2022年7月21日木曜日

21- 暗殺の簡潔な理由 〝安倍晋三が最も影響力のある統一教会のシンパだから”(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏は先の記事:「大越健介のフェイクニュース - 安倍晋三と統一教会との関係を全力で否定において、マスコミは、山上徹也による事件の動機の核心である「安倍晋三と統一教会との関係」の認識について、「勘違い」とか「一方的な思い込み」とか「逆恨み」の言葉を当てて説明しているが、それは安倍晋三を擁護するための欺瞞の弁法で、容疑者は、安倍晋三が統一教会の広告塔であり、日本におけるシンボル的存在だから命を狙ったのであって、容疑者の動機と行動に矛盾はなく、不明瞭な点はないと述べています(容疑者は、統一教会に復讐を果たすべく20年以上統一教会を研究し、記者たちよりも詳しい知識を持っているとも)。

 今度の記事では、それにもかかわらずテレ朝「報ステの大越健介氏やNHK・NW9の田中正良氏らが暗殺事件のニュースのたびに「なぜ犯人が安倍さんを狙ったのか分かりません」「犯行の動機の解明が待たれます」と言うのを不審に思っていたが、おそらくそれは、早く山上徹也の背景を調べ、「反安倍」につながる過去の証拠材料を見つけて、統一教会との関連での銃撃でなかったことを明らかにしろ」という、警察に対する教唆と圧力だったのだと述べています。そして事態はそれと逆の方向に動いていると。
 いずれにしてもこの惨劇の原因が、統一教会と安倍氏との深い関係にあることは明白です。
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暗殺の簡潔な理由 - ”安倍晋三が最も影響力のある統一教会のシンパだから”
                         世に倦む日々 2022-07-19
先週、NW9の田中正良や報ステの大越健介は、暗殺事件のニュースのたびに「犯行の動機の解明が待たれます」と言った。決まり文句のように、「なぜ犯人が安倍さんを狙ったのか分かりません」と繰り返していた。山上徹也の動機は誰の目にも明快で、安倍晋三が統一教会の広告塔だから狙ったことは明白だ。動機に不審な点は何もない。だが、その核心から話を逸らし、無視し、強引に捻じ曲げ、統一教会と安倍晋三とは無関係だと言い張り、犯人の思い込みだとか思い違いだと言い、安倍晋三の側に撃たれる理由はないとマスコミは強調した。

「犯行の動機の解明が待たれます」という田中正良や大越健介の言葉は何を意味しているのだろう。そう不審に思っていたが、おそらくそれは、警察に対する教唆と圧力だったのだろう。つまり、早く山上徹也の背景を調べて、安保法制の反対デモに出ていたとか、安倍批判の投稿をネットに発信していたとか、そうした反安倍の過去の証拠材料を見つけろという意味のシグナルだったのに違いない。もうすぐ警察がそれを探して提示するから、皆さんもう少しお待ち下さいと国民にメッセージしていたのだ。それがNHKやテレ朝の期待する「真の動機」だっのだ。

7月13日に東スポが不審な記事を出し、「山上容疑者の背後に2つの〝反アベ団体〟か 捜査当局が重大関心」と報じた。全くのガセネタで、何の根拠もないデマの散布だが、これを東スポに書かせた人間がいる。警察に対する介入の政治であり、早くこの線で「背景」を捏造しろという手回しの合図だったと看取できる。併せて、同13日に片山さつきが「警察庁長官に『奈良県警の情報の出し方等万般、警察庁本庁でしっかりチェックを』と慎重に要請致しました」「国益を損なう事はあってはなりません」とツイートしたのも、同様の趣旨と考えられ、ストレートな警察への圧力行使だった。

だが、事態はそれとは逆方向に動き、田中正良や大越健介や片山さつきの思惑や工作とは裏腹に、真実がどんどん明らかになって行く。先週後半、まず週刊文春が山上徹也と一家の凄絶な過去を報じ、弁護士の伯父がマスコミ取材に応じて証言、兄と妹に死亡保険金を渡すための海自時代の自殺未遂とか、小児がんを患っていたその兄が2015年に自殺して果て、本人が葬儀場で慟哭する姿があったとの情報が出て、世論は一気に同情論が沸騰し爆発する状況となった。続いて週末、岡山から松江のブロガーに送った「決意の手紙」が紹介され、本人のツイッターが公開され、人物像や背景はくっきりした輪郭へと固まる

もし、調べても山上徹也が反安倍である証拠が発見できなかった場合は、構わないから精神異常の狂人にしてしまえ、というのが片山さつきの真意だったのだろう。"国益を損なうことのないようにせよ”という警察庁長官(中村格)への示唆は、そういう脅しの意図だと解釈できる。12日、精神鑑定の記事が出ていた。15日には、「周りに責任転嫁する歪んだ特権意識」という片田珠美の奇抜で噴飯なコメントがNHK-NW9で流される。符牒を合わせた陰湿な謀略だったと推測できよう。が、犯人の悲劇の人生が明らかになったタイミングと重なり、片田珠美の悪意の誹謗中傷はネットの中で非難轟々となった。

山上徹也の思想信条は、安倍支持の普通の右翼青年だった。その事実が明らかになったことで、私自身の興奮と哀憐の気分も少し熱が冷める変化となった。が、この属性は、最初から薄々感じ取っていたことでもあった。犯人は逮捕された当初から、政治信条の動機ではないと答えている。政治信条からの行動ではないという説明は、自分は反安倍ではないという意味で、政治的には安倍晋三と同じ立場だということを取調官に訴えた供述に受け取られる。そういう憶測が可能だったが、果たしてそのとおりだった。もう一つ、私がその気配を感じていた要因は、犯人がこの悲惨で絶望的な境遇にもかかわらず、紀藤正樹らの弁護士グループに相談を寄せていなかった事実である。

なぜ、紀藤正樹ら弁護士グループの存在を知りながら、そこに頼って相談する対処を試みなかったのだろう。おそらく、山上徹也 - 兄と伯父も - が従来よりイデオロギー的に保守系であり、紀藤正樹ら被害者支援救済の弁護士グループを左翼系と見做し、政治的に警戒し忌避して接近しなかったからではないか。伯父は弁護士である。紀藤正樹らの活動と実績をよく知っている。普通なら、すぐに弁護士グループと連絡をとり、連携し協力を得て、母親脱会と献金回収の問題解決に向かったはずだ。それをしなかったのは、思想信条の面でのバリアとバイアスがあったからではないか。そう推察された。

ツイッターに書き込まれた主張の数々から、本人の思想信条は明らかとなり、何の疑問もなくなった。山上徹也は「手紙」の中で、安倍晋三について「本来の敵ではない」と明言し、同時に「最も影響力のある統一教会シンパの一人」だと断じ、暗殺の標的に据えたと語っている。つまり、統一教会という組織を壊滅させる上で最適の方策が安倍暗殺であるから決行するのだと意思と戦略を述べている。その結論に至った過程についても、ツイッターで追跡して確認できるのであり、一昨年の安倍晋三のビデオメッセージが決定的だった事情が理解できる。安倍晋三が統一教会の広告塔だったから、この暗殺事件が起きたのである。簡単すぎて他に説明は必要ない。

ネットの情報によれば、統一教会の信者数は日本が56万人、韓国が30万人いるとある。これは公式の数で、実際の信者は日本に6万人、韓国で1万人だそうだ。日本の方が圧倒的に多い。ここがキーポイントである。そして、日本で年間550億円から600億円の資金が集められ、それが韓国の本部に送金・回収され、全世界での活動資金に使われている。ワシントン・ポストが「統一教会にとって日本は大事な“金づる”だ」という記事を書いているが、統一教会というカルトは、韓国の団体ではあるけれど、実態としては日本を基盤とし、日本を事実上の本拠として活動している政治カルトに他ならない。

韓国には、日本のような霊感商法の被害者の群れもなく、マインドコントロールで献金地獄に落とされて一家離散という惨劇もない。大雑把にそう言えるだろう。日本以外の国では(特に先進国では)、統一教会は公式にカルト認定され、活動に規制がかかっていて、自由な布教活動ができないのである。一方、日本では統一教会の活動家が議員会館に自由に出入りし、議員の部屋に入って面談し、イベントに勧誘して参加させたり、会報にインタビューを載せたりのロビー活動をしている。議員はそれにホイホイ応じ、選挙のときは統一教会が派遣するボランティアに頼るという蜜月構図が出来上がっている。日本だけが、カルト統一教会に自由放任の環境なのだ。

なぜそんなことになっているかというと、岸信介以来の自民党と統一教会の深い結合関係があり、統一教会が日本では国家的に庇護されているからである。自民党が統一教会を支え、統一教会が自民党を支えという一心同体的な癒着構造があるからだ。議員会館で自在に議員の部屋を訪ね、私設秘書の売り込みも兼ねてロビー活動している若い女性信者たちは、議員との関係において、むしろ地位が上というか、特権エリートの意識を持っているに違いない。議員たちの方が、若い女性活動家に対して下に出る態度だと思われる。なぜなら、彼女たちは安倍晋三の代理人だからだ。いわば裏のフリーメーソンのカードル⇒供給装置だからだ。議員がイベント出席を断ったら、すぐに安倍晋三に注進されてしまう。

ここで、山上徹也の母親の人格と内面を考えてみよう。誰もその視点がないので、興味深い問題提起ができると思われる。われわれは、彼女をカルトに脳をおかされた無責任でグロテスクな廃人のように見ている。だが、彼女は私たちをどう見ているのだろう。彼女から見える世界がある。8日の事件が起きるまでは、69歳の彼女は自分の人生を勝利の航跡として捉え、大いに充実と満足を覚えていたはずだ。日本が「神の国」に近づき、日本が世界を「神の国」に統一する前衛として活躍していて、30年前に入信した理想が実現していると実感していたからである。財産を失い、長男を失い、家庭を壊し、すべてを犠牲にして捧げたけれども、その甲斐があったと確信していたのではないか

信仰の人生に自信を持っていただろう。なぜなら、日本が安倍晋三が王として君臨する美しい国になり、自民党は安倍晋三の子分だらけになり、政策は安倍晋三の下で統括され、マスコミも安倍晋三の同志一色に揃い、ピカピカの「神の国」が出現していたからだ。70年代はあれほど羽振りがよかったサタン共産党が衰弱し、没落し、沈黙し、まともに選挙に候補も立てられない惨状となり、地上から消滅しようとしているからだ。彼女は、献金してよかった、信者として献身してよかった、自分の努力と犠牲が報われたと、そう納得し了解していたはずだ。嘗て自分を嘲笑した者、教会と信仰を悪罵していた者たちは敗北したのだと。自分こそが勝利者となったのだと。

30年も統一教会の信者をやっているのだから、岸信介と文鮮明との関係を知らないわけがなく、その歴史とイデオロギー的意味に無知なわけがない。教会信者の日々はサタン共産主義との不断の戦いである。16年前の第一次安倍内閣誕生は、岸信介の政治の復活であり、10年前の第二次安倍内閣から今日までは、まさに岸信介と文鮮明の執念が実り、盟友たる二人の正義と栄光が地を覆った至福の時間と空間だった。反共主義のドクトリンが勝利を重ね、日本を征服し、アメリカとインドを繫ぎ、いよいよ宿敵中国共産党を打倒するときが到来した満願成就間近の瞬間だった。そのとき、息子二男の銃口から閃光が放たれ、「神の国」の聖なる王が斃れるという逆転と破滅が訪れたのである。

安倍晋三の著書のタイトル『美しい国へ』が、久保木修己の『美しい国日本の使命』のパクリだったことを、今回初めて知った。パクリという表現は不適切で、久保木修巳の思想をそのまま引き継ぐ宣言を発する意味で、キャッチコピーをスライドして用いている。自分が統一教会と思想的に一体であることを正直に露骨にアピールしている。その安倍晋三が国政選挙で6連勝し、10年にわたって国政を壟断した。教会の名称を変更させ、霊感商法のカルト活動をそのまま継続させた。教会と密接な同志の政治家を増殖させた。統一教会が繁盛しないはずがなく、稼ぐ資金量が減るはずがない。信者の活動が衰えるはずがない。

増上寺の通夜と告別式に詰めかけた群衆から「安倍さーん、ありがとう」の黄色い声が上がり、それがNHKのニュースやテレ朝の報ステで流され、恰も日本の全国民があの群衆と同じ心境と意念であるかのような場面が演出されたあの絵はひょっとして、半分以上が統一教会信者だったのではないか。全体で2千人くらいの人数だったから、1千人くらいの動員なら簡単にかけられる。同じく、奈良の追悼所のテントに並んだ行列も、半分ほどは関西在住の教会信者なのではないか。そして、それをテレビ報道で仕切って異様な安倍賛歌を謳っている者も、ひょっとしたら「隠れ信者」なのではあるまいか。恐るべき「神の国」の現実。そのような想像をさせられる。