日本の証券市場はいまや売買合計額のうち海外投資家が70%以上を占めています。
そして海外投機筋が長期・短期のもうけを求めて売買を重ねているので、日本の個人投資家は手を出しにくい危ない市場になっています。
これは「アベノミクス」によって海外の投機マネーを呼び込んだためで、13年9月には安倍首相自ら、ニューヨーク証券取引所で「バイ・マイ・アベノミクス」(アベノミクスを買ってください)と呼びかけました。
証券市場の活況を演じるために年金積立資金が大々的に投じられたことはご存知の通りです。
去年の後半あたりからは株価は落ち加減になってきたため、年金積立資金はその買い支え資金として使われました。
いまや株価はどこまで落ちるのかが焦点となっていますが、積立金運用機構が売り抜けすることは立場上できません。海外投機筋がうまみを食い尽くしたあとその損害を負うのが同機構であり、それはそのまま国民ひとり一人の損害です。
積立資金を投入すればそういう帰趨をたどることは誰が見ても明らかなだったのに、なぜあえてそれに踏み込んだのでしょうか。アベノミクスの罪悪はこの面でも救いがたく深いというしかありません。
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アベノミクス、投機マネー呼び込み 日本株市場、海外7割に
しんぶん赤旗 2016年6月30日
「アベノミクス」(安倍晋三政権の経済政策)による海外マネー呼び込みで、いまや日本株取引の7割が海外投資家による売買となっています。目先の利益を追い求める投機マネー頼みの危うさが英国の欧州連合(EU)離脱問題で鮮明になりました。
日本の証券市場の売買合計額のうち海外投資家が占める比率は安倍政権発足直後2013年1月の57・7%から16年5月には70・7%に急拡大しました。
「大胆な金融政策」を掲げて登場した安倍政権の意を受けて日銀は13年4月4日、「異次元の金融緩和」に踏み切り、円安を加速させました。日本株はドル評価で割安になり、外国人にとって “お買い得” になります。同年9月には安倍首相自ら、ニューヨーク証券取引所で「バイ・マイ・アベノミクス」(アベノミクスを買ってください)と投機マネーを呼び込みました。
その後も、14年10月の追加金融緩和、政府による公的年金資金の株式運用拡大、16年1月のマイナス金利政策導入と、株価つり上げ策を打ち出すたびに海外比率が高まりました。
海外投機筋が日本市場で大もうけする一方、国民はアベノミクス不況にあえいでいます。14年4月の消費税増税で個人消費は14年度、15年度と2年度連続で落ち込みました。
株式市場では国内個人の株取引が売買総額の31%(13年1月)から21%(16年5月)へと大幅に低下しています。個人投資家が手を出しにくい危ない市場になっています。
日本経済を立て直すには国民の暮らしを第一にした経済政策への転換が必要です。
グラフ:日本市場の株式売買で海外投資家が占める比率(省略)