2022年7月30日土曜日

国際勝共連合と戦後史の正体(植草一秀氏)

 植草一秀氏が「国際勝共連合と戦後史の正体」という記事を出しました。

 日本への留学経験を持つ文鮮明1954年に統一教会」を韓国で創設し、1968年1月には韓国で「国際勝共連合」を創設しました。日本もそれに連動して同年4月に、岸信介笹川良一児玉誉士夫らによって「国際勝共連合」が創設されました。それは名前のとおり反共活動の拠点でした。
 植草氏によれば米国の外交政策路線がトルーマン・ドクトリンによって大転換した1947年は、これに連動して米国の対日占領政策の基本が民主化から非民主化=反共化=再軍備化に転換した年となりました。そのなかで米国の指令に沿う日本統治の役割を果たしたのが戦犯釈放者であり、前記の3名はその代表格ということでした。後に首相に上りつめた岸信介はCIAのエージェントになっていました。
 1973年には統一教会の開祖である文鮮明と岸信介が写真撮影し1974年に文鮮明、韓鶴子夫妻が来日した際には帝国ホテルで晩さん会が開かれ、当時の福田赳夫蔵相をはじめ多くの国会議員が出席しました。その席で福田赳夫は「アジアに偉大な指導者現る。その名は“文鮮明”である」と絶賛し、万雷の拍手に包まれたということです。
 岸信介の流れを汲む自民党派閥「清和政策研究会」が現在の安倍派の源流で、自民党安倍派と旧統一教会、国際勝共連合の関係は極めて深いと見られます。

 併せてC-CASTニュース:「『ひどいですよ、日本の新聞とテレビは』 旧統一教会問題で弁護士が苦言『特定の宗教団体としか言わない』」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国際勝共連合と戦後史の正体
               植草一秀の「知られざる真実」 2022年7月29日
安倍晋三元首相が銃殺された事件の捜査で山上徹也容疑者に対して奈良地検が4ヵ月間の鑑定留置を求め、7月22日、奈良地検がこれを認めた。
奈良地検は鑑定結果を踏まえて山上徹也容疑者を起訴するかどうかを決める。
この措置は山上徹也容疑者から発せられる声を封じることを目的とするものだと思われる。
山上容疑者は旧統一協会に対する恨みを強く抱いていたと見られる。
その延長線上で攻撃の対象を安倍晋三氏に向けたと見られる。
理由として挙げられているのは安倍晋三氏ならびにその一族の旧統一協会との関わりの深さ
当初、マスメディアは山上容疑者が両者の関係が深いと「一方的に思い込んでいた」ことを強調して報道した。
しかし、その後に事実関係が明らかになり、両者の関係が深いことは山上容疑者の「一方的な思い込み」でなく、客観的事実であることが浮かび上がっている。
これ以外にも安倍晋三氏を標的とした理由についての山上徹也容疑者供述が当初は報じられた。
それは、旧統一協会の問題が極めて重大であるにもかかわらず、警察が適正な捜査を行わないこと、その理由として安倍内閣の影響があると山上容疑者が認識し、憤慨していたことだ。
この点に関する供述は、当初のメディア報道に含まれたが、その後はまったく報じられていない。
メディア情報の情報源の大半は警察発表情報。
山上容疑者は勾留されており、警察以外に山上容疑者の現在の発言を確認できる者はいない。

安倍晋三氏銃殺事件について当初、「言論を封殺するテロ行為」との位置付けが喧伝されたが、その後の捜査によって、山上容疑者の旧統一協会ならびに安倍晋三氏に対する怨恨が動機の殺人事件との性格が浮き彫りになっている。
実際に、山上容疑者の母が旧統一協会に入信し、1億円を超える寄付を行い、山上家の財産が失われ、母が自己破産に追い込まれた事実も判明している。
山上容疑者は裕福な家庭に生まれながら、経済的困窮に陥り、大学進学も諦めざるを得なくなったことが判明している。
それだけでなく、父や兄が旧統一協会問題を背景に自死に追い込まれた経緯も明らかにされている。
旧統一協会による高額献金強要や霊感商法による高額品販売問題は、重大な社会問題として世間を賑わせた。
しかし、第2次安倍内閣発足後は問題が隠ぺいされる傾向を強めた。
この過程で旧統一協会の名称変更が安倍内閣により突然認められた事実も明らかになった。
参院選における旧統一協会票の取り扱いについて安倍晋三氏が深く関与したとの情報も浮上している。
安倍晋三氏秘書を務めた井上義行氏が統一協会と極めて深い関係を有していることも明らかにされている。

1968年4月に日本で創設された「国際勝共連合」の発起人に安倍晋三氏の祖父である岸信介氏、笹川良一氏、児玉誉士夫氏が名を連ねた
国際勝共連合は旧統一協会と一体の関係にある組織。
日本における反共活動の拠点とも言える組織である。

1973年には旧統一協会の開祖である文鮮明氏と岸信介氏が写真撮影している。
1974年に旧統一協会の創設者である文鮮明、韓鶴子(現在の同協会総裁)夫妻が来日した際には帝国ホテルで晩さん会が開かれ、当時の福田赳夫蔵相(後に首相)ら国会議員が出席している。
福田赳夫氏は
「アジアに偉大な指導者現る。その名は“文鮮明”である」
と絶賛した。
岸信介氏の流れを汲む自民党派閥「清和政策研究会」を率いたのが福田赳夫氏であり、安倍晋三元首相である。
自民党清和政策研究会と旧統一協会、国際勝共連合の関係は極めて深いと見られる。

敗戦後日本の最重要転換点は1947年。
米国の外交政策路線がトルーマン・ドクトリンによって大転換した。
連動して対日占領政策の基本が民主化から非民主化=反共化=再軍備化に転換した。
この路線転換のなかで米国の指令に沿う日本統治の役割を果たしたのが戦犯釈放者であったと見られる。その代表が岸信介氏、児玉誉士夫氏、笹川了一氏の各氏である
この3名が国際勝共連合創設の中心人物であったと言ってよい。
安倍晋三氏銃殺事件は図らずも敗戦後日本史の核心に光を当てるパンドラの箱開示の意味を有していると言える。

日本経済の黒い霧 ウクライナ戦乱と資源価格インフレ 修羅場を迎える国際金融市場
(ビジネス社、1870円(消費税込み))https://amzn.to/3tI34WK 
ぜひご高覧ください。Amazonでの評価もぜひお願いいたします。
             (以下は有料ブログのため非公開)


「ひどいですよ、日本の新聞とテレビは」 旧統一教会問題で弁護士が苦言「特定の宗教団体としか言わない」
                        J-CASTニュース 2022/07/29
霊感商法の問題に取り組む紀藤正樹弁護士らが2022年7月29日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題について記者会見し、メディアの報道ぶりについて言及する場面があった。
政治家と旧統一教会との関係について、メディアの間で報じ方に濃淡があることに関する質問に答えた。紀藤氏は「全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」と望みをつなぐ一方で、会見に同席していた山口広弁護士は「日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています。何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか」。この状態が若者のテレビ離れにつながっているとして「本当にこのままだと絶望」だと嘆いた。

「最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています」
記者の質問は、旧統一教会と政治家、とりわけ安倍晋三元首相の家族との関係について「日本テレビやTBSはかなり積極的に報じている一方で、NHK、朝日新聞、テレ朝は非常に消極的」などと指摘した上で「米メディアから、日本のメディアはちゃんと報じていないと言われている」ことへの見解や、今後起こりうる影響について尋ねる内容。
紀藤氏は「それは正直いって、よく分かりません」。その上で、次のように述べた。
(以下引用)「どんな報道でも、最初に(事件が)起こり出すときは、どこかのテレビ局が先鞭をつけて、最終的に全テレビ局やマスコミが報じだすとか、そういうことは過去にもあったので、私は特に特殊な状況だと思っていません。やはり、事実、真実というのは、状況を押し流していくというふうに、信念を持って思っているので、おそらく最終的には、統一教会の問題は、全メディアがきちっと報じるようになると固く信じています(以上引用)

そこに「ひとつだけ」と割って入ったのが山口氏で、「私はもう、日本のテレビと新聞はレベルダウンが著しいと思っています」。横に座っていた紀藤氏もうなずいた。山口氏がとりわけ問題視したのが、「旧統一教会」の固有名詞を報じるタイミングが遅かったことだ。
(以下引用)「何ですか!『特定の宗教団体』としか言わないじゃないですか。月曜日(7月11日)に、Unification Church(旧統一教会)が記者会見するまで。もうとっくに外国の新聞では、Unification Churchの問題を言ってますよ。あるいはネットにはたくさん流れてますよ」(以上引用)

「だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを」
その上で、新聞とテレビの読者・視聴者離れを嘆いた。
(以下引用)「ひどいですよ、日本のこの新聞とテレビは。だから若い人たちはもう見てませんよ、テレビを。そんなにひどいです。ですから私は、本当にこのままだと絶望だと...だから紀藤さんとは年が違うから(編注:紀藤氏は1960年、山口氏は1949年生まれ)考えが違うんですが、本当に悲しいですよ」(以上引用)

政治家による旧統一教会系団体への祝電や集会出席に続く論点になりそうなのが、資金提供の問題だ。米国では90年代半ばに政治家に巨額の資金提供があったことが報じられており、紀藤氏は「お金の問題については日本も同じことが起きている」とみている。資金の流れを具体的に立証できるかが焦点だ。

(以下引用)「統一教会というのはできるだけ銀行送金とかクレジット、通帳を使わない、できるだけ現金でもらうというシステムなので、現金が統一教会に溜まっている。それが証明できれば、つまり政治家との関係が証明できれば、それは贈収賄とかそういう問題になると思う。(これまで立件されていないのは)過去それが証明できていないということを意味するのだと思う。今、関係性がいろいろ議論されているが、お金がどう動いたかは今後の焦点になっていくのではないか」(以上引用)
             (J-CASTニュース編集部 工藤博司)