2020年7月16日木曜日

16- 小池知事のステッカー作戦は無意味 感染症対策のプロを排除

 東京のコロナ感染の現状は、専門家によれば13日までの1週間平均の感染経路不明者の増加比が前週の2倍近くとなり、この状態が4週間続くと1日あたりの経路不明の感染者が16倍の約1200人になる可能性があるということです。
 15日の感染者165人の内訳は、20代最多の69人、30代は36人で確かに多いのですが、40代は24人、50~70代が各8人、10歳未満が7人などと、各年代層に広がっています。

 感染の実態は、PCR検査を増やしたからなどといって済まされるものではなく、既に容易ならない状況です。感染が広がる現場は、もはや「夜の街」には留まらず、市中に広がりつつあるのが実態です。
 都は国と一体となって、早急にPCR検査を1日数万件に拡充し、隔離施設を確保すべきです。もしも法律に不備があれば政府は早急に国会を開いて対応すべきです。

 都は意味不明な「東京アラート」のシステムを廃止し、7月から週1回、新たな指標を専門家に分析してもらい、次の波への警戒を呼びかける仕組みを導入しました。
 それはそれでいいのですが、小池都知事のやることには、相変わらす無意味であったり、問題であるものが沢山あります。

 4つの記事を紹介します。
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東京都 4段階で最も深刻なレベルに引き上げ コロナ感染状況
NHK NEWS WEB 2020年7月15日
東京都は、新型コロナウイルスの都内の感染状況などについて専門家の分析をもとに評価する会議を開き、現在の感染状況について「感染が拡大していると思われる」として4段階ある警戒のレベルのうち最も深刻な表現に引き上げました

東京都は、15日午後1時から都内の感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」を開き、小池知事のほか感染症の専門家などが出席しました。
会議では、13日までの1週間の平均で、
▽新たな感染の確認が前の週のおよそ1.5倍の168.4人となり、
▽感染経路がわからない患者も77.3人で前の週の2倍近くに増えている
ことなどが報告されました。
こうした状況を踏まえ、都内では「感染が拡大していると思われる」として、4段階あるレベルのうち最も深刻な表現に引き上げました。
ただ、ことし3月から、5月に緊急事態宣言が解除されるまでのいわゆる「第1波」と比べて、感染が確認される人の年齢層や重症度など、特徴が違っているため、今後は、こうした点を踏まえて対策を行うことが必要だと指摘されました。

「医療提供体制」4段階のうち上から2番目と報告
一方、「医療提供体制」については、入院患者は増えているものの、重症者の数が増加していないことなどから、前回から変わらず4段階あるレベルのうち上から2番目の「体制強化が必要であると思われる」と報告されました。

会議で小池知事は「感染の拡大をどうやって食い止めていくか、まさに都として真剣に取り組むと同時に、都民一人一人に改めて呼びかけていくことに尽きる」と述べました。


小池知事の肝いり感染防止策は“ザル”…夜の街からは憤りが
 日刊ゲンダイ 2020/07/15
「正直者がバカを見る対策よ!」と憤るのは、新宿区内のスナックママだ。怒りの矛先は、東京都が発行する小池知事肝いりの「感染防止徹底宣言ステッカー」である。
 都は業種別に新型コロナ感染防止策を掲載したチェックシートを作成。「対面が想定される場所での遮蔽物の設置」「出勤前に検温」「シャンパンコールの自粛」などチェック項目を実施した上で、専用フォームから申請すると、ステッカーをダウンロードできる。
 店の目立つ場所にステッカーを掲示すれば「皆様が安心して利用できる施設であることをお知らせする」(都防災ホームページ)と“お墨付き”を与える触れ込みである。小池知事も「ステッカーを貼ってあるお店を選ぶなど、目印にしていただきたい」と“夜の街”の利用者に呼びかけたが、気休めにしかならない。
 何しろ感染防止策のチェックは完全な自己申告。都の職員は誰ひとり審査を行わない。実際には対策を一切していなくても、シートの全項目をシレッとチェックさえすればステッカーはやすやすと手に入るのだ。
「ウチは飛沫防止のアクリル板やカラオケ客用のフェースシールド、非接触の検温器などに数十万円も投じたのに、何も対策していない店と一緒くたにされたくないわよ」と前出のママはカンカンだ。

ソープにも堂々と…
 日刊ゲンダイ記者も“夜の街”を取材中、ソープランドの入り口に堂々とステッカーが貼ってあり、驚かされた。プレー中に対面が想定される場所に、どうやって遮蔽物を置くのか……。ステッカーを扱う都の総務局総合防災部の言い分はこうだ。
「先月12日の運用開始以来、申請は既に1万件を超えました。利用客はステッカーに印刷されたQRコードをスマホで読み取れば、店が取り組む防止策を確認できます。客のチェックにより、一定の抑止力は働くと思う。100万円くらいの事業なので、防災部の本予算を切り崩して賄っています。今後、都の職員か、外部に委託して現場を検査する可能性はある。その場合、予算は増えます」
 絵に描いたザル対策への血税投入自体、小池知事が掲げる「ワイズスペンディング(賢い支出)」に程遠い。結局、わが身は自分で守れ。突き放すだけのコロナ「自衛」策を象徴している。


小池知事がイエスマン優遇 感染症対策のプロ“左遷”で物議
 日刊ゲンダイ 2020/07/14
 感染拡大が止まらない東京都。13日付で発令された都庁幹部人事が物議を醸している。当初から新型コロナ対策に当たってきた福祉保健局長が、無関係な局に“左遷”されたのだ。
 福祉保健局トップを外されたのは、内藤淳氏(58)。都の公共交通事業を所管する交通局長に異動となった。内藤氏は公共交通事業とは縁が薄く「“本職”は医療行政」(都政関係者)だという。2016年夏、都立病院の管理などに携わる病院経営本部長に就任。18年夏に福祉保健局長に就いた「医療通」だ。
 医療行政に通じた内藤氏が、このコロナ禍に無関係な交通局への異動となったのは、“女帝”小池都知事の怒りを買ったからともっぱらだ。

「アンタが防護服を着ろ!」とブチ切れ
「内藤氏は誠実な人格で、相手が誰でもハッキリと物申すタイプ。小池知事に食い下がることも多かったといいます。とくにコロナ禍で混乱が広がっていた4月ごろは『保健所の検査体制が逼迫している』『医療体制を強化しないと』などと知事に直談判することもしばしば。それがよほどカンにさわったのか、知事は『そんなに言うならアンタが防護服着て最前線に立てばいいじゃないの!』とブチ切れしたそうです。内藤氏の“左遷”は、実直さがアダとなった可能性があります」(都政関係者=前出)

 一方、要職に就いたのは小池と“密”な関係にある人物ばかりという。
「内藤氏の後任の福祉保健局長や、福祉保健局に新設された『健康危機管理担当局長』、総務局長など、重要なポジションに就任した幹部は、小池知事と近い関係。都庁内では彼らの能力を評価する声もあるが、『恣意的な人事だ』との声も上がっています」(都庁記者)
 都議会議員の上田令子氏はこう言う。
「内藤氏は、病院経営本部長時代から都立病院の実情を熟知しているだけでなく、コロナ禍以前から感染症対策に精通していました。連日、多数の新規感染者が明らかになり、最も手腕を必要とされる人物です。交通局長への異動は考えられません。知事は“忖度”してくれる人物ばかりではなく、『実力者』を幹部に選ぶべきです」
 都政新報が今年1月に行った都職員へのアンケートでは、小池都政1期目の点数が100点満点で46点と散々だった。


豊洲「内幕」を告発 都関連団体トップを小池百合子知事が“更迭”
「週刊文春」編集部 文春オンライン 2020/07/15
週刊文春 2020年7月23日号
 東京都が、公益財団法人東京都環境公社の澤章理事長(61)に対して、7月末での退任を求めていたことが「週刊文春」の取材で分かった。小池百合子知事の再選から5日経った7月10日に退任を要求しており、知事による事実上の更迭と見られる。
 澤氏は東京都中央卸売市場の元ナンバー2で、昨年に都庁を退職して、都の監理団体である東京都環境公社の理事長に就任。今年3月には、豊洲市場への移転の内幕を描いた『 築地と豊洲 』(都政新報社)を出版した。
小池側近が「買うな」とお達しを出した澤氏の著書『 築地と豊洲 』© 文春オンライン 小池側近が「買うな」とお達しを出した澤氏の著書『 築地と豊洲 』
「市場の移転問題をめぐる小池都知事の迷走ぶりを“内部告発”する内容です。都知事の肉声を交えながら克明に綴っており、都庁職員の間でも話題となっています」(都政担当記者)
 都のOBは65歳まで関連団体で働くのが通例だが、理事長になってまだ1年で61歳の澤氏が、なぜ“クビ”を言い渡されたのか。
 澤氏が当日の様子を語る。
「部屋には人事担当の多羅尾光睦副知事と人事部長、課長の3人がいました。副知事に公社理事長として問題があったのかと聞くと『そうではない』。言論活動に問題があったかと聞くと『それも違う』と」
 副知事は、澤氏に解雇理由は何かと問われると、
「社会的常識を逸脱した行動が目に余る」
 また誰が人事を決めたのかについては
「私一人で決められるわけはない。都としての決定だ」
 と説明したという。
 辞令は通常2、3分で終わるが、澤氏と副知事のやりとりは1時間に及んだ。
 澤氏が振り返る。
「私のなかで、(著書の出版で)都の役人が多少窮屈になること、都民に真実を伝えることを天秤にかけた時、出版しないという選択肢はありませんでした。そのうち切られるとは思っていましたが、結構早かった。見せしめの面もあったのでしょう」
 誰が澤氏の退任を決めたのか。多羅尾副知事に小誌が「小池氏が気に入らなかったからか」と聞くと、
「私一人で決めるわけではない。都として決めたことですから」
 と答えるのみだった。
 7月16日(木)発売の「週刊文春」では、澤氏と多羅尾副知事のやりとり、今年夏に行われた重大な異動などを詳報する。