TVのワイドショーで常に安倍首相を擁護する発言を重ね、「政府側代弁者」の役目を果たしていた田崎史郎氏がこのところTVに登場しません。
高齢者を中心に多数の国民から2400億円もの大金を詐取して倒産したジャパンライフの、広告塔の一人であったことが暴露されたためと見られています。
この謹慎は当然ですが、ではどのように償おうというのでしょうか。全財産を被害者に差し出す以外の方法はない筈で、それなくしてTVに再登場するなどはあり得ないことですが ・・・。
それはともかく、彼が登場しないことでその後のTVのワイドショーが極めて健全になったということです。「ひるおび」でいつも露骨な政権擁護発言を連発しているあの八代英輝弁護士までもがまっとうな政府批判をしたということです。
といっても別にこれまで田崎氏が的確な擁護発言をしてきたという意味ではなく、彼が登場することで局の関係者やMCが彼の背景を忖度する結果、全体の雰囲気がどうしても彼の発言を重視する方向に流れてしまうという意味です。
その点でも田崎氏は実に害悪の大きな人間でした。
LITERAが伝えました。
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田崎史郎が自身のジャパンライフ問題でワイドショー出演自粛!
おかげで『モーニングショー』『ひるおび!』で政権批判が活発化
LITERA 2019.12
悪徳マルチ商法の会長を「総理枠」で招待したという疑惑には「個人情報」を盾に回答拒否、招待者名簿の電子データ復元を「不可能」と言い張り、ついにはバックアップデータも「行政文書ではない」と断言する──。「桜を見る会」問題に対する安倍首相および政府の説明が醜悪を極めているが、一方、一部ワイドショーではこの問題を徹底追及。なかでも、昨日3日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で繰り広げられた舌鋒鋭い解説とコメントの数々が、ネット上では大きな反響を呼んでいる。
まず、悪徳マルチ商法のジャパンライフ創業者である山口隆祥会長(当時)を2015年の「桜を見る会」に「総理・昭恵枠」で招待していたという問題については、本サイトでも取り上げたように『報道ステーション』(テレビ朝日)や『スッキリ』(日本テレビ)で野村修也弁護士や加藤浩次が“2015年には問題がなかった”というような擁護を展開していたのだが、『モーニングショー』では2日放送分で玉川徹氏がこれに反論。さらに3日放送分でも、コメンテーターの青木理氏が重ねてこのように批判した。
「このジャパンライフって会社は、僕らみたいな記者ですら、もう前から問題なのはよくわかっていたわけ。80年代くらいから。これ、安倍さん個人がどうかは知らないですよ、ただし山口元会長が月1回食事をしていると言っていたのを僕も信用したくなるくらい、つまり政治家や官僚や、さらにひどいのは警察OBなんかとも、かなりジャパンライフというのは関係があって、その力をもっていろいろ詐欺まがいじゃないのかと言われながらそれを抑えてきたと。だから最近問題になったんじゃなくて、ようやく問題になったと。その前から、みんな知っていたんですよ」
80年代から国会で集中審議がおこなわれるほど悪名を轟かしていた問題企業の会長を招待することはどう考えてもおかしい──。いかに擁護論が無茶苦茶なのかをしっかり論破しておくことは非常に重要だが、さらに番組では1957年の岸信介政権時代におこなわれた「桜を見る会」の招待者名簿が永久保存の公文書として保管され、1749人の実名が載っていることを紹介。ここでも青木氏は「貴重な資料。岸さんのときにどういう人たちが(招待されていたか)、いま見ると、このころは引揚者の団体の人たちだったり保護司の人だったりとか、そういう人が呼ばれているんだと(わかる)」「つまり戦後日本が復興していく過程のなかで『桜を見る会』57年はこういう人たちを呼んで首相が囲んで慰労したんだなと歴史の記録になってゆく」と指摘し、こうつづけた。
「公文書管理法に書いてあるのは、これは将来に歴史とか記憶を残すための『民主主義(の根幹)を支える国民共有の知的資源』だと。それを、しかも公的資金で公的行事としてやっているものでしょう? 本来これ残さなくちゃ、どう考えてもいけないんです。だから、おじいちゃんは立派なんだけど、失礼だけど、お孫さん、何されてるんですか?ということですね」
少なくとも岸信介は歴史資料として検証可能なかたちで招待者名簿を永久保存したが、一方、孫の安倍晋三はそれを「遅滞なく破棄」させ、検証を不可能にしたことを胸を張って答弁する。たしかに「お孫さん、何されてるんですか?」と言いたくなる話だ。
『モーニングショー』玉川徹、青木理が徹底した安倍政権批判、1万いいね
さらに青木氏は、公文書の「歴史や教訓を後世に残すもの」という役割を再度説き、安倍首相やその取り巻きたちの矛盾する姿勢に言及した。
「いまの政権とか、いまの政権を支持している人たちというのは保守とか右派とか、自分で呼んだり人から呼ばれたりいろいろするんだけど、むしろ伝統とか国の歴史とか大事にしようという人たちなんですよ。むしろそういう人たちのほうが、こういう文書が残らないこと、公開するか否かは別としてですよ、残さないことに対して、国の伝統とか歴史を大事にしようという人たちがむしろ怒らないといけないんですよ」
ここで玉川氏もたまらず口を挟み、安倍首相の支離滅裂な答弁の欺瞞を突く。
「だいたいプライバシー、プライバシーってよく言ってるじゃないですか。昨日も国会(2日の参院本会議)でプライバシーって言ったけれども、功労を顕彰される人たちなんですよ、呼ばれているのは。顕彰される人たちがプライバシーを明かしてほしくないなんてことを言いますか?」
「まして税金を使う以上、『この人はこうこうこういうふうな功労があったので呼びました』ということを公にすべきじゃないですか」
この玉川氏の指摘には、解説者としてゲスト出演していた政治ジャーナリストの角谷浩一氏が「そう。税金を使っているところがいちばん大きい」と呼応し、「毎回予算よりもオーバーして(税金が)使われているということがわかっている」のに、招待者名簿が破棄されていることを会計検査院はどうするのかと重要な問題を提起した。
税金を使った接待疑惑が持ち上がると「個人の情報」を理由に答弁を拒否し、何かあると「我が国の伝統」だの「我が国の歴史」だのと強調するのに、都合が悪くなると歴史的検証を放棄し、文書を捨てて何もなかったことにしてしまう──。無論、いくら安倍首相が「破棄した」「復元は不可能」と言い張っても、それが大嘘であることは誰もがわかっていることだ。
こうした問題について、青木氏は「恐るべきモラルの崩壊が起こる」とし、心底憂うように、こう述べたのだった。
「(安倍首相は)『前夜祭』の明細書も残っていないって言う。これ、恐るべきモラルの崩壊が起こるわけですよ、国民のあいだで。『だって政府がやってるじゃないか』って話になっちゃうわけでしょう? で、僕、皮肉でもなく心の底から思うんだけど、誰がどう聞いても『嘘でしょ』と。子どもはみんな思ってる、『嘘だ』って。その政府が、『美しい国』とかね、失礼だけど子どもに道徳教育をって言うのはね、道徳教育するべきかどうかというのは議論が分かれるところだと思うけど、少なくとも、こんな政権に僕は言われたくないですよ……」
子どもにだって安倍首相をはじめ政府の主張が嘘ばかりなのはわかる。そんな政府が道徳教育を推奨などできるものか。一連の説明にもなっていない一方的で無責任な主張を繰り返す安倍首相に対し、これほど痛烈な批判もない。実際、青木氏がこう言及した場面はTwitter上で拡散され、本日21時現在で1万1000も「いいね」が押されている。
田崎氏不在の影響で『ひるおび!』八代英輝弁護士までが安倍政権批判
そういう意味では、露骨な政権擁護か、政権忖度で腰の引けた批判しかできないテレビ番組ばかりのなかで、久しぶりに国民の怒りを余すことなく代弁してくれたと言っていいだろう。
しかし、昨日の『モーニングショー』が深いところまで踏み込んで政権批判することができたのは、玉川氏や青木氏ががんばったというだけでなく、あの人がいなかったということも大きかったのではないか。
「あの人」とはもちろん、『モーニングショー』で安倍政権がらみのネタを取り上げる際、必ずそこにいる田崎史郎氏のことだ。じつは、田崎氏は最近、ほとんど『モーニングショー』に出演しておらず、この日も不在。そのため、青木氏も玉川氏も詭弁だらけの政権エクストリーム擁護に邪魔されることなく、思う存分、「桜を見る会」の問題点や安倍政権のごまかし、嘘を追及できた面は大きい。
実際、この現象が起きたのは『モーニングショー』だけではなかった。たとえば、4日の『ひるおび!』(TBS)も田崎氏がやはり出演していなかったため、番組のトーンはいつもと様相がまったく違っていた。
4日の『ひるおび!』は、やはりジャパンライフの山口会長を招待していた問題について取り上げたのだが、前年に行政指導を2回受けていたのに招待されていたことを真正面から批判。安倍首相が「個人情報であるため回答を控える」と答弁したことに対しても、デーモン閣下が「方便だよね」「個人情報、便利な言葉だねえ」と皮肉り、さらに消費者庁の2014年の文書に〈本件の特異性〉〈政治的背景による余波懸念〉という文言が躍り、ジャパンライフへの調査が見送られていたことについても、元財務官僚の山口真由氏が「この文書からは明らかに“政治がらみ”のニュアンスが出ている」と指摘するなど踏み込んで報じたのだ。
しかも、いつもなら露骨な政権擁護発言を連発する、あの八代英輝弁護士までもが、安倍首相が山口会長の招待問題を答弁拒否したことに対し、「推薦している側は公人ですから、公務として招待しているわけですから、それを個人情報を理由として逃げようとするのはちょっとおかしい」と苦言。また、「ジャパンライフ、そして山口元会長が、このマルチ商法でいわくつきの人物で、なぜに野放しになっているのかっていうのは長年、弁護士業界では謎だった」「あのとき(2014年)にもっと早く動けていれば、被害者を減らせた可能性もあったわけです。そこの部分に何か政治判断だったり政治のつながりがあったとしたら、大問題だと思うんですね」とコメントしたのだ。
「安倍応援団」のひとりとして、いつもは政権擁護と批判潰しを繰り広げている八代弁護士が、ここまで安倍首相に批判的なコメントを口にするとは……。これも強力な安倍応援団の同志である田崎氏がいなかったため、機を見るに敏な八代弁護士はスタジオの空気に従わざるをえなかったのだろう。
田崎氏がワイドショーに出なくなったのはやはり自身のジャパンライフ問題
それにしても、問題は田崎氏だ。なぜ、田崎氏はこのところ、『モーニングショー』や『ひるおび!』に姿を見せないのか。いや、この2つの番組だけではない。『とくダネ!』でも『直撃LIVE グッディ!』(ともにフジテレビ)でもさっぱり姿を見かけなくなってしまった、。
理由はやはり、本サイトで以前指摘したように、田崎氏自身がジャパンライフの懇談会に参加し、宣伝に協力していたという問題のようだ。
2017年、ジャパンライフの山口会長が二階俊博・自民党幹事長を囲む懇談会を主催していたのだが、この懇談会に、安倍首相のメシ友である島田敏男・NHK解説副委員長や芹川洋一・日本経済新聞社論説主幹(肩書はすべて当時)、そして当時、時事通信社解説委員だった田崎史郎氏も参加していたのだ。しかも、ジャパンライフの宣伝資料には〈トップ政治家やマスコミトップの方々が参加しました! このメンバーで毎月、帝国ホテルにて情報交換会を行なっています〉という文言とともに田崎氏らの顔や名前も掲載されるなど、完全に宣伝に協力するかたちになっていた。
ワイドショーに出なくなったのはこの事実が明るみに出てしまったから、ということらしい。実際、田崎氏は「桜を見る会」問題が取り上げられ始めた当初はワイドショーに出演しては安倍首相を擁護していたのだが、ジャパンライフ会長の招待問題がクローズアップされるようになって以降はほとんど出演していない。たとえば、『モーニングショー』に出演したのは11月14日が最後で、『ひるおび!』は25日が最後の出演だが、同番組のこの日のテーマはGSOMIA失効問題だった。
「ただし、番組が田崎さんの出演を拒否しているわけではなく、田崎さんご本人から出演を辞退したいという申し出があったらしい。『自分にジャパンライフの問題があるから、出演はできない』と言っているそうです」(TBS関係者)
安倍政権の不祥事にはあれだけアクロバテックな論理で擁護してきた田崎氏だが、自らの悪徳マルチの片棒を担いだ問題については反省しているということか。だとしたら、安倍首相とは違ってずいぶん殊勝なこころがけだが、もちろんそんなことはなくて、きっと、逃げているだけだろう。
いずれにしても、あらためてわかったことは、田崎氏のいないワイドショーはなんと自由か、ということだ。先に取り上げた『モーニングショー』も、もし田崎氏が解説で入っていれば、角谷氏のように会計検査院の問題など新たな論点を指摘することもなかっただろうし、そればかりか青木氏や玉川氏のコメントにいちいち噛みつき、安倍首相の言い分を垂れ流していたことは想像に難くない。『ひるおび!』にいたっては、田崎氏の擁護コメントがないというだけで司会の恵俊彰や八代弁護士も擁護に傾けず、普通に出てくるであろう疑問や指摘が普通に論じられるという、普段の安倍応援団番組とはほど遠い状態になってしまっていた。
田崎氏がいないというだけで、ここまで真っ当な報道・議論ができるとは、逆に恐るべし田崎史郎……。ぜひ、田崎氏には十分に反省していただき、ワイドショーには二度と帰ってこないように願いたい。 (編集部)