシンポジウムに中国企業のCEOとともに基調講演を行い、IRの展望などを語っていた。また、副大臣在任中の2017年12月に、中国・深センにあるこの中国企業の本社を訪問し、経営トップなどと面会したことや。翌年4月、中国企業の社員が秋元氏の執務する国土交通省副大臣室を訪れていたことも判明した。また、この中国企業はIR参入を北海道留寿都村に絞り、村の幹部と度々接触していたが、その仲立ちをしたのも秋元議員ではないかといわれている。
「特捜部は外為法違反に問われている中国企業の日本人アドバイザーから、秋元サイドに多額の金が流れているのではないかと見て捜査を進めているんです。証拠も内部資料などをかなり固めていると聞きます。あとは、秋元議員だけの問題で終わるのかどうか。秋元議員と中国カジノ企業のIR参入働きかけの裏には、自民党の二階(俊博)幹事長や、菅義偉官房長官も関係していたという話もありますから」(前出・全国紙社会部記者)

菅官房長官の意を受け捜査を潰してきた黒川弘務東京高検検事長への反発が検察内部で爆発
 たしかに、二階幹事長は秋元氏の派閥の親分で、連携してIR利権に動いていたのは有名な話だ。秋元議員が国交副大臣時代に出版し、IRの必要性を説いた著書『世界から大富豪が訪れる国へ 日本の極みプロジェクト』(CCCメディアハウス)にも、二階氏は「新たな成長戦略を描く秋元氏のチャレンジ。ぜひ、多くの人に知ってもらいたい」と推薦文を寄せている
一方、菅官房長官もIRの管理をする内閣官房の責任者というだけでなく、地元の神奈川、沖縄、北海道で自らの人脈にIRをやらせようときな臭い動きをしていた
「とくに、北海道は今年春の道知事選で鈴木直道知事を擁立したのも、目的はIR誘致させるためだったんじゃないか、ともいわれていた。結局、鈴木知事は11月29日になって『環境への配慮』という意味不明な理由で誘致見送りを表明したが、これは、特捜部が秋元議員のIR北海道誘致を標的にしていることを知った菅官房長官が手を引かせたんじゃないか、といわれている」(政界関係者)
 もし秋元議員が逮捕されたら、直接、捜査の手は伸びなくても、二階幹事長、菅官房長官に政治的ダメージを与えるのは確実だろう。

 しかし、だとしたら、改めて不可解なのは検察の強気な姿勢だ。第二次安倍政権以降、検察の政界捜査は周知のようにことごとく潰されてきた。明らかな選挙法違反">公職選挙法違反の小渕優子経産相(当時)の事件では、秘書が政治資金規正法違反で在宅起訴になっただけで、本人はおとがめなし。贈賄を証言する当事者まで現れていた甘利明経済再生相(当時)の事件では、甘利本人はもちろん、秘書も立件されなかった。そして、これらは、菅官房長官ときわめて近く “安倍政権の番犬”といわれてきた東京高検検事長の黒川弘務氏が捜査潰しをした結果、といわれてきた。
 にもかかわらず、今回、検察はなぜ、菅官房長官に政治的ダメージを与えるような捜査に踏み込もうとしているのか。実は、検察内部ではいま、黒川高検検事長のあまりに政権べったりの姿勢とその強権支配に対して反乱の動きが起きているのだという。
 この問題については、別稿でレポートしたいと思うが、特捜部には圧力に屈することなく。今度こそIR、カジノの闇を暴く政界捜査を貫徹してもらいたい。 (田部祥太)