2019年12月22日日曜日

22- 類は友を呼ぶ ウサン臭い人物ばかりの首相周辺(日刊ゲンダイ)

 官邸にかかわりの深い人物については、逮捕状が出ても強権を行使して中止させ、起訴もさせないなどはその典型的な例ですが、自分たちの権力を維持し、あるいは窮地に陥ったわが身の保身を図るためには、法律も、規律も、慣例もすべて無視して「無法地帯を突き進」んでいる安倍政権であるからには。世界が「日本は法治国家なのか」と疑うのは余りにも当然のことです。

 何故そんな政権が7年も存続しているのでしょうか。この間何度も国政選挙が行われてきたからには、まずは民度の低さがある筈です。それを招来させた大きな要素として、先進国間で最低レベルにある報道の自由度(マスコミの政権からの独立度は世界で70位台)は極めて大きいことでしょう。

 兎も角も、お友達内閣として出発したものが年月の経過の中で、いまや「全体が腐敗した利権先行」の組織になり果てるとともに、何よりも首相自身による「行政上の諸々の私物化」は異常なレベルに達しました。
 
 日刊ゲンダイが「類は友を呼ぶのか ウサン臭い連中ばかりの安倍首相の周辺」とするまさに「末法的」な記事を出しました。安倍政権の「生体的」側面の異常を指摘するものです。
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類は友を呼ぶのか ウサン臭い連中ばかりの安倍首相の周辺
日刊ゲンダイ 2019/12/20

 【写真説明】左からジャパンライフの山口隆祥元会長、山口敬之氏、秋元司衆院議員、下村博文元文科相
 次から次だ。アベ友たちのロクでもない実態が続々と明るみに出ている。前代未聞なのは、東京地裁に「レイプ男」の烙印を押された元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)だ。2016年6月に「総理」なる安倍首相ヨイショ本を出版。「官邸に最も近いジャーナリスト」として一時期、テレビに出まくっていた。
 そんな“安倍ベッタリ記者”から望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が1100万円の損害賠償を求めた訴訟で18日、画期的な判決が出た。東京地裁は山口氏が「酩酊状態で意識がない詩織さんに、合意がないまま性行為に及んだ」と認定。330万円の支払いを命じたのだ。

 地裁が「アベ友」のドス黒い正体を暴いた格好だが、刑事と民事の判断が真っ二つに分かれるとは改めて不可解だ。詩織さんが被害を受けたのは15年4月3日のこと。同月30日には警視庁に告訴状を提出し、高輪署が受理。準強姦容疑で捜査を進め、同年6月8日には逮捕状を手にした捜査員が、帰国する山口氏の身柄を押さえるため、成田空港で待ち構えていた。
 ところが、土壇場で上層部から「待った」がかかった。当時、警視庁刑事部長だった中村格氏は「私が決裁した」と週刊新潮の取材に答えている。中村氏は官邸で菅官房長官の秘書官を長く務めた経歴の持ち主。アベ友のレイプ事件もみ消しの褒美ではないだろうが、今や警察庁ナンバー3の官房長に出世し、警察庁長官も視野に入る。
 16年7月22日に東京地検は山口氏を不起訴処分とし、刑事では無罪放免。結局、詩織さんが17年5月、検察審査会に審査を申し立て、顔と名前を出してレイプを告発するまで、山口氏はのうのうとメディアで顔を売っていたのだ。やはり類は友を呼ぶ。安倍に負けないずぶとい神経である。

世界が疑う「日本は法治国家なのか」
 逮捕状が出たのに執行されず、起訴もされなかったのは、総理の力を借りたのではないか ―。19日、外国特派員協会の会見で海外メディアにそう追及された山口氏は、「どの政治家にも警察にも、官僚にも要するに誰にも何もお願いしていない」と否定。しかし、“官邸のアイヒマン”こと警察官僚の北村内閣情報官(現・日本版NSC局長)に助けを求めた可能性は消えない。
 17年に取材のメールを送った週刊新潮に、山口氏から〈北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。伊藤の件です。取り急ぎ転送します〉とのメールが送られてきたというのだ。焦った山口氏が「北村さま」に転送すべきメールを誤って新潮に返信したとみられる。
 つまり、民事で「レイプ男」と認定されたアベ友の刑事事件を権力の私物化で握り潰した疑念は拭いきれないのだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「英BBCや仏AFP通信などが判決内容を速報し、海外メディアの注目度は高い。彼らは権力の乱用に敏感で、山口氏と安倍首相とのつながりを指摘。いったん認められた逮捕状を取り下げるなんてあり得ないし、日本は本当に法治国家なのかと疑っています。日本の恥を満天下にさらす事態です。

 山口氏にすれば首相の威光を記者活動に利用し、首相にすれば山口氏は手駒のひとつ。自分の“広報マン”に仕立てる気だったのでしょう。ヨコシマな『ウィンウィン』です。安倍首相は常に自分に従いヨイショすれば来るもの拒まず。マルチ商法の会長に桜を見る会の招待状を送れば悪用されると想像がつくのに平気の平左。取り巻きにはオイシイ思いをさせてしまう。モリカケ疑惑に象徴される“アベ友”優遇政治の弊害が、極めて歪んだ形で次々と噴出している印象です」 

組織全体が腐敗した利権先行、お友達優遇
 頭が腐れば尾まで腐る。今の安倍自民党は怪しい利権屋だらけだ。
 日本のカジノ事業参入を目指していた中国系企業の外為法違反事件に絡み、東京地検特捜部は19日、秋元司衆院議員の地元と議員会館の両事務所をガサ入れした。
 既に特捜部は秋元を任意で事情聴取。秋元は参院1期の後、12年の総選挙で衆院初当選を果たした“魔の3回生”だ。17年8月から今年9月まで内閣府副大臣を務め、昨年10月まではカジノを含むIR担当だった。
 17年7月に中国系企業が日本法人を設立すると、翌月に沖縄県でシンポジウムを開催。秋元は中国系企業の代表と基調講演を行った。中国系企業の幹部は18年1月から、カジノ誘致を目指した北海道留寿都村を繰り返し訪れ、投資企業として名乗り出た。同年4月ごろには、秋元の執務室を訪問し、村へのカジノ誘致に協力を求める陳情に同席したという。
 秋元本人は「便宜を図っていない」と説明するが、職務権限を持つ副大臣がカジノ参入を目指す一つの企業にここまで肩入れするのは異常だ。今年7月、知人の経営者が内閣府の企業主導型保育事業の助成金詐欺で特捜部に逮捕。秋元は当時、保育事業担当も兼務し、知人は秋元の資金集めパーティー券の購入を関連業者に勧めていた。

 利権屋は秋元ひとりに限らない。13年に入試改革の口火を切った安倍側近の下村元文科相も怪しい。下村は塾・予備校の「族議員」で多額の献金を受領。萩生田大臣の「身の丈」発言で見送られたとはいえ、政治主導で下村が「民間試験」導入をゴリ押しした経緯には、新たな需要が生まれる塾・予備校との利権漁りが見え隠れするのだ。
「カジノ、幼児保育、入試改革など、安倍政権が進める政策は理念先行ならぬ、利権先行。ある程度のタテマエをつけ、利権に群がる友だちへの利益を図り、自分たちの懐に還流させるのが狙いでしょう。安倍首相のお友だち優遇政治が、自民党内の隅々まで行き渡り、まるで怪しい利権屋集団と化しているかのようです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

首相自身からも漂ういかがわしさ
 安倍の「類は友を呼ぶ」としか言いようがないドス黒い人脈は海を越える。「強固な関係」と胸を張ってきたトランプ米大統領が、とうとうウクライナ疑惑を巡り「権力乱用」と「議会妨害」の2つの条項で、米下院から弾劾訴追された。弾劾された米大統領は史上3人目という不名誉だ。
安倍首相が国際社会の鼻つまみ者のトランプ大統領にスリ寄るのも、アベ友優遇政治が招いたもの。首相自身、スリ寄る友だちにオイシイ目を味わわせているだけに、トランプ大統領にも取り入れば、同じように自分にも譲歩してくれると期待したのでしょう。そんな卑屈な姿勢が逆に足元を見られ、トランプ大統領に極めて不平等な日米貿易協定を突きつけられたのです」(五野井郁夫氏=前出)

 マルチ、レイプ男、弾劾大統領、怪しい利権屋……。安倍周辺がまともな人間なら近づかない、近づけない連中ばかりなのは安倍自身が胡散臭い人物である証拠だろう。前出の五十嵐仁氏はこう言う。
「アベ友優遇の利権政治だから、首相にお近づきになろうと怪しい人物が群がるのは必然です。この政権の出発地点から抱えていた問題が、政権の長期化であぐらをかき、警戒感が薄れて次々と露呈しているように見えます。それだけ国民を愚弄していたわけです。
 桜を見る会の答弁と対応でも、嘘とゴマカシで逃げ切ろうとしていますが、政権の求心力が急激に低下する中、今まで通りにはいきません。ようやく支持率低下で国民の怒りが表面化してきました。怪しいアベ友優遇政治に引導を渡すべきです」

 ドス黒い安倍を排除しない限り、胡散臭い政治は終わらない。