2019年12月24日火曜日

米軍関係費19年度7900億円 さらに膨張の危険

 日本が負担する在日米軍関係経費はしばらく前までは6500億円前後で、世界でもダントツの額として知られていました。それが安倍政権になってからはうなぎ上りに上昇し18年度にはついに8000億円を突破しました。19年度は7902億円です。
 しんぶん赤旗によればそのうちの約半額3914億円(いわゆる思いやり予算1979億円を含む)は地位協定上も支払う義務がないものということです。

 トランプ大統領はその思いやり予算でも不足で、現行の45倍の約9000億円を要求していると言われています。
 そもそも米軍の駐留は日本の防衛のためではないとされています。自国の都合で日本に駐留しているにもかかわらず、1兆円近くを出せというのはあまりにも強欲です。
 不足で不満だというのであれば撤退すればいいだけの話です。

 併せて「膨張止まらぬ防衛予算 対米配慮のゆがみ限界だ」とする毎日新聞の社説を紹介します。
 なお朝日新聞も下記のほぼ似かよった社説を載せました。
      ⇒【社説】膨らむ防衛費 ゆがみを生む対米配慮 (朝日新聞 12月23日)
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米軍天国 日本
19年度関係費7902億円 高止まり(※半分は条約上の義務ありません)
さらに膨張の危険も
しんぶん赤旗 2019年12月23日
 2019年度に日本政府が計上した在日米軍関係経費の総額が7902億円となりました。初めて8000億円を突破した昨年度に次ぎます(グラフ)。防衛省など関係省庁の資料を本紙が集計し、計算したものです。こうした経費負担は、米国の他の同盟国と比べて突出しており、米軍にとって世界一、居心地のよい国にしています。

 米軍の特権を定めた日米地位協定24条では、日本側の米軍駐留経費負担を定めています。しかし、具体的に明記されているのは土地の賃料などに限られています。米軍関係経費のうち約5割にあたる3914億円((1)在日米軍駐留経費=思いやり予算1979億円 (2)在日米軍再編経費1679億円 (3)SACO経費256億円)は、地位協定上も支払う義務がありません
 とりわけ、安倍政権発足後、沖縄県名護市辺野古で県民の民意を無視した米軍新基地建設を強行。米軍再編経費を大幅に引き上げています。沖縄県は、総工費を2兆5500億円と試算しており、今後、さらなる膨張の危険があります。

 また、日本政府は基地従業員の給与や米兵の住宅・娯楽施設、水光熱費などを盛り込んだ「思いやり予算」について、年間2000億円規模を維持していますが、トランプ米政権は強い不満を表明。4・5倍増を要求したとの報道もあります。
 現行の「思いやり予算」特別協定が21年3月に期限を迎えるため、年明けから延長協議が本格化します。米側から厳しい要求が出されるのは確実です。

福岡空港の基地移転費 国交省が計上
隠れ支出も
 在日米軍関係経費は防衛省、総務省、厚労省、財務省が継続的に支出していますが、これ以外の省庁が負担する場合もあります。福岡空港(福岡市)では滑走路増設に伴い、空港内の米軍専用区域の移設工事費を国土交通省が計上していることが分かりました。
 福岡空港は戦後、米軍が接収して米軍板付基地になりました。1972年4月に大部分が返還されましたが、倉庫1棟などが残っています。日米両政府は2016年3月の日米合同委員会で、米軍専用区域を空港内の別の場所に移設することで合意。国交省大阪航空局によれば、総工費は約30億円で、来年3月に完成する予定です。
 これ以外にも、沖縄県伊江村での地下ダム建設に伴い、15年度、農林水産省の予算で在沖縄海兵隊基地を移転(総工費約15億円)。長崎県佐世保市では07年度、道路建設に伴い、国交省の「道路特定財源」約28億円で米海軍将校住宅が建設されています。
 隠された米軍向け支出は、さらに存在する可能性もあります。日本はまさに「米軍奉仕国家」です。

図

社説 膨張止まらぬ防衛予算 対米配慮のゆがみ限界だ
毎日新聞 2019年12月23日
 防衛費の膨張が止まらない。2020年度予算案では過去最大の5兆3133億円となった。 
 ただし、これでも小さく見せかけた数字だ。並行して編成された19年度補正予算案に4287億円が計上された。当初予算額を抑えるため前年度の補正予算に前倒しする手法が近年、常態化している。 
 米国から武器を購入する有償軍事援助(FMS)契約が安倍政権下で急増し、その支払いが後年度の財政を圧迫するようになったからだ。 
 しかし、補正予算は突発的な災害などに対応するものだ。今回の補正にFMSの支払い1773億円が計上されたのは説明がつかない。 
 その結果、19年度の当初予算と補正を合わせた防衛費は5兆7000億円に迫り、国内総生産(GDP)比は1%を上回る。同じ手法を今後も繰り返せば通年での1%超えがなし崩し的に続くことになる。

 背景にトランプ米大統領からの武器購入圧力があるのは明らかだ。FMS契約の予算額は19年度に7013億円まで膨らみ、20年度も4713億円が計上された。 
 19年度のFMS契約を突出させた大きな要因は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」だ。導入決定を急いだにもかかわらず、配備地を決定できないまま、米側との契約だけが先行している。 
 輸送機オスプレイは既に3機が陸上自衛隊に納入済みだが、配備地の調整が難航し、訓練は米国の海兵隊基地で行われている。 
 戦闘機F35の大量購入を含め、いずれも首相官邸の主導で導入が進んだ経緯がある。運用方法は後付けで検討されているのが現状だ。

 防衛装備の開発・調達には時間がかかる。10年先を見通した戦略的・体系的な防衛力整備が求められるのに、トランプ政権への過剰な配慮がそれをゆがませている。 
 北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の台頭でアジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増しているというのはその通りだ。自国第一主義を強める米国はさらなる軍事負担を同盟国に求めてくるだろう。 
 日本に対しては米軍駐留経費の大幅な負担増も要求する構えをみせている。その場しのぎの対応は限界を超えつつあると考えるべきだ。