天木直人 2016年7月20日
また北朝鮮が弾道ミサイルを日本海方面に向けて発射したらしい。
ところが、日本政府は今回に限って破壊措置命令を出さなかったようだ。
どの報道を見ても中谷防衛大臣が破壊措置命令を出した形跡はない。
これまでの北朝鮮のミサイル発射実験には、いつも鳴り物入りで破壊措置命令を出したというのに、なぜ今回は出さなかったのか。
知らなかったとは言わせない。
北朝鮮がミサイル発射の動きを見せていた事はすでに報道されていた。
発射実験でなかったからだとは言わせない。
実験よりも発射のほうがより危険で緊急性があるからだ。
それにもかかわらず、なぜ今回に限って破壊措置命令を出さなかったのか。
この首尾一貫しない対応こそ、日本の迎撃ミサイルシステムがいかさまである証拠だ。
いざという時に役立たないということだ。
それを日本政府が自ら認めたということだ。
しかし、ひとつだけ合点が行く事がある。
これまでの破壊命令措置は、北朝鮮の人工衛星発射実験が失敗した時の落下物が万一日本に落ちて来た時に備え、その破片を撃ち落とすという説明がなされていた。
今度は本物のミサイル発射だ。
落下物が落ちて来る心配はない。
だから破壊措置命令を出さなかったとでもいうのか。
そうであればなおさらだ。
高い金を出して米国から買わされた迎撃ミサイルシステムは、日本防衛には何の役にも立たず、せいぜい落下物の破壊に使われるものであることを政府自らが認めたようなものだ。
そんな日本政府も、破壊措置命令を出さなかった事に何の疑問も呈しないメディアも、そして軍事評論家も、みなデタラメであるという事である(了)