2022年7月31日日曜日

統一協会と自民党 闇の解明からの逃げ許されぬ ほか(しんぶん赤旗)

 山上容疑者による安倍晋三氏銃撃事件を機に、旧統一教会が自民党議員に深く食い込み、選挙時に特定の議員を応援をする見返りに、政権の庇護を得ていた事実が暴露されるに至りました。政教分離は憲法上の大原則であるのに、統一教会が政権の庇護を得ながら信者から社会的常識を大きく逸脱する額を献金させるという形で大収奪を行うことは、許されないことです。これを機会に統一教会の悪行を根絶して欲しいものです。

 しんぶん赤旗が下記の4つの記事を出しました。
 ・【主張】 統一協会と自民党 闇の解明からの逃げ許されぬ
 ・政治家の圧力“大切なミッション” 警察・行政の動き封じる 手口を弁護士らが告発
  特派員協会で会見
 ・15年申請直前 名称変更拒否を要請 下村文科相に弁護士ら
 ・福田総務会長「何が問題か分からない」 岸防衛相 霊感商法「認識していた」 自民
  から開き直り発言
 色々なメディアが既に報じていることと重なる部分はありますが、独自の括りと切り口で分かりやすくまとめられています。
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【主張】 統一協会と自民党 闇の解明からの逃げ許されぬ
                       しんぶん赤旗 2022年7月29日
 安倍晋三元首相銃撃事件を機に、自民党と旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の癒着の解明が焦点に浮上しています。岸田文雄政権の複数の閣僚は、選挙支援を受けたことや、関連団体のイベントであいさつしたことを認めました。多くの自民党議員が同団体関係メディアで紹介されていることも明らかになっています。旧統一協会は、霊感商法などで消費者被害を拡大している反社会的カルト集団です。政権党との闇の関係を徹底究明することは、政治の責任です。「党としては一切関係ない」(茂木敏充自民党幹事長)と、調査をしないことは許されません。

関係認めても反省示さず
 旧統一協会との関係を認めた閣僚は3人です。末松信介文部科学相は、関連団体にパーティー券を購入してもらったと22日明らかにしました。二之湯智国家公安委員長は26日、2018年に京都府内で行われた同団体関係のイベントで実行委員長を務め、あいさつしたと語りました。安倍元首相の実弟・岸信夫防衛相も同日、旧統一協会メンバーと付き合いがあり、選挙を手伝ってもらったと述べました。しかし「常識的な範囲内」(末松氏)「政治家にはいろんな方と付き合いがある」(二之湯氏)と無反省です。岸氏は「選挙ですから、支援者を多く集めるということは必要」と開き直りました。
 先の参院選比例代表で同党内13位で当選した井上義行議員(第1次安倍政権での首相政務秘書官)は旧統一協会の「賛同会員」であり、支援を受けていました。
 現衆院議長の細田博之議員も19年に旧統一協会系行事に招かれ、スピーチしていました。同団体と一体の右翼団体・国際勝共連合系のメディアを見ると14年以降だけで自民党の国会議員・地方議員80人超が関連団体での講演やインタビューなどで掲載されています(本紙27日付)。自民党と旧統一協会が深く広く結びつき、持ちつ持たれつの関係を築いてきたことに疑問の余地はありません
 いま解明が急がれるのは、旧統一協会が「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称変更することを文化庁が認めた経過です。文化庁は宗教法人制度の運用を担当しています。
 旧統一協会は1997年ごろから名称変更を求めていましたが、団体の実体は変わっていないと拒否されてきました。ところが安倍政権下の2015年に方針転換され、変更が認められました。文化庁を所管するのは文科省で、安倍元首相側近の下村博文氏が文科相でした。同氏は旧統一協会系の団体から献金を受けたり、機関紙に登場したりしています。政治的圧力の疑いが濃厚です。下村氏は関与を否定していますが、文化庁は経過を隠しており、疑惑は深まります。名称変更が消費者被害を深刻化させる転機になった可能性があるだけに、曖昧にできません。

臨時国会で徹底質疑を
 旧統一協会が日本で活動を本格化させたのは1967年です。岸信介元首相らが反共思想で結びついて支援し、選挙などで利用しました。旧統一協会側は議員秘書の派遣もしました。いま両者は改憲推進などで軌を一にしています。旧統一協会との決別は日本の民主主義にとっても焦眉の課題です。8月3日召集の臨時国会で究明が必要な重要テーマの一つです。


徹底追及 統一協会
政治家の圧力“大切なミッション” 警察・行政の動き封じる
手口を弁護士らが告発 特派員協会で会見
                       しんぶん赤旗 2022年7月30日
 母親が旧統一協会(世界平和統一家庭連合)信者の山上徹也容疑者(41)が安倍晋三元首相を銃撃した事件をうけ、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の弁護士らが29日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見し、旧統一協会の反社会的行為と被害の深刻さを告発しました。
(写真)旧統一協会の文鮮明、韓鶴子夫妻の写真が掲載されている1冊3000万円の本



 旧統一協会に入信した山上容疑者の母親は、2002年ごろに自己破産したとされています。全国弁連の川井康雄事務局長は、同協会は教区を細かく分け過酷な献金ノルマを信者に課していたと指摘。1冊3000万円もする「聖本」を購入させていたことを紹介しました。

名称変更が拍車
 旧統一協会の霊感商法は07年ごろから捜査当局の摘発が始まります。川井氏は「刑事摘発は、第1次安倍政権が終わってから増え、第2次安倍政権が始まってからぱったりなくなった」と説明しました。
 また旧統一協会がその正体を隠して勧誘していることが特徴だとして、その手法に拍車をかけたのが15年に名称を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更したことだと強調しました。
 全国弁連の山口広代表世話人は、旧統一協会の開祖である文鮮明が米国で脱税などに問われ、1980年代に1年ほど刑務所に収容されたことを紹介。「そこから政治家に食い込み、警察や行政が動かないよう政治家から圧力をかけることが旧統一協会にとって非常に大切なミッションになっている」と述べました。

信者の子どもは
 35年間にわたって違法な献金集めの被害者救済に取り組んできたという山口氏。親が信者の子どもは (1)お金がなく貧しい生活を強いられる (2)集団結婚に参加させられる、という二つの苦しみがあると指摘。「安倍元首相の事件は、間違っているが、(親が信者のため)苦しんで、苦しんできた山上容疑者が起こしたことを理解してほしい」と語りました。
 また山口氏は87年にこの問題に取り組み始めたころには、自宅に毎日200~300本の電話がかかり、近所などに10万枚もの誹謗(ひぼう)中傷ビラが配布されるなど嫌がらせがあったと明かしました。
 紀藤正樹弁護士は、勧誘、霊感商法、集団結婚という旧統一協会の核となる行為がすべて最高裁で違法と確定していることに言及。判決が確定しても「非常識なほど法律を守らない、被害者に謝罪しない組織だ」と述べました。


徹底追及 統一協会
15年申請直前 名称変更拒否を要請 下村文科相に弁護士ら
                       しんぶん赤旗 2022年7月30日
 旧統一協会(世界平和統一家庭連合)が名称変更を申請する直前に、霊感商法の被害救済にあたる弁護士グループが、当時の下村博文文部科学相や文化庁長官らに変更申請を認証しないよう申し入れていたことが29日、分かりました。弁護士グループは1990年代から同様の申し入れを繰り返しており、参加してきた弁護士は「文化庁宗務課は私たちに『変更させない』と言ってきたので、変更の認証は驚いた」と証言しています。
 旧統一協会は2015年6月2日に下村文科相に名称変更を申請し、同8月26日に認証されました
 弁護士グループの全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が申し入れたのは、同協会が申請をする約2カ月前の15年3月26日。下村文科相、文化庁長官、同庁宗務課長あてに申し入れ書を提出しました。
 申し入れ書では、旧統一協会が同年2月に責任役員会議で正式名称を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更すると決定したことを紹介。旧統一協会への社会的批判が高まったことで資金獲得が困難になったため、名称変更で正体を隠して資金や人材獲得をしようとしていると指摘しています。
 全国弁連のメンバーである渡辺博・霊感商法被害救済担当弁護士連絡会事務局長は「97年ごろは旧統一協会が名称変更を狙っていたので、頻繁に宗務課へ足を運び、名称変更をさせないよう申し入れていた。当時は宗務課も『変更はさせない』と言っていた。だから15年に変更を認証したときは驚いた」と証言します。
 97~98年に宗務課長をした前川喜平元文科事務次官も「当時、弁護士らから名称変更をさせないよう要請があったことは聞いていた。旧統一協会は問題ある団体なので、申請そのものをさせなかった」としています。
 下村氏は安倍晋三政権で文科相に就任。旧統一協会系の世界日報社から、自身が支部長の自民党支部で16年に6万円の献金をうけるなどしていました。(統一協会取材班)


旧統一協会と癒着
福田総務会長「何が問題か分からない」 岸防衛相 霊感商法「認識していた」
自民から開き直り発言
                       しんぶん赤旗 2022年7月30日
 「霊感商法」など反社会的な活動で問題になっている旧統一協会(世界平和統一家庭連合)と自民党や同党議員との癒着に関し、29日も自民党幹部や閣僚から無責任に開き直る発言が相次ぎました
 福田達夫総務会長は記者会見で、旧統一協会との関係について、「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と言い放ちました。
 福田氏は「僕自身、個人的には全く関係がない」とし、「わが党が組織的に強い影響を受けて政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、僕の今の理解だと一切ない」と主張。「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」と注文もつけました。
 岸信夫防衛相は記者会見で、自身が旧統一協会のメンバーから選挙支援を受けていた問題について、同協会が霊感商法や高額献金で社会問題化している団体だと「認識していた」と述べました。
 記者から、問題を認識しながら電話作戦などで協力してもらった責任について問われた岸氏は、「選挙ではさまざまなバックグラウンド(背景)を持つ方が手伝うことがあり、そのうちの一部だ」と開き直り、今後も支援を受けるのかとの問いには、「選挙の時に適切に判断して対応する」と述べ否定しませんでした。
 岸氏は支援を受けたのは「私というよりも選対の中で判断した話だ」と弁解。政治家が関係を持つことで、同協会に“お墨付き”を与えるのではと問われ、「そういうところまで候補者自身(岸氏)が考えていなかったというのが実態だ」と開き直りました。