2022年7月25日月曜日

25- 旧統一教会と関係ある安倍派議員は35人/「統一協会」批判が30年近く途絶えていたワケ

 日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップしたところ。その数は35人で安倍派の約4割に上りました(あくまで判明分のみ)。その記事中に、1974年教団が「希望の日」と称し、帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸信介氏、福田赳夫氏、安倍晋太郎氏(父)など40人の自民党議員が出席し、蔵相だった福田赳夫氏登壇し「偉大なる指導者その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして・・・」などとスピーチすると会場は万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしたことが報じられています恐ろしいばかりの話です。

 併せて同紙の記事:「統一協会批判が30年近く途絶えていたワケ 合同結婚式取材をエサにメディアを操作」を紹介します。
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旧統一教会と関係ある「安倍派議員35人」のリストがコレだ! 自民党内でも圧倒的な人数
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 安倍元首相銃撃事件で再燃した「政治と宗教」への関心は高まる一方だ。〈#自民党って統一教会だったんだな〉がツイッターでトレンド入り。まさにその通りで、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の政界への浸透はすさまじい。とりわけ群を抜いているのが安倍派(清和会)だ。
 日刊ゲンダイがジャーナリスト・鈴木エイト氏から入手した旧統一教会と関係のある国会議員100人超のリストを基に、安倍派所属の議員をピックアップ。その数は35人に上った。もっとも、あくまで判明分のみだ。
 党内最大派閥の安倍派は21日に総会を開催。総力支援を受けて参院選で初当選した生稲晃子議員ら新人・元職らの加入などで4人増え、21日時点の会員数を「97人」と発表した。となると、旧統一教会と関係のある議員はおよそ4割。ア然とするほかない人数だ。
 ほかにも慣例により、党や安倍派から離れている細田博之衆院議長(当選11回)も関連イベントに出席、講演を行った過去もある。安倍側近でありながら、出戻りが難航している高市早苗政調会長(当選9回)は、フロント団体「天宙平和連合」の行事に祝電を送っていた。安倍元首相が昨年9月にビデオメッセージを送り、銃撃の要因のひとつとなったのも、この団体のイベントだった。


















福田赳夫元首相も「偉大なる指導者、文鮮明」と絶賛
 なぜ、こうも問題教団と親密なのか。清和会の成り立ちもまた大きく影響している。
 安倍元首相が敬愛してやまなかった祖父の岸信介元首相は、旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の創設を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた教祖・文鮮明の早期釈放を求め、当時のレーガン大統領に「元首相」の立場で嘆願書を送るほど入れ込んでいた。強い結び付きは娘婿の安倍晋太郎元外相にも引き継がれ、信者を議員秘書として斡旋し、議員を教団セミナーに送り込んでいたという。
 一方、清和会のもうひとつの源流である福田赳夫元首相も熱が入っていた。教団が「希望の日」と称し、1974年に帝国ホテルで大々的に開催した晩餐会には岸氏、福田氏、安倍氏(父)など40人の自民党議員が出席。蔵相だった福田氏は登壇し、「偉大なる指導者現る。その名は文鮮明」「文先生の高邁なご教示にあずかりまして、本当に今日はいい日だな、いい晩だな」などとスピーチ。会場は何かと万雷の拍手に包まれ、福田氏は文鮮明と熱い抱擁を交わしていた
「統一教会とつながりを持つ議員は自民党の中でも清和会が圧倒的です。岸元首相以来の流れが今なお引き継がれ、安倍元首相の再登板で強まったといえます」(鈴木エイト氏)
 自民党「文教族」の中核を成してきた清和会は、「カルト族」が実態か。


週刊誌からみた「ニッポンの後退」
「統一協会」批判が30年近く途絶えていたワケ 合同結婚式取材をエサにメディアを操作
                         日刊ゲンダイ 2022/07/24
「母親が統一教会の信者で、多額の寄付をして破産させられ恨みがあった」
 安倍晋三元首相を暗殺した山上徹也容疑者は、犯行動機をおおむねこう話しているようだ。
 週刊文春(7月21日号)によると、山上の伯父は、母親が寄付した総額は1億円になるのではないかといっている。山上の父親は自殺し、重度の障害のある兄と共に不遇な子ども時代を過ごした。

 現在は世界平和統一家庭連合と名前を変えているが、統一教会と聞けば、われわれ古い人間は30年ほど前の大騒動を思い出す。
 桜田淳子、山崎浩子、飯干景子と書いても、覚えている人は少ないだろうが、桜田は、山口百恵や森昌子と「花の中三トリオ」といわれた超アイドル歌手だった。山崎は新体操の女王といわれ、飯干はワイドショーの人気キャスター。
 この3人娘が、こともあろうに霊感商法で世の批判を受けている統一教会に入信しているとスッパ抜いたのは週刊文春(1992年10月7日号)だった。
 統一教会の悪名を広く知らしめたのは、1980年代中ごろから「朝日ジャーナル」(朝日新聞社・休刊)が始めた「霊感商法」批判キャンペーンであった。霊感商法とは、人の不幸につけ込み、それが先祖の因縁に理由があるなどと不安をあおり、壺や多宝塔、高麗人参濃縮液などを原価の数十倍から数百倍で売り付けるものである。朝日新聞が1987年に集計したところによると、1984年以降の被害は全国で1万3000件、180億円にのぼったという。

 山崎は統一教会に入信して、韓国のソウルで開催される合同結婚式にも参加すると報じられた。合同結婚式というのは、見ず知らずの男女を文鮮明総裁(当時)が選び、スタジアムで見合い・結婚させるものだが、1988年には6500組が結婚したといわれている。
 直後、さらなる激震が走った。桜田淳子もすでに入信していると週刊文春が報じたのである。そして飯干も入信。

 反社会性に対する批判が大きくなることを恐れた統一教会側は、合同結婚式に話題を変えさせようと大々的なマスコミの情報操作に乗り出す。教会を批判するメディアには結婚式の取材をさせない、協力的なメディアには結婚相手の情報を与えるというものだったが、メディアはやすやすとその手に乗ってしまった
 その後、山崎は姉の懸命な説得によって、飯干は父親たちによって、統一教会による“洗脳”を解かれ、「脱会」を決意したのである。
 飯干は週刊文春(11月12日号)に手記を寄せ、教会幹部たちにこうただした。信者同士の結婚といわれている合同結婚式で、なぜ、日本の女性信者が統一原理のトの字も知らない異国の男性に嫁がされなくてはならないのか霊感商法とは関係ないと教団は公にコメントを続けながら、なぜ多くの元信者が統一教会の名の下でそれを行ったと証言しているのか
 こうした“告発”をメディアはもっと掘り下げ、辛抱強く批判キャンペーンをすべきだったが、3人娘騒動の嵐が過ぎると、報道は次第に絶えていく。

 統一教会の説明によると、山上容疑者の母親は、この大騒動の後に入信したようだ。事件後、先の伯父に母親は、「私が統一教会に入ったことは徹也の人生には影響していない。事件と統一教会は関係ない」と話しているという。
 この30年近く、統一教会に関する報道のあり方は正しかったのか。今回の事件を機に、教団の闇を徹底的に洗い直し、追及するのはメディアがやらなければいけない重要な課題である。(文中敬称略)      (元木昌彦/「週刊現代」「週刊フライデー」元編集長)