2019年12月29日日曜日

秋元事件は氷山の一角 もっと怪しいのは安倍とトランプ

 秋元司衆院議員(自民)が中国に本社を持つカジノ関連業者から370万円を受け取ったという収賄容疑で逮捕されましたが、元はと言えば安倍首相とトランプ大統領の密約(事実はトランプ氏からの厳命)に端を発しているカジノ誘致問題が、そんなことで済むはずがないことは国民が直感しているところです。
 日刊ゲンダイがそのものズバリ、「秋元事件は氷山の一角 もっと怪しいのは安倍とトランプ」とする記事を出しました。一体政権。政界の腐敗はどこまで広がって行くのでしょうか。
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秋元事件は氷山の一角 もっと怪しいのは安倍とトランプ
日刊ゲンダイ 2019/12/27
この事件が突破口にならなければ、単なるガス抜き
「成長戦略の柱」なんてカッコつけてきたが、言うまでもなく、カジノは莫大なカネが動くギャンブルだ。有象無象が群がり、賄賂が飛び交う。そんな怪しさの一端が白日の下にさらされたというのが今度の現職国会議員の逮捕劇なのである。
 秋元司衆院議員(48)の容疑は、カジノを含む統合型リゾート(IR)参入を目指していた中国企業「500ドットコム」側から現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたというもの。現金の授受は永田町の衆院議員会館の秋元の事務所で行われ、2017年秋の衆院選を前にした「陣中見舞い」の名目だった疑いがあるという。
 そうした形で、中国企業側がIR担当の内閣府副大臣だった秋元に近づき、要望したのは、IRの整備地域を5カ所に増やすことだったようだ。当時、整備地域の数を巡って与党内で対立があり、自民が「4、5カ所」、公明は「2、3カ所」を主張。結局3カ所となった経緯がある。秋元にどの程度の影響力があったのか分からないが、とにかく中国企業側はIR参入の可能性を広げることに必死だったのだろう。
 秋元と一緒に逮捕された中国企業の顧問・紺野昌彦容疑者(48)のSNSには、地元事務所が家宅捜索を受けた白須賀貴樹衆院議員(44)ら自民党議員の名前や写真がゾロゾロ出てくる。うさんくさいコンサルタントから金品を受け取っていた政治家が他にもいる可能性もある。
 法律や規制など参入障壁のあるところには贈収賄、裏取引、業者の跋扈、政治家の暗躍がはびこりやすい。カジノはその最たるものだと言えよう。
 元経産官僚の古賀茂明氏がこう話す。
刑法が禁じる賭博から『カジノ』を除外しなければならないので新法を作ったわけです。具体的な規制を強めたり弱めたりするのは役所ですが、その際、関係業者が役所に要望を出すと最初は官僚は難しい顔をする。そこで族議員が口添えをすると、官僚が最後は要望に応えるという芝居をするのです。すると、業者は『先生、お世話になりました』と族議員に謝礼したり、選挙で協力したりする。役人への見返りは天下り先の提供です。カジノなら、『遊戯機器メーカー』『ディーラー養成・派遣』など業務ごとに新たな業界団体をつくらせて補助金を流し、その団体の専務理事や事務局長に天下る。そうした形で利権が生まれるのです」

トランプの大口支援者は東京・横浜参入を熱望
 カジノを巡る怪しい癒着といえば、秋元事件など比較にならないのが、トランプ米大統領と安倍首相との“密約”だ。反対意見が根強いにもかかわらず、日本でカジノ解禁を急いだのは、トランプの強い要求があったからである。
 2017年2月に安倍が訪米し、フロリダ州のトランプの別荘で会談した。その際、トランプは自身を支える大口献金者・アデルソン会長が経営する米カジノ企業「ラスベガス・サンズ」に日本参入の免許を与えるよう安倍に強く迫ったとされる。これは米国の調査情報サイト「プロパブリカ」に報じられたものだが、日経新聞電子版でも、同会談時にトランプが「シンゾウ、こういった企業を知っているか」と言いながら、サンズや「MGMリゾーツ」などのカジノ企業の名前を列挙したと報じられたから、本当なのだろう。

 アデルソン会長は日本のカジノに100億ドル(約1兆950億円)を投資すると豪語し、最近も「東京と横浜に焦点をあてる」と具体的な参入都市まで絞り込んでいる。トランプの支援者を安倍が袖にすることなどできるはずがなく、これから決定する「3カ所」のどこかにサンズが関わることになるのは確実だ。
 米カジノ企業については、「シーザーズ・エンターテインメント」のアドバイザーを務める人物から安倍政権中枢への「脱法献金」も過去に週刊文春で報じられている。脱法というのは、政治資金規正法で外国企業からの寄付が禁じられているから。アドバイザーは麻生太郎財務相、西村康稔経済再生相、萩生田光一文科相のパーティー券を購入していた。ロビー活動の一環だとみられている。

 そして、IRといえば日本維新の会だ。大阪市長の松井一郎代表が率いる維新は、2025年の大阪万博とカジノの誘致を、大阪経済発展の起爆剤に位置づけている。その実現のために、国会審議や政権運営でどれだけ安倍自民に協力してきたことか。
 2016年のカジノ推進法成立では与党の一角の公明党が消極姿勢を示す中で、維新が自民の背中を押した。17年の共謀罪法の強行採決では、維新が賛成に回ったため、自公は「一部でも野党が入っているのだから強行採決ではない」と言い張った。
 極めつきは安倍の悲願の改憲への協力。「大阪での万博とカジノはそのバーター材料」というのは、永田町では誰もが認めるところである。

 カジノ問題に詳しいジャーナリストの横田一氏が言う。「維新は“第2自民党”としてさまざまな場面で安倍政権に力を貸してきた。松井氏、橋下徹元大阪市長、安倍首相、菅官房長官の4人で定期的に食事をして関係を維持してきてもいます。その見返りで、いまや『3カ所』のIR整備地域の1カ所として、大阪は“当確”とされる。維新は自民党と一緒にカジノ利権をむさぼる仲間ということです」
 松井は秋元事件を受け、26日、「何の権限もない秋元さんが影響力のあるように見せかけた『オレオレ詐欺』だ」と解説していたが、IRへの風当たりが強くなり、じだんだを踏んでいるのだろう。

百戦錬磨の米国企業なら東京地検は手も足も出ない
 今夏になって誘致に手を挙げた横浜市の動きも怪しい。市民の過半数が反対し、住民投票やリコールの声も出ているが、反対派のドンが横浜港運協会の藤木幸夫会長。推進する林文子市長のバックには、地元選出の菅官房長官がいるとされる。つまりは「菅VS藤木」の戦いなのだが、もともと、菅と藤木は近しい関係だった。
2人が疎遠になったのは2年ほど前で、カジノ利権や港湾利権を巡る争いが背景にある。落としどころはあるはずだ」(永田町関係者)などとも囁かれ、本当のところは魑魅魍魎なのだ。
 とにもかくにも、カジノのあるところに利権あり。370万円程度の賄賂の秋元事件なんて氷山の一角だ。新法まで作って米国企業を儲けさせてあげる安倍とトランプがやっていることは、国家レベルの贈収賄じゃないか。
「すでにカジノを巡っては、世界中にものすごい利権構造が存在する。中でも米国企業はカジノの長い歴史の中で、日本より厳しい規制やFBIの目をかいくぐって営業しているわけです。サンズのアデルソン会長からトランプ大統領への莫大な献金のように、カネの使い方も半端ではありません。そんな百戦錬磨の米国企業ですから、何をやられても日本の警察・検察は手も足も出ない。今回は中国企業が足跡をべたべたと残していたから事件になりましたが、相手が米国企業では無理でしょうね」(古賀茂明氏=前出)

 相手が中国企業だから逮捕しやすかった、ということなのか。それで捕まる議員が秋元だけなら、ただのガス抜き。トカゲの尻尾切りにもならない
 年明けにはカジノ規制を担う管理委員会が発足する。政府は早期のIR開業に向け、予定通り前に進めるつもりだが、カジノのいかがわしさは山ほどある。秋元事件が利権解明の突破口にならなきゃおかしい。