伊藤詩織さんの民事訴訟での勝利を機に東京地検の不起訴処分に批判が集まっています。山口敬之氏が“アベ友”だったため、逮捕に続き起訴も免れたのではないか。起訴して刑事裁判で白黒ハッキリさせるべきだ、というものです。
しかし17年5月の詩織さんの不服申し立てに対し、検察審査会が同年9月に「不起訴相当」の決議を下しているため、「一事不再理」により詩織さんは再度申し立てできないということです。
ところが、検察審査会の審査に疑惑があったとしたら話が違ってくるとして、日刊ゲンダイが「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」の八木啓代代表の調査結果を報じました。
別掲の植草一秀氏の記事にもある通り、検察審査会は最高裁事務総局が管轄しているにもかかわらず、(実際に開かれたのかどうかの疑惑まで含めて)不明朗なことが多すぎます。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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詩織さんの不服を却下 アベ友「不起訴」検察審査会の疑惑
日刊ゲンダイ 2019/12/25
伊藤詩織さんが元TBS記者・山口敬之氏からのレイプ被害を訴え、勝訴した民事訴訟。東京地裁が「合意のない性行為」と事実認定したことを受け、東京地検の不起訴処分に批判が集まっている。山口氏が“アベ友”だったため、逮捕に続き、起訴も免れたのではないか。起訴して刑事裁判で白黒ハッキリさせるべきだ――。そんな声が湧き起こっているのだ。
だが、検察自ら腰を上げ起訴する「再起」の道はあるものの起訴は極めて困難だ。2017年5月の詩織さんの不服申し立てに対して、検察審査会が同年9月「不起訴相当」の決議を下しているからだ。検察審査会は有権者からくじで選ばれた11人の審査員が、「不起訴」の妥当性を判断する制度。「一事不再理」により、詩織さんは再度申し立てできないのである。
ところが、検察審査会の審査に疑惑があったとしたら話が違ってくる
「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(八木啓代代表)の情報開示請求に対して、東京第六検察審査会は昨年12月、一部文書を開示しているのだが、八木代表は驚いたという。
「通常、法的なアドバイスをする補助弁護士が付くのですが、詩織さんの審査会にはいませんでした。審査員は法的な論点を理解できません。また、どんな証拠が提出され、どのような議論を経て『不起訴相当』の判断に至ったのかの理由が一切示されていないのです。ちゃんと審査されたのか疑問です」
不透明で異例ずくめ
例えば、小沢一郎衆院議員の陸山会事件を巡って、2013年に検察審査会が下した「不起訴不当」の決議では、A4で14枚にわたって詳細な理由が示されている。
さらに、八木代表の目を点にさせたのが、審査員選定の立会人だ。過去には立ち会った検事と判事の実名が開示されていたが、詩織さんの審査会分はなぜか黒塗りだった。突然の不可解な変更について、八木代表が審査会に問うと事務局は「自筆署名なので個人情報とみなし、今回から不開示にした」と答えたという。
「安倍案件である森友問題と詩織さんの検察審査会は、不透明で異例ずくめという印象です。恐ろしいのは、市民が下した判断だけに“悪しきお墨付き”になること。実際は、政治介入の余地があり、そのことを外から一切検証できないのです。まずは、メディア、国民が検察審査会に関心を持つことが必要です」(八木代表)
安倍政権が検察審査会まで押さえているとすれば、アベ友は安泰か。もはや法治国家とは言えないんじゃないか。