先月末、共同通信などは、防衛装備庁がイスラエルと無人偵察機(ドローン)を共同研究する準備を進めていると報じました。
イスラエルは無人機を単に偵察目的ではなく爆撃用・銃撃用としても使用していて、パレスチナ自治区(ガザ)の人々にとっては大きな脅威となっています。
田中龍作氏は、イスラエルによるガザ地区空爆の9割はドローンで行われていると推定し、「そんなドローンをイスラエルと共同開発すれば、アラブ社会からの反発は必至。日本人が敵視されてテロに遭う危険性がさらに高まる」と警告しました。
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ガザ空爆の9割 無人爆撃機をイスラエルと共同開発する日本の罪
田中龍作ジャーナル 2016年7月27日
< 写真(添付省略)説明
ドローンによって殺害された子供の遺体をモスクに搬送するパレスチナの人々。この間もドローンは不気味な音をたてて上空を舞っていた。 =2014年7月、ガザ 撮影:筆者=>
日本がイスラエルと無人偵察機の共同開発を事実上進めているようだ。
ドローンと呼ばれる無人偵察機。家電量販店でも売られており、言葉の表面からはそれほど恐ろしいイメージが湧かない。ところが実態は爆弾を落とす無人爆撃機でもある。
ガザ空爆の9割はドローンからだ。現地医療機関の調査によると、ガザの子どもたちがPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する原因のトップがドローンだ。
ドローンによって親兄弟を殺されるのだから当然である。ドローンが低空飛行する時の音はけたたましい。まるで芝刈り機が頭上で鳴っているような音だ。
イスラエル軍は まれに F16からミサイルを投下することがある。F16は空を切り裂くような金属音を立ててガザ上空を飛ぶので分かる。
海上からの艦砲射撃は地中海の方角から発射音がする。それも空と地面の両方が割れるのではないかと思うほどの重低音だ。
< 写真(添付省略)説明
子どもが描く絵には たいがい ドローンが登場する。肉親を殺害したドローンを子供たちはどんな気持ちで描いているのだろうか。 =2014年8月、ガザ 撮影:筆者= >
イスラエルが誇るメルカバ戦車からの砲撃は地上からの発射音なので、明らかに空爆でないことが分かる。
― 田中がガザ空爆の9割をドローンが占めるとする根拠である。データを採っているわけではないが、艦砲射撃、戦車からの砲撃は たまに しかなかった。
読者諸氏もよくご存知のように安倍政権は2014年、武器輸出(禁輸)3原則を大幅に緩和する閣議決定をした。虐殺に加担する兵器の共同開発を果たして閣議決定で済ませてよいのだろうか。
ドローンとは爆撃を前提とした無人偵察機なのだ。マスコミ用語に騙されるな。虐殺に手を貸してはならない。
ガザ空爆の9割を占めるドローンをイスラエルと共同開発すれば、アラブ社会からの反発は必至だ。日本人が敵視されるようになれば、テロに遭う危険性がさらに高まる。
~終わり~