2019年12月30日月曜日

政府の理屈は総崩れ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て(日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイが改めて、政府が米軍普天間飛行場移設するためとしている「辺野古沖埋め立て」問題を取り上げました。
 政府はこれまで普天間を「22年度またはその後に返還」するためには、辺野古を埋め立て基地を作るのが唯一の現実的な方法だと強調してきました。
 それがついに辺野古新基地の完成が2030年代半ばへと大幅にずれ込むことを明らかにせざるを得なくなりました。要するに普天間基地の使用が更に10数年延びるということで、激しい騒音と墜落・落下物の不安に苦しむ人々に今後10数年かそれ以上我慢を強いるというのは(もはや)人の道に反」(日刊ゲンダイ)します

 政府は1416年の調査で軟弱地盤の存在を把握したのですが、国民には隠蔽し逆に後戻りできないように既成事実を作ろうと着工を急ぎました。しかし埋め立て工事の進捗状況は1年間で僅か1%に過ぎませんでした。岸辺の浅瀬での実績がこれですから、最深部が海面から90mもあるという深場に7万本の砂杭を打つにはどれ程の工期を要するのか計り知れません。
 前泊博盛・沖縄国際大教授は、「難工事の軟弱地盤を埋め立てるには、それこそ100年以上かかる恐れすらある」と述べています。
 そもそも国内にある、海底に砂杭を打つ作業船の能力は海面下70mまでなので、90mの深度の海底に砂杭は打つことは不可能です。要するに政府は永久に完成するめどのない工事を強行しようとしている訳です。

 政府は総工費を最大約9300億円と発表しましたがそれもとても根拠を持ったものとは思えません。沖縄県がはじいた2兆5500億円の方が遥かに信憑性があります。
 政府の滅茶苦茶な計画を強行すれば、「税金が湯水のごとく辺野古の海に垂れ流され、なおかつ杭打ちは永遠に終わらない」(日刊ゲンダイ)ことになりかねません。
 日刊ゲンダイの「~ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て」は至言というべきです。
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政府の理屈は総崩れ 狂気の域に入ってきた辺野古埋め立て
 日刊ゲンダイ 2019/12/28
 民意を無視した土砂投入から1年余り。安倍政権がゴリ押しする沖縄・辺野古沖の埋め立てが、いよいよ狂気の領域に入ってきた。
 米軍普天間飛行場の移設先とされる辺野古新基地の完成が、2030年代半ばへと大幅にずれ込むことになった。これまで政権側の説明は普天間を「22年度またはその後に返還」だった。民意無視の埋め立て強行に続き、今回の「さらに十数年」の表明である
 既に政権側は「19年2月までに運用停止」とした県との約束をほごにし、新たな期限の設定に応じようとしない。普天間所属の航空機の相次ぐ事故にも、米軍にうわべだけの申し入れをするのみ。その上、激しい騒音と墜落・落下物の不安に苦しむ人々に今後十数年かそれ以上、我慢を強いるというのは人の道に反する。まさに反社政権の正体見たりだ。

 再試算の結果、当初は5年の工期が9年3カ月と約2倍に延びた要因は、埋め立て海域で見つかった「軟弱地盤」の改良工事のせいだ。マヨネーズ並みのグニャグニャ地盤を固める難工事は総工費も押し上げ、従来想定の約2・7倍、最大約9300億円に上る。
 防衛省は地盤改良のため、7万本もの「砂杭」を海面から90メートルの深さに打ち込むというが、現在、日本にある作業船で改良工事を実施できる深さは70メートルまで。それでも、後に引けない安倍政権が遮二無二、杭打ちを強行すれば、税金が湯水のごとく辺野古の海に垂れ流され、なおかつ杭打ちは永遠に終わらない。そんな最悪の結果しか見えてこないのだ。
 沖縄県は昨年「運用まで13年以上、予算は最大2兆5500億円」との試算を示した。しかし狂気の政権の下では、いくら時間と金があっても足りなくなるのは必然なのである。

一切が無に帰した「一日も早い危険除去」
 加えて沖縄県の玉城デニー知事は、政権側が軟弱地盤対策に伴う設計変更を申し立てても応じない方針だ。国と県との裁判闘争に移る可能性も高い。そうなれば辺野古基地完成の時期はさらに遅れ、普天間の危険性は放置されたままになる。
 安倍首相は今年1月の施政方針演説で「世界で最も危険と言われる普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現する」と強調した。ところが、実際に進んでいるのは被害の固定化と長期化だ。
 いまや「一日も早い危険除去」なる常套句は、実態の伴わない誇大広告となり、政府の理屈は総崩れ。大義を失った自然破壊と民意愚弄を招いたのは他ならぬ政府自身である。
 13年の日米合意後、十分に確認しないまま埋め立て申請を急ぎ、14~16年の調査で軟弱地盤の存在を把握しながら隠蔽した。情報公開請求で真相を知った県の指摘に耳を貸さず、土砂投入に踏み切り、ひたすら既成事実づくりに邁進してきたのだ。
 昨年9月の知事選、今年2月の県民投票、4月の衆院補選、7月の参院選と、県民が繰り返し「辺野古ノー」の民意を突きつけても、ガン無視の姿勢を崩さない。
 背信と思考停止――。こうした政権の態度に県民が不信を募らせるのは当然だ。焼失した首里城の復元に前向きな発言も、県に辺野古の譲歩を引き出すための方便にしか聞こえないのだ。

盾突く者は全て敵と切り捨てる“放置国家”
「安倍政権は原点を見失っています」と言うのは、沖縄国際大大学院教授の前泊博盛氏(日米安保論)だ。こう続ける。
「普天間飛行場の移設の出発点は、沖縄の基地負担の軽減。ところが、現政権は辺野古の埋め立てだけが自己目的化し、普天間が現に直面する危険性はほったらかし。日米安保に関わると、費用対効果も不透明なまま、公共事業を強行する悪行に歯止めがかからなくなってしまう。土砂投入から1年で、まだ計画の1%しか進んでおらず、それも浅瀬部分しか埋まっていない。難工事の軟弱地盤を埋め立てるには、それこそ100年以上かかる恐れすらあります。どこまで戦局が拡大するか見通せない戦争予算じゃあるまいし、こんな無謀な計画を認めたら、国が破綻します。はたして法治国家ならぬ“放置国家”でいいのか、日本の民度が問われています」

 こうして沖縄の声に耳を塞ぎ、新基地建設を強引に進めても、無用の長物になる可能性は極めて高い。
 そもそも辺野古新基地計画が浮上したのは、日米両政府が普天間返還で合意した直後の1996年のこと。それから四半世紀近く。既に沖縄に駐留する米海兵隊は2020年代前半から約9000人が米本土やグアムに移り、約半分の規模に縮小されることが決まった。この間、兵器や技術も変革し、海兵隊の運用も大きく変化している。軍事評論家の前田哲男氏もこう指摘した。
「この先さらに十数年もかかると、日米の安保政策すら見通しが立ちません。よしんば完成させても、中国など外部から格好の攻撃目標になる。軍事合理性の観点からも沖縄への基地集中はデメリットが大きい。20年以上前に構想された辺野古に固執する理由はありません。しかも2800メートルある普天間の滑走路に比べ、辺野古は1800メートルしかない上、V字形なので使いづらい。米軍に運用面でケチをつけられるのは確実です。今からでも遅くはありません。計画の破綻を認め、一から出直すべきです」

「米尊沖卑」に自浄を求めるだけムダ
 どれだけ沖縄県民に犠牲を押しつけようが、安倍政権は平気の平左。それこそ“アメリカさま”を重んじ、沖縄を見下す「米尊沖卑」の発想が染み付いている。
 唖然としたのは、沖縄タイムスがスッパ抜いた電源開発(Jパワー)の内部メモだ。そこには、菅官房長官の懐刀として悪名高い和泉洋人首相補佐官の「米尊沖卑」に基づく横暴が、克明に記されている。
 沖縄県北部・東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設が難航していた16年9月。和泉氏は当時、現場付近で海水揚水発電所を運営していたJパワーの北村雅良会長を官邸に呼びつけ、助力を求めた。その見返りに「海外案件は何でも協力する」と持ちかけたというのだ。
 和泉氏は「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい」「あと3カ月で完成させるには、JP(Jパワー)から建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」と要請。「あと3カ月」後の16年12月には米軍北部訓練場返還式と祝賀会があった。前年の一部基地返還合意に尽力したケネディ元駐日米大使が出席。彼女の退任前に「目に見える形でのお返し」が必要だったわけだ。
 さらに和泉氏は「米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないと見ている」「本件は、日本政府も汗を流している証拠として、20年間、放置されていた件を動かした」と説明。だが、「反対派の活動もかなりのもの」だとしてJパワーに協力を要請し、「反対は活動家だけ」と勝手に決めつけていた。

 米国を恐れ、おもねり、点数稼ぎのためなら、何でもアリの一方で、盾突く者は政権の敵と断定して切り捨てる。メモはそんな政権中枢の姿を、ハッキリと映し出す。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「当事者の意見を聞かず、異論は権力で抑えつける。不都合な情報は隠し、嘘とゴマカシと強弁を重ね、ひたすら“敵”が疲弊するのを待つ。沖縄問題には安倍政権の体質が、にじみ出ています。もはや辺野古と切り離して普天間の早期返還を求めるべきですが、埋め立てが自己目的化した政権に自浄能力を求めるのは不可能。この問題に限らず、カジノや入試改革、桜を見る会も同様です。政策を変えるには、もう政権を代えるしかありません」 来年こそ「アベよ、あばよ!」を実現しなくてはいけない。