2019年12月20日金曜日

20- 沢尻容疑者の元恋人を立件できず釈放! 疑惑だらけの沢尻逮捕劇

 先に大々的に報じられた沢尻エリカ容疑者の薬物事件で、彼女と同じく警視庁に逮捕されていた元恋人のファッションデザイナー・横川直樹氏が17日、処分保留のまま釈放されました。沢尻容疑者に関し現状では立件できないかもしれないと警察・検察が危機感を募らせて、証拠もないままに横川氏を逮捕したものの、黙秘をつらぬかれて勾留期限まで立件の証拠が固められなかったためです。
 TVのワイドショーなどでは横川氏のことを「ヤクの売人」扱いするような報道まで行われましが、彼の釈放に関してはごく細々と報じただけでした。メディアは被疑者の人権についてはいつも冷淡です。
 
 沢尻容疑者についても、逮捕当夜 クラブで覚せい剤を入手しておらず、家宅捜査で得られた証拠は横川氏から預かったとされるMDMA2錠のみで、当夜の尿からもまた毛髪からも覚せい剤の証拠は出ませんでした。長い毛髪は年単位の履歴を示す筈なので彼女は年単位で摂取していなかったわけです。一方警察からは、彼女が長年にわたり あたかも常習的に覚せい剤を摂取しているかのような情報が流されました。

 本来であれば逮捕自体が問題にされる事案でした。通常、覚せい剤使用(容疑)者の逮捕は、数ヶ月乃至1年以上に及ぶ内偵を経てから行うとされています。それを沢尻容疑者については、警視庁組対5課はわずか1ヶ月かそこらで しかも予めマスメディアに情報を与え、大々的に報じられる仕掛けを作ってから行ったのでした。

 LITERAは、「桜を見る会」疑惑への国民の関心を逸らすための「逮捕劇」だったとの疑念が再燃すると述べました。まさにそうとしか考えられない杜撰で浅ましいというしかない逮捕劇でした。
 LITERAの記事を紹介します。
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警視庁が沢尻エリカの元恋人を立件できず釈放!  拙速すぎる捜査に
「桜を見る会」陰謀論が再燃、前川喜平も橋下徹も「疑ってしまう」
LITERA 2019.12.19
 沢尻エリカの薬物事件で17日午前、新たな動きがあったことをご存知だろうか。沢尻と同じく警視庁に逮捕されていた元恋人のファッションデザイナー・横川直樹氏が処分保留のまま釈放されたのだ。
 警視庁は「任意捜査に切り替え、立件の可否について慎重に判断する」としているが、ようはこれ、勾留期限まで立件の証拠が固められなかったということだ。マスコミはこの釈放について申し訳程度にしか報じていないが、逮捕直後、ワイドショーや夕刊紙などは横川氏のことを「ヤクの売人」扱いするような報道まで展開していた。それが釈放されたら頰被りとは、ちょっと無責任すぎるのではないか。

 しかし、マスコミよりももっと追及されなければならないのはやはり、横川氏を逮捕した警視庁組織犯罪対策5課の責任だろう。警視庁担当記者も「このままいけば起訴はほぼ無理、不当逮捕と批判されかねない失態だ」と言う。
「横川氏は沢尻宅から出てきたMDMAを沢尻と共同所持していたという容疑で逮捕されたのですが、事務所をガサ入れしてもまったく薬物は出てこず、尿検査もシロ。なんとか自供させようとぎりぎりまで勾留したんですが、横川氏が黙秘を貫いたため起訴できないままの釈放となったわけです。しかし、これは逆にいうと、組対5課が沢尻の自供だけで、ほかになんの材料もないのに、横川氏の逮捕に踏み切っていたということ。無茶もいいところで、普通ならこんなやり方はありえない。実は報道陣の間でも途中から『捜査が強引すぎる』という声が出始めていたんですが、悪い予感が的中した感じです」
 しかし、組対5課が強引だったのは横川氏の逮捕だけではない。以前も指摘したように、そもそも沢尻エリカの逮捕からしてあり得ないくらい杜撰で荒っぽいものだった。
 というのも、組対5課は最初、まったく別の見立てで沢尻を逮捕しようとし、完全に空振りに終わっていたからだ。
「沢尻が逮捕されたのは11月16日未明、家宅捜索でMDMAが発見された後ですが、実は組対5課はその前日、15日夜にクラブで薬物を取り引きするという事前情報を入手。クラブ帰りに不法所持で現行犯逮捕する予定で、逮捕状をとっていた。所持薬物もMDMAではなくコカインだとみていた。しかも、逮捕シーンをマスコミに撮らせようと、『週刊文春』とTBSに事前に情報までリークしていましたからね」(スポーツ紙記者)
 実際、「週刊文春」とTBSは当日、逮捕の瞬間をおさめようとクラブや沢尻の自宅を張り込んでいた。ところが、である。クラブから帰ってきた沢尻エリカに、自宅近くの路上で捜査員が声をかけたとき、沢尻は違法薬物を所持していなかった
 組対5課は、直後に、沢尻宅の家宅捜索を強行したが、お目当てのコカインはもちろんマリファナさえ出てこなかった。最終的に沢尻自身が自己申告しMDMAが発見されたため、不法所持で逮捕できたが、もし、MDMAが発見されなかったら、完全に不当捜査になっていたところだった。

 逮捕後も誤算は続いた。組対5課は拙速捜査への批判が出ないよう「沢尻が“10年以上前からLSD、コカインを使用していた”と供述」などとマスコミにしきりにリークしたが、「コカインの常習者」であるはずの沢尻を検査しても何も出てこなかったのだ。尿検査は簡易検査でも本鑑定でも「陰性」だったことが明らかになっている。
毛髪検査についても、情報が出てこないところをみると、シロだったんでしょう。ようするに、沢尻は薬物の常習者でもなんでもなかった。“10年以上前からLSD、コカインを使用”という供述も、沢尻が昔使ったことがあるとか海外で使ったことがあると話したのを捻じ曲げて、印象操作のためにマスコミに流したといわれています。いずれにしても、薬物使用で沢尻を立件することは不可能になった。しかも、所持のほうも微量だったため、組対5課はこのままだと立件できないかもしれないと危機感を募らせ、慌てて元恋人の横川氏を逮捕したんです。が、それでも結局、なにも出てこなかった。もし、沢尻がMDMAを『自分のものじゃない』と言い張っていたら、起訴できなかった可能性もある。起訴の前後に『LSDを染み込ませた紙片も見つかっていた』とマスコミにリークしていましたが、本人が染み込ませるわけではなくもともと染み込ませた状態で流通しているものですから、それだけでは使用の立証はできないので、ほとんど証拠能力はありません。いまのところ、沢尻は裁判で起訴事実を争うつもりはないようですが、もし沢尻が供述をくつがえしたら、無罪だってありえると思いますよ」(前出・スポーツ紙記者

 裁判の帰趨はともかく、今回の捜査に相当な無理があったことはもはや疑いようがない。沢尻の自宅に“たまたま”薬物が微量残っていたことを沢尻が自己申告し、沢尻が自分のものだと自供したから逮捕・起訴できただけで、実際はギャンブルと言ってもいいような捜査だったわけだ。しかも、沢尻の容疑を固めるために逮捕した元恋人の横川氏のケースでは、立件できず、結果的に「不当逮捕」となってしまった。

あまりにずさんで拙速だった沢尻逮捕 組対5課を焦らせたものとは?
 薬物事件の捜査は通常、入念な内偵をおこなって周辺を固めた上、確実に薬物を所持しているタイミングで逮捕するか、容疑者が所持・保管している現場を確実に把握した上で家宅捜索するもの。とくに、相手が有名人となると、慎重の上にも慎重を期するのが普通だ。
 ところが、沢尻のケースでは、誤情報に基づいた声がけで空振りに終わっているにもかかわらず、家宅捜索を強行するというごり押しをしているのだ。しかも、おかしいのは内偵捜査期間の短さだ。報道では、今回、組対5課は1カ月前から沢尻を内偵捜査していたとしているが、同じ組対5課が逮捕したASKAは約9カ月、清原和博についても1年以上だ(麻取なので事情が違うかもしれないが、ピエール瀧も半年以上内偵されていた)。
 それに比べると、今回は短すぎるだろう。沢尻が大河ドラマの撮影に入っていることを考えれば、早く動かないと海外に逃亡してしまうというような可能性も考えにくい。にもかかわらず、組対5課がこんなに焦って拙速な逮捕に踏み切ったのはなぜか
 今度は全国紙のベテラン警視庁担当記者がその内情をこう明かす。
「沢尻についてはもともと逮捕を前提に5課で内偵を進めていたが、途中で上層部から『早く結果を出せ』とはっぱをかけられていたようだ。捜査員の間からは『沢尻逮捕は組対部長案件だった』という声も出てきている。実際、普通はあれくらいのずさんな材料しかないなら、逮捕は絶対に課長か部長からストップがかかる。それがハードルを下げて、逮捕にGOを出しているわけだからね。理由はわからないが、上層部が逮捕を後押ししていたのはたしかだろう」

 ここで想起されるのが例の「陰謀論」と批判を浴びた「『桜を見る会』から目をそらすために沢尻を逮捕したのではないか」という見方だ。本サイトは以前、この見方を「陰謀論」と批判する意見に対して、「事件そのものはでっち上げられないが、いまの安倍政権と警察の関係を考えれば、政権の都合に合わせて逮捕を早めた可能性はゼロではない」「疑念を持つのは当然で、むしろ陰謀論として片付けることのほうが思考停止だ」と反論した。また、沢尻を逮捕した警視庁組対部は、菅義偉官房長官の側近警察官僚で、山口敬之氏の逮捕状を止めた中村格・警察庁官房長がかつて組対部長を務めており、強い影響力をもっていることも指摘。さらに、その中村官房長が安倍首相の秘書の息子が被害者となったゲームセンターでの喧嘩を凶悪犯罪を扱う捜査1課に捜査させていたという問題を「週刊新潮」(新潮社)が報じたが、中村官房長の依頼を受けて組織を動かした警視庁捜査一課長が警視庁組対部の参事官をつとめていたことも明らかにした。

前川喜平・元文科事務次官、橋下徹・元大阪市長も「桜を見る会」潰しの可能性に言及
 実際、この「『桜を見る会』から目をそらすための沢尻逮捕」説については、イノセントなジャーナリストやリテラシーのない芸人コメンテーターたちが「陰謀論」とバカにする一方で、権力の内情を知っている人たちからは逆に「疑わしい」「否定できない」という声が出てきている。
 鳩山由紀夫元首相はともかく(笑)、あの橋下徹前大阪市長までが11月21日のAbemaTV『NewsBAR橋下』で「安倍さんが指示したという証拠は無いので、僕はないと思っているし、そう思いたい」とした上で、「桜を見る会」の名簿の廃棄問題にふれ、こう語っているのだ。
「民主国家でもっとも権力を持っている検察や警察が政治権力の不祥事をかばうために事件化したなんてことは思いたくない。ただ、いまの霞が関の状況を見ていると、そう疑ってしまう部分もあると思う」
「安倍政権に近いジャーナリストに対し性犯罪で逮捕状が出たが、警察幹部が執行を止めたと週刊誌で報じられた。そういうことが続くと、都市伝説を支持する人も出てくるだろう。今回、沢尻さんの尿検査の結果が陰性だったと報じられている。本来なら空振りしないよう、陽性が出るタイミングを見計らっていくのではないのか。やはり『桜を見る会』を誤魔化すためにわざわざこのタイミングで逮捕に行ったんじゃないのと疑ってしまう。僕はそういうことはないと思っているけれど」

 そして、自ら安倍政権の謀略攻撃のターゲットになった前川喜平・元文科事務次官も「smart FLASH」の取材にはっきりとこう答えていた、
警察も検察も官邸の意向次第で動く、そういう組織になっていることを感じています。いまの黒川弘務・東京高検検事長など、官邸のイエスマンですよ。警察にしても、警察庁の中村格官房長は、例の伊藤詩織さんの事件の逮捕状執行を止めた人間です。重大な犯罪でも見逃すし、遂に小さな犯罪で都合のいいときに捕まえることもできてしまう。そう考えると、沢尻さんの件も疑惑隠しという可能性は否定できないでしょう」
 これは、橋下氏や前川氏が安倍官邸のためなら行政手続きを無視して無理を通すいまの官僚の実態を知っているからだろう。
 しかも、ここにきて、警視庁組対部と安倍官邸の接点がもうひとつ浮かび上がった。それはほかでもない、沢尻を捜査した警視庁組対部の最高責任者で、捜査の尻を叩いていたといわれる猪原誠司・警視庁組対部長の存在だ。

警視庁組対部長と安倍首相、北村滋・前内閣情報官の関係
 猪原組対部長は“警察庁の暴力団対策のエース”として知られるエリート官僚で、2012年から2014年にかけては福岡県警暴力団対策部長、警察庁暴力団対策課長として、九州の指定暴力団「工藤会」頂上作戦の総指揮をとっている。猪原部長はこの捜査で、警察庁を動かして全国県警から管区機動隊の特別派遣、捜査員派遣などを実現。全警察あげての工藤会摘発に取り組み、2014年9月には工藤会トップの野村悟総裁を逮捕した(逮捕時点では、警察庁暴力団対策課長)。
 指定暴力団とはいえ、地方の暴力団に全警察規模で捜査を展開し、組織壊滅に追い込むというのは異例だが、当時、この工藤会頂上作戦を全面バックアップしたのが安倍官邸だった。
「工藤会頂上作戦はもともと、北九州で元警部が銃撃された事件をきっかけに始まったのですが、当初はここまで本格化していなかった。それが一気に進み始めたのは、安倍政権になってから。官邸が警察ぐるみの体制づくりに相当尽力したと聞いている」
 しかも驚いたことに、安倍首相が自らそのキャンペーン役を買って出ていた。野村総裁逮捕2カ月前の2014年7月18日、福岡市の中洲で福岡県警と地元の連合会が暴力団追放パレードを実施したのだが、そのパレードに安倍首相が参加。「福岡は暴力団の状況が最も厳しい県の一つ。暴力団を壊滅するという決意を持ってパレードしたい」とあいさつしたのだ。
 現役の総理大臣が県警レベルのパレードに参加するのは異例のことで、この安倍首相の異常な入れ込みについては、「自宅や事務所を工藤会系の暴力団に火炎瓶で襲撃された私怨ではないか」という見方も出たほどだった。

 それはともかく、このパレードのとき福岡県警で暴対部長を務めていたのが、猪原氏だ。このパレードや工藤会捜査を通じて、安倍官邸と猪原部長の間に接点が生まれた可能性もあるし、直接のつながりがなくとも、猪原部長が追放キャンペーンに協力してくれた安倍首相に恩義を感じていた部分はあるだろう
 しかも、猪原部長には安倍首相との間をつなぐ具体的なパイプもある。それは、安倍首相の側近中の側近で、山口敬之氏の事件でももみ消しに動いていたことが発覚した北村滋・前内閣情報官(現・国家安全保障局長)だ。
 北村氏は内調トップだった時代の2014年、警察組織向けの『講座警察法』 (立花書房)という専門書の編集委員を務めているが、その第1巻に猪原部長の原稿を掲載しているのだ。
「北村さんと猪原さんは警察庁刑事局時代の先輩後輩。北村さんが刑事企画課長だった2007年頃、猪原さんは警察庁長官官房企画官と刑事局の企画分析課理事官を兼任していて、仕事上の接点も多かった。その頃からの付き合いで、いまもかなり親しいと思うよ」(警察関係者)
 もちろんこれはたんに、両者の間で人脈上の接点があるというだけであり、だからといって、たとえば、北村氏が猪原部長に「何かマスコミが飛びつきそうな大きなネタをやってるなら、逮捕を急がせてくれ」と依頼して、沢尻逮捕が早まったなどというのは、妄想にすぎない。実際、組対5課が今回、捜査を焦ったのは、薬物捜査でライバル関係にある厚労省の通称「麻取」がピエール瀧をあげてマスコミで話題になったため、上層部から尻を叩かれただけではないか、との見方もある。

 しかし、いずれにしても、警視庁による今回の沢尻エリカの捜査がかなり拙速な違法捜査に近いものであったことは間違いない。ところが、マスコミは沢尻を叩くばかりで、その捜査の問題点を一向に批判しないのだ。
 警察の暴走を押しとどめるためにも、そして、「桜を見る会」陰謀論の真偽をはっきりさせるためにも、記者クラブに属する大マスコミがこの沢尻捜査の問題点を検証すべきではないか。