政府などはPCR検査規模を第1波時の約3倍に拡充したとしていますが、日本の検査規模は海外に比べ桁外れに少なかったのですから、3倍程度の増やしても焼け石です。既に相談窓度口である保健所への電話はひっきりなしで、嗅覚や味覚がなくなるなどの症状が出ても検査を受けさせてもらえない状態になっているということです。
3~4月時点で保健所がPCR検査を認めた比率は約2%といわれているので、それが3倍にアップされたからといってどうなるものでもありません。文科省は大学病院以外の大学研究機関でPCR検査を行うことを禁止(児玉東大名誉教授)し、厚労省はいまだに保健所をPCR検査阻止の防波堤に使っています。
何よりも厚労省と分科会は「クラスター対策(追跡)班」の有効性を主張する一方で、PCR検査拡大不要論乃至有害論を主張しているのですからどうにもなりません。第1波では「クラスター追跡手法」は早々に破綻したし、第2波(仮称)でも既にそうなっているのに、何度失敗すれば気が付くのでしょうか。
LITERAが、日本が新型コロナ感染対策後進国であることを示す指標が明らかにされたことを伝えました。
アメリカの新型コロナ・情報サイト「worldometer」*によると、日本の人口100万人あたりの検査件数のランキングは、世界215の国・地域のうち158位(30日時点)で、アフリカの発展途上国と肩を並べているということです。
安倍首相は5月25日に緊急事態宣言を終了するにあたって、日本における死亡者数が少ないことを挙げて、「日本モデル」が世界の期待と注目を集めているなどと誇りましたが、死亡者数が少ないのは東アジアで共通のことで、むしろその中では、日本は「ワースト3」に入っています。
日本のやったことといえば「休業・自粛」だけで、世界に誇れる何もなかったのに、安倍首相は今月に入って極右雑誌「月刊Hanada」の独占インタビューでまた同じことを述べたということです。こんな風に日本のトップが大きな錯覚をもったまま現在に至っているのですから、事態が改善される筈がありません。
それにしても厚労省や分科会の考え方は、自覚しているかどうかは別にして、詰まるところクラスター追跡作業が破綻したら「休業・自粛」を繰り返すしかない(繰り返せばいい)というもので、政府が勇み足的に経済を回そうとしていることに相反するものです。
政府にも、厚労省にも分科会にもその意識がないのであれば、政権内不一途ということでそれこそ話になりません。
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日本のPCR検査数はアフリカ諸国より少ない158位、
死亡率もアジア・オセアニアで最悪レベル…それでも安倍首相は「日本スゴイ」
LITERA 2020.07.30
ついにきのう29日、全国の新規感染者数が過去最多の1200人を超えた。4連休中の検査数が少なかったことからきょうの数字はこれをさらに超えることになるとの見方が強いが、問題はその検査体制。3〜4月と同じように、症状が出ても検査を受けさせてもらえないという声が大きくなってきているからだ。
安倍首相は2月29日におこなわれた総理会見で、「身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者のみなさんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保する」と豪語したが、その約束はまったく果たされなかった。しかし、そこから約5カ月が経とうというのに、いまだに検査が受けられない状況に陥っているのである。
そして、これは世界的に見ても最悪の状況だと言っていい。新型コロナにかんする統計を集計しているアメリカのサイト「worldometer」によると、人口100万人あたりの検査件数のランキングで、日本は世界215の国・地域などのうち、なんと日本は158位(30日時点)。ちなみに155位はセネガル、156位はマカオ、157位は中央アフリカ、159位はウガンダ、160位はガイアナとなっており、アフリカの発展途上国と肩を並べているのである。
検査もまともにおこなわれていない国──。これは新型コロナ対策において日本が圧倒的な後進国であることがわかるランキングと言えるが、しかし、こうした事実を直視しようとせず、「日本スゴイ!」を唱えつづけているおめでたい人物がいる。それは、あろうことか、この国の新型コロナ対策の陣頭指揮をとる役割にある安倍首相だ。
安倍首相は全国で新規感染者数が前回ピーク時を超えて更新しても、「Go Toトラベル」をめぐって国民に混乱と不安を招いても、総理会見をおこなわないどころか、国会の閉会中審査にさえ一度も出席していない。にもかかわらず、東京都で新規感染者が100人を超えた7月2日には、会見も開かずに極右雑誌「月刊Hanada」(飛鳥新社)9月号の独占インタビューの取材に応じていた。そして、その模様が21日発売の同誌に掲載された。
本サイトでもいち早くその仰天の中身を紹介したが(詳しくは既報参照→https://lite-ra.com/2020/07/post-5534.html)、安倍首相は確保病床数やホテル室数でデタラメな説明をおこなった上、「(新型コロナは)我々が経験したことのない未知のもの」「大変厳しい状況が続くなかで、個々の対応に様々なご批判や不満が出るのはやむを得ません」などと自分の失策を自ら免罪。しかしこのあと、こんなことを語っていた。
「同時に、ファクト(事実)に基づいて評価していただいている方々もおられるので大変ありがたい。わが国の人口当たりの感染者数や死亡者数は、G7(主要七ヵ国)のなかでも圧倒的に少なく抑え込むことができています。これは数字上明らかな客観的事実であり、全ては国民の皆様のご協力の結果です」
安倍は「死亡者はG7 で圧倒的に少ない」と自慢も、アジア・オセアニアでは多い
安倍首相はこれと同じ話を5月の会見でも披露して、「これまでの私たちの取り組みは確実に成果を挙げており、世界の期待と注目を集めています」などと勝ち誇っていたが、この「日本スゴイ!」話は、実際には「都合の悪い事実」がすべて省かれたものだ。
たしかに、「人口当たりの感染者数や死亡者数はG7のなかでも圧倒的に少なく抑え込むことができている」という事実に間違いはない。しかし、アジア地域で比較すると、日本はとても褒められた数字ではけっしてない。
朝日新聞5月26日付の記事によると、10万人あたりの死亡者数は〈アジア・オセアニア地域の多くの国々で日本の0・64人より少なかった。たとえば、初期の水際対策が奏功した台湾の累計死者は7人で、10万人当たりでは0・03人だった〉と指摘。台湾のみならず、中国やオーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、韓国といった国々のなかで、日本は10万人あたりの死亡者数がもっとも多かったのだ。また、英オックスフォード大学に拠点が置かれた「Our World in Data」によると、中東を除くアジア地域のなかで日本よりも死者数が多かったのは、フィリピンとモルディブだけだという。
ようするに、G7という欧米諸国と比較すれば死亡者数は少ないものの、アジアのなかで見れば、日本は第一波ではむしろ死亡者数が多い国で、悪い結果となっているのだ。
どうして欧米は感染者・死亡者数が多く東アジアなどではそれが少ないのか、明確な要因はわかっていない。しかし、はっきりと言えることは、アジア圏で比較すれば日本は死亡者数の多い国である、ということ。そして、その死亡者のなかには、体制が脆弱であったがために検査や治療にたどり着くのが遅れた人がいるということだ。
世田谷区では「定期的な検査実施体制」を準備、一方、安倍首相は午後出勤の半休状態に
にもかかわらず、その反省はまったく活かされていない。検査が受けられない人が出てきているというのに、まともな対策を安倍首相は何ひとつとろうとしない。感染拡大を防ぎながら経済を回そうというのなら、アメリカ・ニューヨーク州や韓国・ソウル市のような大規模検査の実施が必要不可欠だが、いまだにこの国では検査抑制論がまかりとおり、安倍首相が大鉈を振るう気配は微塵もない。
こうした国の姿勢に業を煮やし、世界の成功例に倣って独自の検査体制を敷こうとする自治体も出てきた。たとえば、東京・世田谷区の保坂展人区長は〈世田谷区での「PCR検査」を1桁増やして、社会的に必要な医療、保育、介護等の人たちに定期的な検査をしていく「社会的な検査」についても準備をしていき、大幅に検査実施体制を拡充したい〉という意向を示しており、今朝放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演した際にも、PCR検査を「誰でも、いつでも、何度でも」受けられる体制づくりを目指すこと、さらには「世田谷区だけでコロナウイルスをなくすことは絶対にできないが、少なくても検査ができない、広がらないという状況を変えたい」と語った。
本来、こうした施策は国が率先して舵取りをおこない、実行してゆくべきものだ。しかし、感染拡大のなかで、安倍首相は27日からなぜか午後出勤の“半休”状態に突入。北海道新聞によると、〈政府高官は「首相が疲れているのは間違いない。休める時は休んだ方がいい」と理解を求める〉というが、新規感染者数が更新されているいまを「休める時」と考えているのなら、とんでもないことだ。
この総理のもと、一体この国はどうなってしまうのか。もはや暗雲しか立ち込めていない。 (編集部)