2019年12月15日日曜日

止まらない醜聞炸裂 「最長政権」みじめな転落が始まった

 時事通信が6~9日に行った調査結果では、内閣支持率は、前月比79ポイント減の406%(自民党支持率は前月比71ポイント減の230%)に急落しました。

 作家の適菜収氏は、第二次安倍政権について、「本当にひどい7年間だった。安倍政権がやったのは国と社会に対するテロだった。 一連の安倍案件で国家の信頼性を完全に破壊した。水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃をもくろみ、皇室に嫌がらせを続け、今回の桜を見る会問題では、証拠隠滅を図りながら逃げ回った」と述べています。

 その一方で、麻生氏は文藝春秋で「改憲を実現するために安倍4選が必要述べ、安倍氏もその気になって9日の会見で解散総選挙を断行することに躊躇はない」と語りました。麻生氏がそう述べたのは副総理を続けるという保身の念からと見られています。
 安部首相は、臨時国会であれだけ追及されてもロクな弁明を出来なかったのに「桜を見る会」問題は国会の閉幕と共に「散る」として、年が明ければ全てが霧消すると見ているようです。しかし被害者6800人、被害総額2400億円のジャパンライフ巨額詐欺事件の拡大に、安倍首相が決定的な役割を果たした疑いがある以上、それでは済まされません。

 野党安倍首相追及本部12に開いたヒアリングには、ジャパンライフの元社員A氏が出席し、「桜を見る会」への招待状が如何に顧客に信用を与え、以後大々的に被害者を獲得できたかを説明しました。また、ジャパンライフと安倍夫妻の関係を証拠付ける写真(背景から安倍官邸での撮影と思われる)も有力な追及材料と見做されました。
 ジャパンライフの販売集会で首相の招待状の写真がスライドで映写され、15年度の売上激増の好材料になったという証言も得られています。
 追及本部は年内にさまざまな材料を収集し、年明け早々に開かれる通常国会で追及するという運びです。

 日刊ゲンダイが、「止まらない醜聞炸裂 最長政権みじめな転落が始まった」とする記事を出しました。
 作家 適菜収氏による「(それでもバカとは戦え)最後の一線を越えた…7年間にも及ぶ国と社会に対するテロ」を併せて紹介します。
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止まらない醜聞炸裂 「最長政権」みじめな転落が始まった
日刊ゲンダイ  2019/12/13
〈安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう一期、つまり総裁四選も辞さない覚悟が求められるでしょうね〉
 発売中の月刊誌「文芸春秋」での麻生副総理のこの発言が、自民党内に波紋を広げているという。「ポスト安倍」を目指すと公言している岸田政調会長の派閥の議員が「麻生氏が影響力をもちたいだけだ。老害だ」と批判すれば、石破元幹事長の派閥の議員は「『桜を見る会』問題で長期政権はどうなのかとこれだけ言われているタイミングなのに」と反発した。
 自らの疑惑すら払拭できない厚顔首相が、4選でさらに3年なんてちゃんちゃらおかしいが、「このタイミング」が確かに怪しい。桜疑惑で追い詰められている安倍首相に助け舟を出す狙いもあるのだろう。安倍3選は、二階幹事長が流れをつくった。その二階は既に何度も安倍4選を口にしている。再び二階に流れをつくらせたくない、という主導権争いと、政権の求心力維持。裏を返せば、それほど安倍は苦しい、ということだ。

企業もついに安倍にソッポ
 桜疑惑を受け、世論調査の「次の首相」「次の自民党総裁」で、石破が2位以下を引き離してトップになるのが固定してきた。安倍は小泉進次郎環境相に次ぐ3位に沈んでいる。
 石破はいまや自民党内で政権に厳しいことを言う希少動物みたいな存在だ。それが人気上昇とは、何を意味するのか。世論の「安倍NO」の意思表示だろう。
 今月のロイター企業調査でも、「次の首相に望ましい人物」は石破が17%で1位だった。7月の同調査では安倍が37%とダントツだったのに、今回は16%の大幅減。アベノミクスによる株高の恩恵を受けてきた企業ですら、安倍に嫌気が差してきているのは衝撃的。「すでに腐敗が顕在化している」(食品)、「ごまかしや隠ぺいが目に余る」(サービス)といった厳しい意見もあった。国会を閉じて、安倍や周辺が「桜疑惑から逃げ切った」と思っていたとしても、今度は国民は忘れない。年明けの通常国会が見ものである。

 政治評論家の野上忠興氏もこう話す。
「安倍首相は『桜は散った』と喜んでいるのかもしれないが、臭いモノにフタをしたことで、むしろ逆に、安倍政権の限界を国民に見せてしまった。せめて、正式な記者会見を開いて説明するか、予算委員会に出席して丁々発止のやりとりにも対応するなど、最低限のことはすべきでした。世論は『モリカケに続き、またか』と呆れている。それに伴い、自民党内の空気も変わってきた。悲願の改憲も難しくなってきた。選挙区に帰れば、『安倍さん、もういいでしょう』と言われるそうです。麻生さんや二階さんが『安倍4選』だと言うのは“一丁上がり”になるのが寂しいからで、党内は4選など求めていませんよ」
 安倍はモリカケ問題が火を噴いた1年半前に退陣すべきだった。驕る政権が引き際を誤った末のみじめな転落。自業自得である。 

政権の上から下まで「公私混同」が蔓延
 モリカケ問題と桜疑惑に共通するのは、「森羅万象を担当」と言い放つ全能感あふれる狂乱首相によって権力が私物化され、行政が歪んでしまったことだ。
 森友学園の小学校設立計画には、安倍昭恵夫人や安倍を支える日本会議の影があった。加計学園が運営する大学の獣医学部新設は、安倍自身の“腹心の友”が主役だった。桜は、公金による安倍後援会の接待。そして、破廉恥首相が長きにわたって行政を私物化した結果、ついに官邸官僚までもが同じことをやり出す始末だから性質が悪い。

 12日発売の「週刊文春」がスッパ抜いた和泉洋人首相補佐官の「京都不倫出張」には驚いた。和泉と相手の“美魔女”厚労官僚が京都へ出向いた理由は、ノーベル賞受賞者で京大iPS細胞研究所の山中伸弥教授への“恫喝”。国費で賄ってきたiPS細胞の備蓄事業への支援を来年度から打ち切ると通告するためだった。
 事業は結局、来年度も予算がつく方向となったものの、この美魔女官僚の常套句は「補佐官がおっしゃっているから」だったらしい。和泉が加計問題で前川喜平元文科次官に、「総理が自分の口からは言えないから、私が代わって言う」と迫ったことを彷彿させる言い回しだ。首相の威光をかさに着る和泉と、補佐官の威光をかさに着る官僚という醜悪。2人は京都出張を「公務」と言い張っているが、ハイヤーでの京都観光でかき氷を「あ~ん」する姿まで写真に撮られている。恐るべき公私混同。何をか言わんやである。

今回は致命傷になる
 9月の内閣改造以降、醜聞炸裂が止まらない。公選法違反疑惑で菅原、河井の2人の閣僚が辞任し、首相本人も桜を見る会やその前夜祭に絡んで、公選法、政治資金規正法、財政法などに違反した疑いがいまだ晴れていないが、誰もきちんと説明しない。
 私物化が問題になると、安倍は国会軽視で逃げまくり国民を愚弄。忖度官僚は平気で公文書を改ざん・廃棄し、子供でも分かる嘘をついてごまかす。これほどデタラメな政権はない。安倍がただひたすら政権維持を目的化した結果、この国は完全におかしくなってしまった

 コラムニストの小田嶋隆氏は言う。
「モリカケ問題では公文書の改ざんに加え、役人1人の命まで失われた。私物化された金額も大きく、本当に酷い話なのですが、どうも今の時代の国民は昭和の頃とは違って、『お国の上の人は、あの程度の権力私物化は普通にやっているんだろう』と織り込み済みなのか、怒りが弱かった。ところが、桜を見る会のような露骨なズルや官僚の不倫のように下世話な話には、世論がものすごく反発する。今回は政権にとって致命傷になるんじゃないかとみています。桜疑惑で内閣支持率が大きく下落しましたが、自民党の政党支持率は落ちていません。つまり、次は石破さんでも岸田さんでもいいから、とにかく安倍首相に退場して欲しい、ということでしょう」
 いまさらながらではあるが、ペテン政権がここまで長く続いてきたのは、大マスコミがたいこ持ちをしてきたからに他ならない。マスコミ報道に国民が目くらましされたという意味で、万死に値する大罪だ。
 メディア幹部との会食に精を出す安倍は、今月10日も日経新聞の政治部長らと高級鳥料理で舌鼓を打った。NHKの会長人事でも官邸の介入があったとされる。前田晃伸新会長は安倍を囲む「四季の会」のメンバーだったというし、ますます安倍ヨイショ報道が増えていく可能性が高い。

 政治評論家の森田実氏が言う。
「桜を見る会の疑惑がここまで大きくなっても、新聞は朝日、毎日、東京はこの問題を取り上げるが、読売、日経、産経は問題を報じない。テレビもTBS系とテレビ朝日系以外は取り上げない。メディアが真っ二つに分断されてしまっています。今の日本が取り組むべき喫緊の課題は、地球の気候変動に対し国民生活をどう守っていくのかや、米中対立の中でどう経済を発展させていくのかです。安倍首相はそうした課題を放り出し、『改憲』『改憲』ばかりです。日本の未来にとって、とんでもない間違いを犯していると思います」
 安倍が改憲にこだわるのも「レガシーづくり」という私利私欲でしかない。通算在職日数で歴代最長の政権。しかしその歴史的評価は、史上最低の私物化政権になるだろう。


それでもバカとは戦え
最後の一線を越えた…7年間にも及ぶ国と社会に対するテロ
適菜  日刊ゲンダイ 2019/12/14
 しかし、本当にひどい7年間だった。安倍政権がやったのは国と社会に対するテロだった。これは大げさな表現ではない。
 安保法制騒動では憲法破壊に手を染め、しまいには首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と言い出した。北方領土の主権は棚上げされ、不平等条約締結に邁進。国のかたちを変えてしまう移民政策を嘘とデマで押し通し、森友事件における財務省の公文書改ざん、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚生労働省のデータ捏造など、一連の「安倍案件」で国家の信頼性を完全に破壊した水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃をもくろみ、皇室に嫌がらせを続け、今回の「桜を見る会」問題では、証拠隠滅を図りながら逃げ回った

 要するに悪党が総理大臣をやっていたのだ。この究極の売国奴・国賊を支えてきたのが産経新聞をはじめとする安倍礼賛メディアであり、カルトや政商、「保守」を自称する言論人だった。「桜を見る会」には、統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていたが、安倍とその周辺による国家の私物化が象徴的に表れていたので、ここまで注目されたのである。

 昨年の国家公務員合同初任研修の開講式で安倍は、新人官僚約750人を前に「国民の信頼を得、負託に応えるべく、高い倫理観の下、細心の心持ちで仕事に臨んでほしい」と訓示を述べていたが、恥知らずにも程がある。官僚が「高い倫理観」をもったら困るのは自分だろう。

 国会閉幕を受けた記者会見では、憲法改正について「決してたやすい道ではないが、必ずや私の手でなし遂げていきたい」と表明。「私は立法府の長」と国会で4回も言ったバカなので今に始まった話ではないが、自分の役職や権能すら理解していない。さすがに党内からも「憲法改正は国会が発議すべきもの」との声が上がったが、もはや末期症状である。

 安倍と周辺の一味は嘘に嘘を重ね、時間を稼ぎ逃げ切ろうとしてきたが、ついには「その時々の社会情勢に応じて(反社会勢力の定義は)変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定。これはテロリストがテロの定義はないと言い張るようなものだ。安倍の悪事は最後の一線を越えた

 適菜  作家
1975年生まれ。作家。ニーチェの「アンチクリスト」を現代語訳した「キリスト教は邪教です!」、「ゲーテの警告 日本を滅ぼす『B層』の正体 」など著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ。