東京都の新たなコロナ感染者数(1日当たり)は、7月1日 - 67人、2日 -107人、3日 - 124人と、この3日間で急増しています。この先どこまで増大するのか予断を許しません。
ところが都のPCR検査体制は全く旧態依然で、1日当たり2000件以上行ったのは6月1日以降で僅かに6日に過ぎません。何よりも肝心の保健所自体が極めて退嬰的な姿勢で、新たに感染者が分かった介護施設や支援学校でも、「濃厚接触者」と特定された児童・生徒3人だけというようなありさまであることが分かりました。
しんぶん赤旗が伝えました。
都教委などはPCR検査の当事者ではないので、保健所から「検査するのはこの範囲で良い」と言われれば、普通はそれに従ってしまいます。
保健所はかつてのPCR検査拒絶体質を何も反省していないのでしょうか。それではまたかつての繰り返しになります。国もそして都も保健所に対してどんなふうに指導しているのでしょうか。
保健所の職員(の中に)は、ピーク時は月間80時間は愚か、200時間もの超過勤務をしたことが伝えられましたが、ピークの渦中では、我々には単に保健所の拒絶体質が目立ったたけでした。もしもクラスターの追跡が忙しくてPCR検査どころではなかったというのであればそれこそは本末転倒です。一体何がそんなに忙しかったのでしょうか。
兎に角、今に至るも何の改善もないということであれば、5月25日以前の事態の繰り返しになるのは確実で、あってはならないことです。
もしも感染がピークに達すればまた「休業・自粛」をするしかないという考え方であるのであれば、それは国を亡ぼすものです(弱者は生きていけません)。
しんぶん赤旗によれば、特別養護老人ホーム「北砂ホーム」は、9人の新型コロナ陽性者が判明したときに、江東区保健所の従来通りの後退的な提案に従わずに、「速やかに全員検査を行うべきだ」として独自に入居者・利用者と職員全員にあたる180人分の検体を民間検査機関に出して、PCR検査をほぼ1日で実施したということです。その結果20日弱で施設内の感染拡大が止まりました。
ところが都は、接待を伴う飲食店の従業員などの検査には熱心ですが、一般人のPCR検査対象を絞る方針を変えていないということです。
もしもそれが「夜の街」の危険性を強調するためであれば勿論誤りで、「夜の街」関係者であるかないかにかかわらず、等しく徹底的に検査を行うべきです。
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PCR検査絞る小池都知事 国に追従、感染拡大の恐れ
しんぶん赤旗 2020年7月3日
東京都の小池百合子都知事は、新型コロナ感染症のPCR検査を絞る安倍政権の方針に忠実に従い、病院や介護施設、特別支援学校で感染が発生した場合でも、PCR検査の対象者を限定しています。このため感染が拡大している恐れがあります。(内藤真己子)
都教育委員会によると、都立の特別支援学校で6月16日、30代の女性教育職員が出勤し、帰宅後、発熱しました。同17日には38度台の発熱となり医療機関を受診。18日にPCR検査を実施し、19日に陽性が判明しました。
同校には当日、児童・生徒約50人、教職員約100人が登校していましたが、感染者の発生に伴い保健所がPCR検査を行ったのは「濃厚接触者」と特定された児童・生徒3人だけでした。3人とも陰性でした。
新たな感染者
ところが同校から新たな感染者が出ました。濃厚接触者に特定されずPCR検査の対象にならなかった50代の女性教職員でした。1人目の陽性判明の翌日の20日に発熱。22日に受診しPCR検査を実施、24日に陽性が判明し入院しました。
このときも都教委は、PCR検査を濃厚接触者と特定された教職員1人と児童・生徒3人だけに実施する保健所の判断を是認しました(結果は、いずれも陰性)。一方で同委は、「新型コロナウイルス感染症対策と学校運営に関するガイドライン」に沿い、保健所の助言を得て、濃厚接触者に特定されなかった人も含め、濃厚接触者の児童・生徒が在籍する1学年分を臨時休業にする措置を取りました。
2人の教職員の感染経路不明としています。
党都議団が要請
これにたいして日本共産党都議団は26日、「同じ学校で複数の感染者があった以上、濃厚接触していなくても校内で感染した可能性を完全に否定できるものではない」と厳しく指摘。「濃厚接触者に限定せず、幅広い接触者に速やかにPCR検査を実施すること」などを知事と都教委に申し入れています。
都内の江東区では4月末、特別養護老人ホーム「北砂ホーム」で9人の新型コロナ陽性者が判明しました。このとき江東区保健所は、当時の国の基準通り「症状のある濃厚接触者」などを対象に行政検査でPCR検査を行うよう施設側に求めました。ところが施設側は、「速やかに全員検査を行うべきだ」と判断し、独自に民間検査機関に検体を出して、入居者・利用者と職員全員にあたる180人分のPCR検査をほぼ1日で実施しました。その後、20日弱で施設内の感染拡大が止まっていることが確認されました。
この事例をみても病院や介護施設などで感染が判明した場合は、初動からPCR検査を積極的に行うことが感染拡大の阻止に有効なことは明らかです。ところが都は、接待を伴う飲食店の従業員など一部を除き、国の基準でPCR検査の対象を絞る方針を変えていません。
幅広く積極的に検査を
谷川智行日本共産党東京都委員会新型コロナウイルス対策本部長の話 院内感染が起きたとき、濃厚接触者を洗い出してPCR検査を絞る国や都の手法では、感染拡大を止めるのが遅れることはこれまで発生したクラスター(集団感染)の例をみても明らかです。
特別支援学校の例でも感染者を見逃している可能性があります。特に病院や介護施設、特別支援学校などで感染が発覚した場合は、幅広く積極的にPCR検査を行うべきです。
和歌山県の仁坂吉伸知事は2月、済生会有田病院で感染が判明したとき、病院関係者全員のPCR検査を実施して早期に感染拡大を防ぎました。自治体の判断で行政検査の範囲を拡大することは可能です。病院や介護施設などで感染が分かったとき、初動で幅広く検査することを怠っている小池知事の責任は重大で、これでは感染拡大を止めることはできません。
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「PCR検査実施状況など積極的に開示を」共産 田村政策委員長
NHK NEWS WEB 2020年7月3日
新型コロナウイルスの新たな感染者が東京都で2日連続で100人を超えたことについて、共産党の田村政策委員長は記者会見で、国民の不安を軽減するため、政府と都に対し、PCR検査の実施状況などの情報を積極的に開示するよう求めました。
この中で、共産党の田村政策委員長は「『感染拡大要警戒』とスローガンだけ言われても、不安を強めるばかりだ。西村経済再生担当大臣や小池都知事は記者会見でも不安に応えていない」と述べました。
そのうえで「積極的にPCR検査を行っている業界や、検査の規模、陽性率などの基本的な情報を明らかにしてほしい」と述べ、国民の不安を軽減するため、政府と都に対し、PCR検査の実施状況などの情報を積極的に開示するよう求めました。