2016年7月26日火曜日

知事選 メディアは何故鳥越氏を叩くのか

 日刊ゲンダイによると、都知事候補の鳥越俊太郎氏に対する週刊文春によるスキャンダル攻撃を引用する形で、一部を除く新聞・テレビが「疑惑」と称して横並びで鳥越氏を叩きまくっているということです。体制側にとっては鳥越氏が都知事になるのは許しがたいのでしょうが、メディアがなぜそのお先棒を担ぐのか不可解です。権力側に迎合するというのが習い性になっているのでしょうか。 
 植草一秀氏も、当初は絶対的に有利だった鳥越氏を落選させるためのプログラムを体制側が立てて、それに沿った報道が行われているとしています。そして、そうした介入の余地を与えているのが、民進党のサポーターの連合が鳥越氏側につかずに自主投票にしたことにあると述べています。
 いずれにしても、それらを主体的に演出しているのはマスメディアです。本当に情けない話です。
 
 都知事選についてはこれまで原則として取り上げない方針で来ましたが、これはメディアの問題になるので関連する二つの記事を紹介します。
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小沢事件と同じ構図 大メディア横並び“鳥越叩き”の異常
日刊ゲンダイ 2016年7月25日
 ちょっとどころじゃない。かなり異常な事態だろう。都知事選に出馬している野党統一候補のジャーナリスト、鳥越俊太郎氏(76)に対する週刊誌スキャンダルで、一部を除く新聞・テレビが「疑惑」と称し、横並びで鳥越氏をガンガン叩きまくっていることである。
 候補者とはいえ、選挙に出馬表明し、“公人”となった以上、法令違反などが確認されれば批判にさらされるのはやむを得ない。辞職した舛添要一前都知事が連日、新聞・テレビにぶっ叩かれたのも、公用車の私的利用や、多額の政治資金の身内企業への還流――といった具体的な事実が確認されたためだ。
 しかし、今回の鳥越氏のケースは果たして舛添氏と同じなのか。腑に落ちないのは、そろって「根拠」は週刊誌報道だけという点だ。百歩譲ってメディアが都知事としての「資質を問う」意味で、鳥越氏を叩いているのであれば、日刊ゲンダイが繰り返し取り上げている小池百合子氏の不可解な政治資金の流れもキッチリ調べて報じるべきだろう。2代続けて都知事が「政治とカネ」問題で辞職したのだ。これ以上、同じ轍を踏まないためにも徹底的に追及するべきだし、フワフワした「疑惑」よりもよっぽど取り上げる意味がある。
 
 そもそも新聞・テレビは過去の都知事選で、候補者のネガティブ情報を「選挙妨害」になるとしてロクに触れてこなかった。舛添前知事の政治資金の還流だって、日刊ゲンダイは前回の都知事選の最中に繰り返し取り上げたが、メディアはダンマリを決め込んでいたではないか。それなのに今回はロクな根拠も示さずに「鳥越叩き」に血道を上げているから、どうかしている。
 
「生活の小沢一郎代表を叩きまくった『小沢事件』と同じ構図です。当時もメディアは検察リークに乗って小沢代表を犯人扱いして大々的に『疑惑』報道したが、結果、小沢代表は無罪でした。今回だって鳥越候補は事実無根と強調しているのに、構わず袋叩き。選挙期間中だけにイメージ低下は避けられないでしょう。鳥越氏側は東京地検に公選法違反の疑いなどで刑事告訴しましたが、結論が出るときには選挙は終わっている。これで本当に事実無根となったら、メディアはどう責任を取るつもりなのか」(司法ジャーナリスト)
 政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。
 
「大手メディアが公平中立を掲げるのであれば、他の候補の“疑惑”も同様に報じるべきです。ところが鳥越氏以外は聞いたことがない。他の候補も『政治とカネ』問題や、豪華出張旅費などの問題があるにもかかわらずです。これは公平中立ではない。警察・検察の言いなりになってロクに検証もしないまま報道し、結局、冤罪事件となった構図とまったく同じです」
 鳥越氏の弁護団が各メディアと大訴訟合戦を繰り広げる日も近い。 
 
 
あり得ない都知事選結果誘導する悪徳の栄え
植草一秀の「知られざる真実」 2016年7月25日
7月31日に投票日を迎える東京都知事選では、安倍改憲勢力が候補者を一人に絞り切れなかったのに対して、反安倍改憲勢力が候補者を一人に絞り込んだから、結果は明白であった。
しかし、次期東京都知事ポストは2020年東京五輪利権と密接に絡むものであるため、安倍改憲勢力=既得権勢力は、このポストを失うわけにはいかない。
 
反安倍改憲勢力が候補者を一本化できないことを前提に既得権勢力は複数候補の擁立を容認してしまったが、ぎりぎりのところで反安倍改憲勢力が候補者を一本化したために大混乱に陥った。
候補者一本化の瞬間から、一時期、都知事選報道が消えた。
天皇の生前退位報道がNHKから流布されて、反安倍改憲勢力陣営の候補者一本化報道が行われなかった。
皇室報道でメディアを占拠している間に都知事選を転覆する工作活動が検討されて実行に移された。
その柱は次の5点によっている。
 
1.序盤報道で鳥越氏独走の事実情報を封印する
2.鳥越氏の選挙戦における弱点を把握して、テレビ各社に、その弱点を重点的に報道させる
3.週刊誌を用いてスキャンダル報道を流布する
4.選挙戦中盤ならびに終盤情勢報道で既得権側の候補者優勢の情報を流す
5.既得権勢力の組織票を既得権候補の2名のうち、優勢な候補に集中させる
 番外.これらを実行したうえで、必要な範囲で不正選挙を実施する
 
このプログラムに沿って行動が展開されている。
投票日まで1週間を切った時点で、予想どおり、鳥越氏がリードを許しているとの情報が流布されている。
選挙は民主主義の最重要イベントで、選挙によって政権や首長が選択されていることから、これで民主主義が機能していると勘違いしやすいが、現実は違う。
「支配者」は、選挙結果を「誘導」する。その目的のためには、何でもやる。このことを知っておかねばならない。
最後の手段は「不正選挙」だが、「不正選挙」が発覚すれば一大事であるから、できるだけ「不正選挙」によらない手法が選択される。
米国で民主党本部が、サンダース氏が大統領候補に指名されないように画策していたことを、ウィキリークスが暴露した。このために民主党全国委員長が辞任に追い込まれることになった。
共和党では、共和党主流派が大統領候補に選出されたトランプ氏を支持しない、異例の事態が生じている。つまり、米国においても、「支配者」は選挙結果を「誘導」しているのである。
 
表面的には「民主主義」の装いを凝らしながら、実体としては「支配者」が政治をコントロールしている。
ときおり、その証拠が表面に表れてくる。
 
日本で「支配者」が最も力を入れていることは、「民進党」の支配である。今回の都知事選で最重要の事実は、連合が鳥越氏を支援していないことである。
都知事ポストを奪還するには、反安倍改憲勢力が結束することが何よりも重要である。小異を残して大同につく。反安倍改憲勢力の大同団結こそ、安倍政治にブレーキをかけるために必須の事項だ。
したがって、反安倍改憲勢力が都知事候補を一本化したなら、その候補の当選に全力を注ぐことが当然に必要である。民進、共産、生活、社民の4党が候補者一本化の必要性を認め、候補者一本化を実現させた。その上で、反安倍改憲勢力が大同団結し、全力を尽くせば、間違いなく都知事ポストを奪還できる。
ところが、民進党の最大の支持組織である連合が、「自主投票」のスタンスなのだ。つまり、都政の奪還に注力していないのである。既得権勢力は民進党が反権力の存在にならないように力を注いでいる。
 
日本政治刷新における最重要のポイントは民進党の刷新にある。既得権勢力が何よりも力を注ぐのは、民進党の刷新防止である。この「鵺(ぬえ)」と呼ぶべき民進党の刷新なくして、日本政治の刷新はあり得ない。
民進党は9月7日に代表選を実施する。これと、今回の都知事選が密接に絡む。
 
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