日刊ゲンダイ 2016年7月2日
「自民党単独過半数(57議席)とか、改憲勢力で3分の2(78議席)なんて明るい情勢じゃない」
自民党内でこんな不安の声が上がっている。最新の情勢調査で、自民党は相変わらず1人区の激戦区が厳しく、安倍首相が恐れていた“2ケタ黒星”の可能性が高まっているのだ。
特に東北は6選挙区中5敗が濃厚。全敗もあり得る状況で、安倍首相は機嫌が悪く、「もう東北へは(応援に)行きたくない」とボヤいているらしい。
「1人区は3年前の参院選で29勝2敗したほどの自民党の金城湯池ですが、今回は野党が統一候補になったこともあり、いまも16選挙区で接戦になっています。そのうち岩手、宮城、山形、長野、沖縄の5選挙区は大差で負けている。青森、福島、新潟、三重の4選挙区も自民が劣勢です。山梨など3選挙区は横一線、滋賀など4選挙区はいまのところ自民が優勢ですが、まだ安心できません。痛いのは、公示前までは勝てると思われていた青森や愛媛で追いつかれてしまったことです」(自民党関係者)
青森と愛媛の野党は、いずれも元衆院議員で参院に鞍替えした女性候補。地元での知名度があり、地味な自民現職に比べ、評判もいい。
政治評論家の野上忠興氏がこう言う。
「農業従事者の内閣不支持率は6割です。TPPの問題が大きく、東北で自民は惨敗しそうです。前回自民は1人区で勝ちすぎた。今回はオセロゲームのように、次々と白黒入れ替わりそうです。12敗する可能性もあるとみています。1人区で2ケタの黒星となれば安倍政権は衝撃を受けるでしょう」
1人区で自民が2ケタ敗北ならば、憲法改悪の悪夢も阻止できる可能性が高まる。