週刊ポストが面白い視点から先の参院選結果を分析しました。
表題の「勝率1割以下」というのは、自民党が劣勢にある「激戦区」に安倍首相が応援演説を集中させた結果についてのものなので、いくらか割り引く必要があります。
それはともかくとして今回の参院選では、まず首都決戦で自民党は前回の実績から大きく後退しました。他の大都市圏でも得票率は20%台なので、公明党の応援がなければ自民は大敗北を喫します。そうしたことから自民党の選対は次の総選挙で大敗することを惧れているということです。
その結果公明党の発言権が強まって、安倍首相が目指している改憲についても、「野党第1党も加わらないと発議はできない」と牽制する発言をしています。
4野党の幹事長会談で、今後の国政選挙でも引き続き出来る限りの選挙共闘をすることを確認したとするNHKニュースも併せて紹介します。
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「幸福実現党出なければ参院選であと4つ勝てた」と自民秘書
NEWSポストセブン 2016年7月27日
(週刊ポスト2016年8月5日号)
「驕る平家は久しからず」を、いま首相は実感しているに違いない。「圧勝」と報じられた参院選だったが、その結果分析から見えてくるのは「安倍首相の応援は勝率1割以下」「東北で1勝5敗」という次の総選挙で大敗する兆候がみえるデータだった。他の分析データも厳しい内容だ。自民党の選対も自信を喪失している。ベテラン秘書が語る。
「1人区では僅差で負けたケースが多い。党本部の選対幹部たちは『幸福実現党が候補を出さなければあと4つは勝てたのに』と悔しがっている。青森、新潟、三重、大分は幸福実現党の票が自民党に入っていれば、逆転できていた。幸福実現党の政策は自民党に近いから、独自候補がいなければ自民党に票がながれていたという読みだ。
だが、それは都合のいい話。もし、幸福の科学を支持母体とする幸福実現党とそんな話をつければ逆に公明・学会票が逃げていく。選挙担当者がそんな身勝手な恨み言を口にするほど、今回の選挙結果に自信をなくしている」
自民党が1人区で21勝できたのは、「公明党票」の上乗せがあったからだ。では、自民党単独での「本当の集票力」はどのくらいだったのか。公明党と共産党が独自候補を立てた大都市圏の7選挙区の得票率を分析すると、与野党の中核となる自民党と民進党の実力がわかる。
■データ(1)首都決戦は自公敗北
予想外の結果だったのが「東京」(定数6)の首都決戦だ。前回参院選は自民党が得票率でダブルスコア以上の差をつけて民主党(議席ゼロ)を圧倒した。今回は情勢が一変した。
自民も民進も2人ずつ当選させたが、候補者の合計得票率は自民約24%に対し、民進が約26%と上回ったのである。自公の得票を合わせても、民進+共産+社民の3党合計に及ばない。首都決戦は自民党単独でも、自公の与党合計でも負けていたのである。
■データ(2)大都市圏で票が取れない自民
実は、他の大都市圏でも自民党の票は伸びていない。3人区の埼玉、兵庫では自民党がトップ当選だったが、得票率はいずれも28%前後で、大阪(4人区)はおおさか維新が2議席を占め、自民党の得票率は20%しかなかった。
さらに福岡(3人区)では自民党現職が民進党新人に得票数で負けた。自民党の大都市圏での基礎票は20%台にすぎず、選挙協力関係にある公明党に「生命線」を握られていることが浮かび上がる。
参院選では公明党とおおさか維新が健闘し、日本のこころなど非改選議員を合わせた自民党との「改憲4党」で3分の2を超えた。
しかし、憲法改正をめぐって早くも「野党第1党も加わらないと(改憲の)発議はできない」と慎重論を唱える公明党と、「無責任だ。何のために3分の2を取ったのか」とそれを批判するおおさか維新との対立が表面化し、安倍首相が数を頼りに改憲に突き進んだ場合、公明党との選挙協力態勢そのものが危うくなりかねない。
民進枝野幹事長 代表選後も4党連携維持の考え示す
NHK NEWS WEB 2016年7月26日 15時31分
民進党の枝野幹事長は、共産党などとの野党4党の幹事長・書記局長会談で、9月に予定されている代表選挙の結果にかかわらず、4党の連携の枠組みを維持したいという考えを示しました。
国会内で開かれた会談には、民進党、共産党、社民党、生活の党の野党4党の幹事長・書記局長が出席しました。
この中で、民進党の枝野幹事長は「わが党の代表選挙があるが、4党で合意・確認したことについては引き続き尊重し、選挙などでできるかぎり協力していきたい」と述べ、9月に予定されている代表選挙の結果にかかわらず、4党の連携の枠組みを維持したいという考えを示しました。そして4党は、年内の衆議院の解散・総選挙も視野に、情報の共有など協力を進めていくことを確認しました。
また会談では、先の参議院選挙で4党の統一候補として当選した無所属の4人の扱いも協議され、山形選挙区の舟山康江氏は無所属のまま民進党の会派に、岩手選挙区の木戸口英司氏は生活の党の所属に、新潟選挙区の森ゆうこ氏は当面、無所属で活動することが、それぞれ了承されました。
一方、沖縄選挙区の伊波洋一氏は特定の政党に入党せず、沖縄選挙区選出で無所属の糸数慶子氏と共に参議院の会派「沖縄の風」を結成することが確認されました。
このほか、社民党と生活の党が参議院で統一会派を結成したことも報告されました。
社民又市幹事長「発言力確保が極めて重要」
社民党の又市幹事長は記者会見し、「参議院で、社民党と生活の党が発言力を確保することが極めて重要で、統一会派を組んだ。衆議院でも、無所属の人も含めて話が実れば、統一会派をつくる方向で考えていくのは当たり前だ。生活の党とは政策は近いが性格が基本的には違い、政党の合流はない。国会内における野党共闘の姿の1つだ」と述べました。