2022年7月6日水曜日

06- あるか、最後の大逆転 「庶民の敵」政権に逆風強まる

 参院選の公示直前、政府が、電力会社の節電プログラムに参加するだけで2000円相当のポイントをバラまくとブチ上げましたが、小銭で釣ろうとしたのが裏目に出て、コメディアンからも「2000円を電気代から引いたらええやん。ほとんど意味ないと思うよ」とコケにされる始末です。
 国民の72%が「参加するつもりはない」(「参加する」は16%)と回答して、いまや「天下の愚策」と名高いアベノマスクに匹敵する大失策になりかねません、問題の円安対策も、日銀は指し値オペで金利上昇を抑える一方で、値崩れしやすい株価を買い支えるためETF(上場投資信託)を買い入れることに加えて「円買い踏み込むという、事態をより深刻化させる手段しか取れないのが実態です。

 何もしないのに高止まりしていた内閣支持率はここにきて、ようやく下落傾向に歯止めがかからなくなってきまし終盤に入っ参院選の情勢も変わりし、勝敗のカギを握る32の1人区で野党系が盛り返してきましたが、まだまだ与党勢力の増勢を止めるまでには至っていません。
 参院選で自・維新・国民等の与党勢力を勝たせれば、政府は平和憲法を壊憲する憲法改悪を断行して戦争への歯止めをなくし、軍事費を5年以内に倍増させ、軍備を拡大します。
 当然そのための大増税が行われ、社会保障費カット加速することになり、日本は暗黒の時代を迎えることになります。
 日刊ゲンダイが「あるか、最後の大逆転 「庶民の敵」政権に逆風強まる」とする記事を出しました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あるか、最後の大逆転 「庶民の敵」政権に逆風強まる
                           日刊ゲンダイ 2022/7/5
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 節電ポイントのプログラムに72%が「参加するつもりはない」──。
 JNNの世論調査(2、3日実施)の結果に、官邸はひっくり返っているんじゃないか。逼迫する電力需給のシワ寄せを家庭に押し付けんがため、岸田政権が8月をメドにスタートさせる予定の節電ポイント還元制度が大不評だ。
 参院選(7月10日投開票)の公示直前、電力会社の節電プログラムに参加するだけで2000円相当のポイントをバラまくとブチ上げたのだが、小銭で釣ろうとしたのが裏目に出た。“愛国芸人”と呼ばれるほんこんにまで「2000円を電気代から引いたらええやん。これね、アプリでやるからややこしいのよ。高齢の方って、スマホでアプリよう入れへんやん。せやから、ほとんど意味ないと思うよ」とコケにされる始末。「天下の愚策」と名高いアベノマスクに匹敵する大失策になりかねない。ちなみに、「参加するつもり」は16%だった。
 そりゃそうだろう。今年は全国各地で異例の早さで梅雨明け。途端に殺人的な暑さが列島を襲っている。例えば、東京都心は3日まで9日連続の猛暑日(最高気温35度以上)を記録。2015年に記録した8日連続を抜き去り、観測史上最長となった。

 岸田首相はマイクを握れば「万全の体制で国民の皆さんの暮らしを守る」と頼もしいが、口先だけ。口車にウカツに乗ってポイ活に励み、健康を害したら目もあてられない。「節電死」が保障されるわけはない。2000円と命を引き換えにするお人よしはそういないだろう。
 それにしても、人気取りのバラマキがここまで非難されるのは珍しい。何もしないのに高止まりしてきた内閣支持率は下落傾向に歯止めがかからなくなってきた

テレビの自主規制がネット誘導
 JNN調査では前回6月と比べて4.1ポイント減の60.4%。それでもまだまだ高いが、政府の物価対策については「評価しない」が9ポイント増の67%に上り、8ポイント減の20%となった「評価する」を大きく上回った。帝国データバンクの集計によると、食品の値上げは予定を含めて年内累計で既に延べ1万5257品目。最終的には2万品目を超える可能性が高いという。円安物価高で庶民の暮らしはどんどんカツカツになっている。
 岸田は「今年の春闘の賃上げ率2.08%は過去20年間で2番目に高い」と胸を張っているが、定期昇給を除く賃上げ分は1%にも満たない。消費者物価上昇率が2%を超えているのだから、実質賃下げだ。それなのに、ロクに手を打たない。原油価格高騰で過去最高益を叩き出す石油元売りに補助金を出して、「1リットル当たり210円であるところ、170円程度の水準に抑えている」とアピールしているが、総額1兆6000億円もの予算に見合った効果が出ているのか。

 物価高を放置し、付け焼き刃のゴマカシで乗り切ろうとしている国民愚弄政権に対し、有権者の怒りが全国規模で広がっている。終盤に入った参院選の情勢も変わってきた。大手メディアは当初、総じて「自民圧勝」と報じてきたが、勝敗のカギを握る32の1人区で野党系が盛り返してきた。野党が候補を事実上一本化した11選挙区のうち、接戦区がじわり広がり、「庶民の敵」でしかない政権に逆風が強まっている。最後の大逆転はあるか。
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「野党が持ち直してきた背景には、テレビの報道姿勢が少なからず影響しているとみています。自民党から『選挙報道の公正中立』を強く求められているテレビが萎縮し、自主規制を敷いて参院選を積極的に扱わない。民放と比べれば、NHKは時間を割いている方ですが、それでもかつてと比較すれば少ない。それが当初は与党に有利に働いていた。ところが、情報に飢えた有権者がネットで検索すると、失言、暴言、放言などで炎上した自民党議員の動画などが次から次へと流れてくる。野党がある程度の勢力を維持して政府のチェック機能を果たし、国会に緊張感を取り戻させなければダメだと考える有権者が増えているのではないでしょうか」

身内以外はすべて敵、批判を許さない本性
 防衛費倍増を正当化しようと、ウクライナ戦争をこう引き合いに出したのは舌禍の常連、「ナチスの手口に学べ」の麻生副総裁だ。
「子どもの時にいじめられた子はどんな子だった。弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられない」
国も同じ。強そうな国には仕掛けてこない。弱そうな国がやられる
 第1次安倍政権で首相秘書官を務め、国政返り咲きを狙う安倍派の井上義行候補の同性愛差別は、論評にすら値しない。出陣式でマイクを握り、こうがなり立てていた。
「僕はあえて言いますよ。同性愛とかいろんなことでどんどん可哀想だと言って、じゃあ家族ができないで、家庭ができないで、子どもたちは本当に日本に本当に引き継いでいけるんですか」

 野党がそろって主張する消費減税をめぐり、選挙の陣頭指揮を執る茂木幹事長からして、「年金財源を3割カットしなければならない」「社会保障を3割カットしなければいけない」などと、繰り返しドーカツする政党だ。
 青森選挙区に立つ新人議員の応援で山際経済再生相が「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞きませんよ。だから皆さんの生活を本当に良くしようと思うなら、やはり自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と言い放つのもさもありなんだ。
「山際氏は民主主義を理解していない。与党の声しか聞かないとは恫喝による独裁政治だ」(立憲民主党の逢坂代表代行)、「ずいぶん傲慢になった」(国民民主党の玉木代表)、「断じて許されない暴言。野党の声は無視するのが岸田政権か。一体どこが『聞く耳を持つ』のか」(共産党の小池書記局長)などと、野党が一斉に猛反発するのは当然だが、自民の本性がにじみ出ただけ。
 身内以外はすべて敵。政権批判は許さない。安倍元首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と露骨にイキったのは、オブラートに包む知性を欠いているからだ。

日銀が踏み込むデタラメの極み
 お天気報道に明け暮れる大メディアの選挙無視、絶えない与党や関係者の舌禍や醜聞。パパ活疑惑で離党し、比例選出なのにバッジを外さない元岸田派のホープの吉川赳衆院議員(比例東海)。衆院小選挙区定数「10増10減」をねじ曲げようとし、セクハラ疑惑から逃げ回る細田衆院議長の存在も忘れちゃいけない。これで自民党が圧勝ならば、この国の民主主義はもうオシマイだ。
 岸田政権が青天井の円安物価高に対処できないのは明白だ。この間、日銀が必死でやっているトチ狂った市場介入によって、日本経済は未曽有の大混乱に陥る可能性がある。アベノミクスに固執する黒田総裁が居座る日銀は、決まった利回りで国債を無制限に買う指し値オペで金利上昇を抑える一方で、低金利による円安進行で値崩れしやすい株価を買い支えるためETF(上場投資信託)を買い入れている
 アクセルとブレーキを同時に踏むような矛盾に満ちたダブル介入を先月17日に実施しているが、1ドル=140円が迫る中、円買いに踏み込むトリプル介入が現実味を帯びているという。通貨安を食い止めたければ金利上昇を容認するのが筋なのに、アベノミクスの失敗を糊塗するため、デタラメの極みに突っ走ろうとしているのだ。

 政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。
物価の番人である日銀総裁は庶民を苦しめる物価高対策をやり、平和憲法を順守しなければならない首相は軍事同盟のNATO(北大西洋条約機構)に喜々として首を突っ込んでいる国民は完全に置き去りです参院選で自公与党を勝たせれば、防衛費を捻出するための大増税が待ち受けています。社会保障費カットも加速しかねない。与党の暴走を食い止めるには投票率アップで対抗するしかありません。ゆでガエルに甘んじるのか、抜け出すかの分かれ目です」

「プーチンの戦争」を止められないロシア、終身皇帝をいただくことになる中国。いずれも、専制主義体制を固めたターニングポイントは憲法改正だった。選挙はラスト3日間が勝負。まだ十分に間に合う。