日本共産党国会議員団の「旧統一協会問題追及チーム」の第2回会合に招かれた紀藤正樹弁護士によると、これまで弁護団に寄せられた統一教会献金被害の相談件数は2万8236件、被害額は約1181億円で、これに消費者センターが18年まで集計した相談件数・被害額を合わせると、相談件数は3万4537件、被害額は1237億円に達します。
紀藤弁護士は「この被害額は被害の一部」で「一般的に実態の10分の1から100分の1が統計に表れる。仮に10分の1だとしても、1兆円を超える被害が過去に起きている」と述べました。
日本の統一教会は年間400億円~600億円を韓国の本部に送り続けているといわれているので1兆円超と言われても十分に納得できる数字です。こうした組織が選挙時に自民党にとって有利に作用するからということで、何よりも宗教団体ということを隠れミノにして長年温存されてきたわけです。
弁護士は宗教団体を隠れミノにされると信仰の自由をむげに冒せないということから実際には躊躇することがあるということです。その点は政党も同じなのですが、それを踏まえつつも、政党には政治問題として追及できる余地があります。共産党「旧統一協会問題追及チーム」の活躍が期待されます。
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霊感商法被害1237億円 霊感商法対策弁連 紀藤弁護士が報告 党国会議員団追及チーム会合で
しんぶん赤旗 2022年7月27日
旧統一協会などの霊感商法が過去最大の消費者被害を生んでいる実態が26日、日本共産党国会議員団の「旧統一協会問題追及チーム」の第2回会合で示されました。同会合に招かれた紀藤正樹弁護士が報告したものです。(関連記事下掲)
隠れた被害者100万人超
全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料によると、全国にある弁護団のもとに寄せられた相談件数は1987~2021年で2万8236件。被害額は約1181億円です。これに消費者センターが18年まで集計した相談件数・被害額を合わせると、相談件数が3万4537件、被害額が1237億円で、巨大な被害の実態が浮き彫りとなりました。
紀藤氏は「1237億円という被害額は、被害の一部だ」と指摘。「一般的に消費者相談の窓口が十分に機能していれば10分の1くらいが統計に表れる。機能していなければ100分の1と言われる。仮に10分の1だとしても、1兆円を超える被害が過去に起きているとなれば、霊感商法の被害は憲政史上最大の消費者被害と言える」と強調しました。
その上で紀藤氏は、安倍晋三元首相の事件を考える際には、相談件数の量も重要だと指摘。「金額も巨額だが相談件数も3万4537件で、10倍とみたら34万の被害がある。その周りに家族もいることから、さらに3~4倍と考えればゆうに100万人以上の被害者が過去に綿々と見えない形で埋まっている。その救済が精神的にも経済的にもできていないことが事件の一端にあるのではないか」と述べました。
また、カルト宗教が引き起こす社会問題は (1)対社会妨害型 (2)経済被害型 (3)信者収奪型 (4)家族破壊型―という4分類で現れると指摘。霊感商法は経済被害型になると述べました。
紀藤氏は「組織的にこの四つすべてを行っている大規模な団体は、日本では基本的にオウムと統一協会ぐらいしかない。それをなぜ放置してきたのか。大きな謎だ。政治とカルト宗教の問題をきちんと決別できていない日本社会の問題として考えなければならない」と語りました。
徹底追及 統一協会
国会できちんと調査を 党追及チーム会合で紀藤弁護士が要望
しんぶん赤旗 2022年7月27日
日本共産党国会議員団は26日、「旧統一協会問題追及チーム」の第2回会合を開き、旧統一協会の被害に詳しい紀藤正樹弁護士を招いてヒアリングを行いました。
紀藤氏は霊感商法などの被害の問題について「国会内できちんと調査していただきたい」と要望しました。紀藤氏は、オウム真理教事件をあげ、なぜ国会の中で調査委員会が開かれなかったのかと指摘。「この時に調査委員会が開かれていれば、カルト問題に対して、どう法的に対応できたのか、改善策などにつながったはずだ。オウム事件が解決できていれば、いまの統一協会はなかったかもしれない。事件に対してきちんと総括していないことが日本の現状としてあるのではないか」と問題提起しました。
また、紀藤氏は「1987年に旧統一協会の販売会社だったハッピーワールドは、霊感商法をやめると宣言し、警察の捜査が止まった。その後、たった5年で文鮮明が日本へ入国する。また、2007年代から旧統一協会の霊感商法の摘発が続いていたが、09年にコンプライアンス宣言をすることで、また捜査が止まってしまう。その後、名称変更がなされてしまう。歴史的に見ても、そんなことが起きてしまうのは異常ではないか。こうした問題は政治の力でがんばっていただきたい」と呼びかけました。
追及チーム責任者の小池晃書記局長は「カルト集団による被害者救済の問題は、党派を超えて力を合わせていかなければならない。国会調査機関も必要だ。他党とも相談して進めていきたい」と応じました。
最後に紀藤氏は「(旧統一協会の問題を)他のメディアが取り上げてくれないときに『赤旗』は報じてくれた。それを知らない人がいることは正直言ってびっくりする。現場で苦労してきた人間からすると感謝の気持ちがある。私は私の立場でがんばるが、共産党は共産党の立場でぜひがんばっていただきたい」と語りました。
徹底追及 統一協会
協会と関係 政治家に恨み 容疑者の手紙とツイート 安倍元首相銃撃事件
しんぶん赤旗 2022年7月27日
「一生を歪ませた反社会的組織だ」
安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件は、国内外に大きな衝撃を与えました。殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、自身の母親が入信した旧統一協会(世界平和統一家庭連合)を恨み、協会側と「つながりがある」と考えて安倍氏を狙ったとされます。どんな理由があっても暴力は許されません。ただ、事件の背景にある旧統一協会の闇は徹底的に解明が必要です。山上容疑者は協会をどう見ていたのか―。(統一協会取材班)
「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産、この経過と共に私の10代は過ぎ去りました」
山上容疑者は犯行の直前、旧統一協会を批判するブログを運営している男性に手紙を送り、同協会への約30年間の「因縁」をつづりました。
「その間の経験は私の一生を歪(ゆが)ませ続けたと言って過言ではありません」と積年の恨みを書き連ねています。旧統一協会の開祖・文鮮明(2012年に死去)一族への強い殺意に触れながらも「私にはそれが不可能な事は分かっています」としています。
なぜ、山上容疑者は安倍元首相を狙ったのか ―。手紙で同容疑者は、安倍氏について「本来の敵ではない」とする一方で「現実世界で最も影響力のある統一協会シンパの一人」と記しています。
安倍氏は21年9月12日、旧統一協会系の天宙平和連合(UPF)がオンラインで開いた集会にビデオメッセージを贈り、文鮮明の妻で同協会トップの韓鶴子総裁に「敬意を表します」と持ち上げました。ライブ配信された集会の動画は、複数のウェブサイトに転載されました。
山上容疑者は逮捕後、ビデオメッセージの動画などをみて「(協会側と)つながりがあると思った」と供述したと報じられました。
山上容疑者は、手紙の末尾に自身のツイッターのアカウント(現在は閉鎖)を記していました。
本紙は、ツイートの内容を確認。山上容疑者は「オレが14歳の時、家族は破綻(はたん)を迎えた」とし、別のツイートで旧統一協会を「何十年も前から社会問題化し、もはや反社会的組織である事を覆しようもない」と批判していました。
安倍氏が首相在任中の19年10月、山上容疑者は「オレが憎むのは統一協会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」と投稿。翌年11月にはニュースサイトを引用する形で「統一協会系閣僚9人」などと書き込んでいました。政治家との関係に注目していたとみられます。
旧統一協会やその関連団体の行事への参加、会費の支出、それらの団体から選挙で支援を受けるなど、自民党を中心に少なくない国会議員が協会側と関わりをもっています。しかし、自民党は事件後も旧統一協会と政界の関係をめぐる調査と実態解明に背を向けています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は12日の会見で、山上容疑者の犯行を「いかなる理由があろうとも決して許されない」と批判。その上で、政治家が旧統一協会や関連団体の活動を支持するような行為は「厳に慎んでいただきたい」と重ねて強調しました。