終息しかけたかに見えた新型コロナの感染が再び拡大しています。政府や都の言い分とは裏腹に、医療機関が逼迫しつつあり、軽症や無症状の感染者を隔離するホテルの確保にも難渋しています。第1波の時に病床を空けておいたり、コロナ感染者の診療を行った医療機関は軒並み莫大な赤字を生じたため、政府や都などから病床の確保を頼まれても自衛上おいそれとは応じられません。これらは全て正当な手当てをしなかった行政側の責任です。
PCR検査の拡充も微々たるものです。4月時点の3倍くらいには増加したとされていますが、そもそも先進国の数十分の1程度の規模だったのですから、3倍くらい増えたところで焼け石に水です(検査を拡充させない元凶は厚労省と分科会です)。
いまだに保健所が普及を阻止する砦となっていて、数十回掛けないとつながらない上に、つながった場合でも、味覚・嗅覚がなくなった事実を伝えても簡単にはPCR検査が受けられないということです。何という後進国なのかということですが、4月の時点で相談者の1~2%程度しか検査が認められなかったのですから、それが3倍程度拡充されたところで変わりようがないわけです。
その一方で感染研はクラスター追跡だけは熱心で、保健所の職員は以前と同様、1件30ページ以上の報告書の作成に毎晩11時まで残業しているということです。それがいま最優先されるべき仕事とはとても思われません。
ハーバード大学公衆衛生大学院で臨床疫学を修めた総合診療の第一人者・徳田安春医師(沖縄群星臨床研修センター長)に、文春オンラインがインタビューしました。
全3回のうち、1回目と2回目の分を紹介します。(紙面の関係で3回目は31日に掲載)
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「なぜ第2波は死亡者が少ない?」「医療機関は大丈夫?」現役医師に疑問をぶつけてみた
コロナ感染再拡大――徳田安春医師インタビュー #1
鳥集 徹 文春オンライン 2020/07/29
終息しかけたかに見えた新型コロナの感染が、ふたたび勢いを取り戻している。感染者の増大とともに、医療機関が逼迫しつつあると伝えられる中、国や自治体にはどのような対応が求められるのか。ハーバード大学公衆衛生大学院で臨床疫学を修めた総合診療の第一人者・徳田安春医師(沖縄群星臨床研修センター長)に話を聞いた。(全3回の1回目。 #2 、 #3 に続く)
※インタビューは2020年7月20日、リモートにて実施
◆ ◆ ◆
感染再拡大は“政府の出口戦略の失敗”
──東京を中心に陽性者の数が増えています。「市中感染が広がっている」という見方もあれば、「PCR検査の数を増やしたから陽性者が増えた」という見方もあります。徳田先生は現状をどのように捉えていますか?
徳田 今回の感染再拡大は、政府の出口戦略の失敗です。経済を再開させるときに、「検査・追跡・待機保護」の拡充・整備を徹底せずにおこなったのがその理由です。
ただ、感染状況はエリアによってかなり異なります。「東京」と一括りにして、全体的に感染が広がっているような言い方をするべきではありません。新宿区(7月23日現在累計1620人)や世田谷区(同796人)のように陽性者が多く、陽性率の高いエリアは、流行しているというべきでしょう。
一方、同じ区内でも千代田区(同65人)や荒川区(同150人)など陽性者が少ないエリアもあります。また、23区外では八王子市(同120人)や府中市(同115人)を除くとまだ累計100人に達している市町村はなく、奥多摩や小笠原諸島、伊豆諸島など、いまだに陽性者0のところも多い。また、東京以外の地域でも大阪のミナミなど、限られた地域で流行しています。ですから、「国内のいくつかのエリアでは流行している」と言うべきです。
なぜ「陽性者数が増えるのは当然」なのか?
もう一つ、陽性者の数が増えた理由は、検査の対象基準が変わったからです。当初は37.5度以上の熱が4日間あり、流行地への渡航歴や接触歴がある、といった人にPCR検査の適用が絞られていました。新型コロナを疑う症状があっても基準に当てはまらない人や症状の軽い人は検査できないし、濃厚接触者も積極的に検査していなかった。
しかし、今は地域によっては、症状の軽い人や無症状の濃厚接触者にも積極的に検査しています。ですから陽性者数が増えるのは当然で、そのことを政府のコロナ分科会がはっきりと言わないことが混乱の原因になっていると思います。ただし、今でも発熱や咳などの症状があるのに検査を受けることができない状況は続いているようです。
すべての感染爆発はローカルエリアから始まる
──連日のように「東京都で感染者が300人を超えた」とか「全国で過去最高の感染者」などと報道されると、私たちはどうしても不安にさせられます。しかし、検査の対象基準が変わったことで陽性者数が増えたのだとすると、ニュースでそうした数字を見ても、慌てないことが大切ですね。
徳田 そうです。しかし、新宿など陽性者数が多く、陽性率(検査数に対する陽性者数の割合)が高いエリアは別です。そういうエリアでは感染が蔓延しており、発症者も多いと考えるべきです。それに、感染者が増えれば、重症者や死亡者が増え、医療機関も逼迫してくる。すべての感染爆発はローカルエリアから始まります。平静に受け止めながらも、徹底した封じ込め対策をそのエリアで行うべきです。政府が責任を持って、検査・追跡・待機保護の拡充・整備を徹底すべきです。
3~5月のほうが感染者の山は大きかったはず
7月に入り、1日の陽性者が3~5月の第1波の数を超えましたが、3~5月の頃は検査対象を絞っていたわけですから、数字に表れた陽性者数よりも本当はずっと多い感染者がいたはずです。以前もインタビューで話しましたが、軽症者・無症状者の割合や、PCR検査の「偽陰性」の割合などから逆算して、第1波のときの実際の感染者は陽性者数の約10倍以上いたと推測されます。(「 5人中4人が無症状とも……現役医師が訴える「“三密自粛”だけでは、もう医療崩壊を防げない」https://bunshun.jp/articles/-/37134 2020年4月10日 」)
新宿で「夜の街」の感染拡大が問題になってからは、軽症者や濃厚接触者も積極的に検査するようになりました。感染者の捕捉率が高くなっているはずですから、現在数字に表れている陽性者数は、第1波のときよりも感染の実態に近い数字になっていると考えられます。つまり、7月25日時点での比較では同じくらいの陽性者数ですが、本当は、3~5月の第1波の頃のほうが、感染者の山は大きかったはずです。このように、検査基準が異なるデータを単純比較はできません。しかし、このままの戦略では今後、感染者の山がさらに大きくなる可能性は大です。
秋冬に本格的な第2波が訪れる
──なるほど。もしそれが実態だとすると、3~5月には毎日数十人単位で重症者や死亡者が出ていたのに、6月末から7月末の現時点まで、陽性者が増えたわりに重症者や死亡者数があまり増えなかった理由も納得できます。それにしても、もし第1波のときに10倍以上の患者がいたのだとしたら、その頃に比べ現在は感染者が少ないことになりますが、なぜ感染者はもっと爆発的に増えなかったのでしょうか。
徳田 感染者の臨床経過から、感染者数が増えても重症者数は2週間後、死亡者数は1ヵ月後に増加しますので、現時点では安心できません。ただ、私は、湿度と温度が上がったことと、紫外線の影響が大きいと考えています。つまり夏だからです。呼吸器感染症を引き起こすウイルスの活動は、夏が近づくにつれて、減っていくことが多い。私が住んでいる沖縄では、米軍基地であれだけ多くの感染者が出ているのに、現時点では県内で感染爆発は起こっていません。米軍基地のゲートは封鎖されておらず、今でも米兵たちが毎晩のように出入りしているにもかかわらずです。今日も、沖縄はとても暑いですよ。
しかし、夏を過ぎて秋冬になってくると、またウイルスの勢いがぶりかえしてくる恐れが高いと思います。私は、現在の感染拡大は第1波のくすぶりだと考えています。このくすぶりを小さなうちに消しておかねばならなかったのに、残念ながら消火に成功しなかった。出口戦略の失敗です。このまま放置していると、秋から冬に入って本格的な第2波が訪れるでしょう。感染者が減ったとしても、警戒は緩めてはいけません。くすぶりからそのまま感染爆発に移行する可能性もあります。
「GO TOトラベル」は中止しなくて大丈夫?
──実態は違うかもしれませんが、公表される陽性者数は第1波を超えています。それなのにどうして「緊急事態宣言」を出さないのか、どうして「GO TOトラベル」を中止しないのかと、疑問に思う人もたくさんいます。
徳田 自粛要請せず、GO TOトラベルを許しているのは、感染爆発ではまだない、とみているからなのでしょう。感染率と致死率が思ったほど高くないと政府が評価したこともあるかもしれません。致死率を細かくみると、乗客全員をPCR検査したダイヤモンド・プリンセス号の致死率(陽性者数中の死亡者数の割合)は約1・5%だったのですが、乗客は高齢の方が多かったので、年齢構成を日本の人口分布に合わせて当てはめると0・5%程度になります。しかし、これでも季節性インフルエンザより何倍も高いのです。
ところで、第1波の時期の死亡者数を陽性者数で割った致死率は5%くらいでした。これはダイヤモンド・プリンセス号の0・5%の10倍です。つまり本当は分母(陽性者数)が実態の10分の1になっていたから、致死率が10倍も高く見えていたと考えられるのです。ちなみに、武漢のデータでは致死率は1%でした。
「死者数がアジアでワースト3」という事実
──ただ、多くの感染者を見逃してきたかもしれませんが、日本の感染者数や死亡者数は、欧米に比べると低い水準で留まっています。なぜだと思いますか?
徳田 山中伸弥先生なども指摘しているように、まだ明らかになっていない「ファクターX」もあるのでしょう。あるとすると、私はマルチファクター(複数の要因)だと思いますが、一番大きいのはマスクだと思います。それに、握手やハグをしない日本独特の国民性もあるでしょう。さらには、よく言われているようにBCGの接種や旧型コロナの事前の流行が、少し免疫をつくったのかもしれません。ウイルスに結合する受容体の構造の違いなど遺伝的要因もあるかもしれない。それから、新型コロナリスクの一つに肥満がありますが、日本では太っている人が少ないことも関係している可能性がある。
こうしたファクターXの存在を信じている人は専門家でも多いようです。それが、政府が自粛要請を出さず、GO TOトラベルを許している理由の一つでもあると思います。ただし、アジアでの人口当たりの死者数で見た時、日本はインドネシアやフィリピンに次ぐワースト3に入っています。他のアジア諸国は、封じ込めに成功している。成功していないのは、日本を含めたこの3国くらいなのです。
それに、先進国の年齢調整平均致死率が0・7%ですので、日本の0・5%という数字がそれほど低いわけではないのです。ですから、政府は「ジャパンモデル」なんて恥ずかしいことを言わないほうがいい。そもそも、コロナ対策の評価は欧米と比べるべきではなく、もともと遺伝的体質や生活様式が似ているアジア諸国と比較するべきです。むしろ逆に、なぜワースト3になったのか、これまでの戦略を検証し、見直すべきだと思います。(鳥集 徹)
「PCR検査を増やせば医療崩壊」は本末転倒 こっそり方針転換した“コロナ戦略”の盲点
コロナ感染再拡大――徳田安春医師インタビュー #2
鳥集 徹 文春オンライン 2020.7.29
6月末から7月末にかけての感染拡大では、重症者や死亡者は第1波に比べて増えなかった。しかし、秋冬に本格的な第2波が来れば、ふたたび亡くなる人が増える恐れがある。それを防ぐために、今、どう備えておくべきなのか。ハーバード大学公衆衛生大学院で臨床疫学を修めた総合診療の第一人者・徳田安春医師(沖縄群星臨床研修センター長)に話を聞いた。(全3回の2回目。#3に続く)
※インタビューは2020年7月20日、リモートにて実施
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「医療崩壊論」は間違いだった?
──感染者数が増えたのは、これまで4日以上発熱がある人や流行地に渡航歴がある人などに絞っていた検査対象を、濃厚接触者や軽症者にも広げたことが大きいというご指摘でした。政府や東京都、政府のコロナ分科会等も、検査数が増えたことには言及していますが、戦略を変えたのだということを、なぜかはっきりとは言いませんね。
徳田 それを認めると、これまでの対策が間違っていたことになるからかもしれません。検査を増やしたら陽性者があぶり出されて、入院患者が増えて、病院が逼迫するという「医療崩壊論」に立脚していたのです。
でも、それは本末転倒ではないですか? どうして病院が逼迫するのかというと、法律で「指定感染症」としてしまったからです。途中から、宿泊施設や自宅待機も容認しましたが、法律に従うと、感染者は原則として全員入院させなくてはなりません。全員入院させたら、ベッドが不足するのは当然です。入院は重症者と高リスクの人に限り、軽症者や無症状者は、宿泊施設に入ってもらうようにすべきなのです。
これまでのような戦略で、軽症者や無症状者が検査を受けられない状況では、ふたたび感染が拡大し重症者も増えますから、むしろそのほうが病院は逼迫します。
PCR検査の「偽陰性」をどう考えるか
──徳田先生は、以前から検査を積極的に増やすべきだと主張しています。しかし、検査の精度は100%ではなく、「陰性」と出ても実際には感染している「偽陰性」がPCR検査では約3割に出るとされています。検査をやみくもに行っても「陰性」と判定された人が安心してしまい、感染を広げてしまうという議論がありました。私も、そう考えていたのですが、違うのでしょうか。
徳田 コロナの検査では、「診断」のための検査と「防疫」のための検査を分けて考える必要があります。診断を行う場合には、感染している確率の高い人に検査を行わないと、感染している人を正しく「陽性」と判定する「陽性的中率」が下がってしまいます。ですから、医師が「コロナの疑いが強い」という人に絞って検査を行わないと、医療の無駄遣いということになります。
「感染性」をみるためなら問題はない
徳田 しかし、「防疫」のための検査は別です。感染を広げないためには、その人がコロナにかかっているかどうか診断をつけることよりも、他の人にうつす「感染性」があるかどうかをみることが大切です。その場合、症状がなかったとしても、唾液やのどの粘膜にウイルスが潜んでいるかどうかが重要となります。
たとえば、もし肺の奥の細胞の中にウイルスが潜んでいて、実際にはコロナに感染しているのに「陰性」と出たとしても、咳などの症状がない無症状者では、防疫上はあまり問題とはなりません。なぜなら咳をしない限り、ウイルスが肺の奥から飛び出て人に感染させることはほとんどないからです。しかし、唾液やのどの粘膜にウイルスがいたら、その人がしゃべったり歌ったりしたときに、他の人にうつしてしまう恐れがあります。
このように、防疫を目的とした場合には、唾液やのどの粘膜にウイルスがいるかどうかが重要で、コロナに感染しているのにウイルスが見つからず、診断的に「偽陰性」になったとしても、問題ではないのです。PCR検査を行えば唾液やのどの粘液の「感染性」を直接みることができるので、防疫を前提とした場合には「偽陰性」という概念は消え去るのです。
実は、症状があったとしても、「発症して約1週間後にはほとんどが感染力はない」ことがわかってきました。病院に入院するような時期も含めてです。もちろん、重症患者に気管挿管するような場合は、肺の奥からウイルスがエアロゾルとして出てきますから別です。しかし、防疫を考えた場合には、発症して1週間経過したような人を見つけても遅いのです。CDC(米国疾病予防管理センター)も、発症して1週間経った人で直近数日間解熱していれば、隔離を解除していいと言っているくらいです。
増やすべきは「防疫」のための検査
──なるほど、つまり「診断」ではなく、「防疫」のために検査を増やすべきだと主張されているわけですね。
徳田 そうです。我々が主張しているのは、感染能力の高い「スーパースプレッダー」の予備軍を早く見つけて、「追跡・保護・待機」の措置をとってほしい、ということなんです。
そもそも、症状の強い人がジムに行って筋トレしたり、カラオケにいったり、屋形船に乗ったり、夜の街の懇親会に参加できるわけがありません。スーパースプレッダーの多くは軽症者または発症前か、無症状者で、動けるからこそ感染が広がるのです。検査対象を絞ってしまい、軽症者や無症状者を放置してしまうと、クラスターが発生して広がるのは、むしろ当然のことなのです。
「感染リスクの低い無症状者」にも検査は必要?
──7月16日、政府のコロナ分科会は検査対象として、(1)有症者、(2)感染リスクの高い無症状者(無症状+事前確率高)、(3)感染リスクの低い無症状者(無症状+事前確率低)という3つの分類を提示しました。そして(1)と(2)、つまり症状のある人や濃厚接触者の検査を公費負担で優先して検査して、(3)については自己負担を原則とするとしました(筆者注:「事前確率」とは、検査や診断を受ける前に予想される感染確率のこと)。
徳田 (1)と(2)を検査対象にするのは当然です。しかし、(3)を積極的な検査対象から外すべきではないと私は思います。「無症状+事前確率が低い」は正確には、「無症状+事前確率不明」と「無症状+事前確率が低い」の2つに分類すべきです。接触歴が不明な人は、「事前確率不明」となるからです。
たとえば、前日に歌舞伎町に行って、お店をはしごした人が翌日新幹線に乗って盛岡で降りたとしたら、その人はすでに「事前確率が低い」とは言えない。1人も陽性者が出てないからといって、岩手県民全員が「事前確率が低い」とはならないのです。事前確率は、どこに住んでいようと、個別に判断しなければいけない。感染しているかどうか不安という人や、感染しているかもしれないという心当たりのある人は、接触歴の疑いがあるか問診を行って、その疑いがあれば事前確率が高いので、検査したほうがいいでしょう。
ホットスポットをマイクロレベルで捉える
──ただ、検査積極論者の中には、日本全国民に検査を受けさせるべきだと主張する人もいました。しかし、いくら検査体制を拡充して1日の処理能力が100万件になったとしても、1億人に受けてもらうには最速でも100日以上かかる計算です。それは非現実的ではないですか。
徳田 我々は「闇雲に検査をせよ」と主張してはいません。たとえば、岩手県で大規模検査を行うべきと言っているわけではありません。感染者の少ないエリアでも、問診で接触歴ありの疑いの人は、無症状でも検査対象としてよいかと思います。また、そのような地域で感染者が出た場合は、接触追跡して、保護・待機をしてもらう。
しかし、感染が拡大しているローカルエリアに住んでいる人や仕事で出入りしている人に対しては、クラスター対策だけでは不十分で、徹底検査をめざすべきなのです。しかも、東京都や新宿区や世田谷区という大エリアでなく、ホットスポットになっている「歌舞伎町△丁目」といったマイクロレベルで捉えて、行うべきです。そして、陽性者を保護・隔離していく。そうやって、コロナを封じ込めていくべきなのです。