新型コロナの感染拡大が止まりません。
専門家会議が当初緊急事態宣言解除の目安としたのは「直近1週間の新規感染者数が10万人当たり0.5人程度以下」という数値でした。
しかし、安倍首相と側近・関係閣僚らの「連絡会議」の場で西村コロナ担当相がそれを紹介したところ、今井首相補佐官が「東京で解除できなくなる」と猛反発し、官邸は最終的に「10万人当たりの感染者が1人程度以下の場合は総合的に判断する(=解除する)」という文言を入れ込んだのでした。
しかし今やそんな段階ではありません。6月28日〜7月4日の数字では、東京都4.31人、埼玉県1.59人、神奈川県1.2人、千葉県0.91人、鹿児島県2.5人など、多くの場所でその緩めた目安をも超える状態になっています。
それなのに政府は、約1兆7千億円(内実行事務費に3千億円)を盛り込んだ「Go Toキャンペーン」の8月実施の強行を目指しているということです。
首都圏を中心に既にコロナが再炎に向かっているというのに、平然と場違いな政策に奔るとはあまりにも無謀であり「利己的」です。
LITERAが、経産省が利権まみれで作り上げた「Go Toキャンペーン」の醜い実態を取り上げました。
いうまでもないことですが、経済を回すことが重要だからと言って、コロナが再炎する兆しが濃厚な中でもそうすべきだということにはなりません。
経済を回し続けられるように、徹底した検査と隔離、そのための条件づくりを並行させるというのが大前提になります。国も都も何かそれらしいことをやっているのでしょうか。
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感染200人超でも強行 Go Toキャンペーンの裏!
“影の総理”今井補佐官と“菊池桃子の夫”新原局長が経産省利権にすべく暗躍、1兆7000億円計上
LITERA 2020.07.07
新型コロナの感染拡大が止まらない。きのう6日も東京都で新たに102人の感染が確認され、国内全体でも7月3〜5日と3日連続で新規感染者数が200人を超えた。政府が緊急事態宣言解除の目安としたのは「直近1週間の新規感染者数が10万人当たり0・5人程度以下」という数値だったが、6月28日〜7月4日の数字では、東京都(4・31人)はもちろんのこと、埼玉県(1・59人)や神奈川県(1・2人)、千葉県(0・91人)のほか、クラスターが発生した鹿児島県(2・5人)など、その目安を超える状態となっている。
しかし、こうした状況を安倍政権は直視しない。むしろ、廃止に追い込んだ専門家会議に代わる分科会が昨日、初会合をおこなったが、その後の記者会見で西村康稔・コロナ担当相は、イベント開催の規制緩和について「(分科会で)了解をいただいた」と明言。これにより、10日からはプロスポーツなどで無観客から施設定員の50%の範囲内で5000人まで認められることになる。
対策を講じるべき局面なのは明白なのに、逆に緩和する──。いや、そればかりか、1日に「Go Toキャンペーン」のイベントと商店街事業を担う経産省は委託先の公募を開始すると同時に、キャンペーンの8月中の開始を目指すと公表したのだ。
そもそも「Go Toキャンペーン」は、感染拡大の一途を辿っていた4月初旬に政府が第一次補正予算案で〈感染症流⾏が収束した後、国内における⼈の流れと街のにぎわいを創り出し、地域を再活性化するため〉として1兆6794億円も計上。当時から「収束後のことではなく感染拡大防止策のほうが先」「観光業やイベント関連などにいま必要なのは未来の需要喚起ではなく補償」などという声があがっていた。
そして、現在の新規感染者数の伸び方、とりわけ東京都の感染者数の増加を考えれば、人の移動を促すことにもなる「Go Toキャンペーン」を来月中に実施しようというのは、はっきり言って正気の沙汰ではない。しかし、今回イベント開催の規制を10日に緩和することにしたのも、この「Go Toキャンペーン」を予定通り実施するための布石だといわれているのだ。
どれだけ非難を浴びようと、さらには感染拡大の局面にあっても、どうして安倍政権はここまで「Go Toキャンペーン」に固執するのか──。その理由は、「Go Toキャンペーン」が「影の総理」と呼ばれる安倍首相の最側近・今井尚哉首相補佐官と、その子飼いである新原浩朗・経産省経済産業政策局長の肝いりだからだ。
新原氏といえば、昨年11月、タレントの菊池桃子と入籍した経産省のエリート官僚で、「将来の事務次官」と囁かれる人物。そして、今井首相補佐官と一緒になり、これまでも消費税率10%への引き上げに合わせた実施されたポイント還元制度や、安倍首相がゴリ押しして法案を強行採決させた働き方改革など、数々のとんでもない政策を推進。現在も、安倍首相が推し進めようとしている「全世代型社会保障制度改革」において検討会議の事実上の事務方トップに就任するなど、安倍首相からの信任が厚いことでも知られている。
そして、この今井−新原ラインが結託し「新型コロナ対策」として取り仕切ったのが、この「Go Toキャンペーン」だった。
「Go Toキャンペーン」の裏に安倍側近官僚たち…今井尚哉首相補佐官に“菊池桃子の夫”新原浩朗局長、森友問題のあの人
実際、6日付の朝日新聞では、いかにこの2人の暗躍によって1兆7000億円もの予算が経産省に一括計上されたのか、その裏側が報じられている。
まず、補正予算案が発表される前の3月ごろから、官邸や財務省周辺では国交省や農水省を揶揄する文書が出回った、という。これは経産省が流したと見られ、実際にその後、「Go Toキャンペーン」事業のとりまとめを経産省がおこなうことが決定したのだという。しかも、問題はその予算化の過程だ。ここで暗躍したのが、今井−新原ラインだった。
〈政府の事業は通常、所管省庁の中で練られ、予算を査定する財務省主計局との協議を経て予算化される。その過程で不備や課題が洗い出され、費用対効果も点検される。だが今回は、他省庁と同様、主計局もごく一部の幹部を除きほとんど蚊帳の外だった。〉
〈今井―新原ラインによるスピード重視の意思決定で、巨額補正の中身が次々と決まっていった。主計局内からはこんな不満が漏れる。「ほとんど詳細を知らされないまま、予算が決まっていった」〉
〈ある官邸幹部は「今井氏の意を受けて新原氏が動いた。各省庁に相談なく決めたから、各省庁からしたら『なんで』となるだろう」と述べる。〉
〈財務省側で新原氏に応じたのは、予算編成を担う主計局のトップ、太田充主計局長だった。〉
太田充氏といえば、森友問題で必死で安倍政権を守ったことで知られ、その論功行賞として財務省事務次官への就任が、きょう報道されたばかりだ。
いずれにしても、今井首相補佐官と新原氏、太田氏という安倍政権の側近官僚の動きによって、1兆7000億円もの巨額予算が協議や費用対効果の点検もなく計上されたのである。言っておくが、今井−新原ラインが「Go Toキャンペーン」の実施に暗躍していたこの時期は、新型コロナ対策が後手後手だと批判されていた3〜4月のことだ。本来ならば医療・検査体制の整備・拡充に力を注ぐべき最中に、安倍首相の最側近とその子飼いは「収束後の需要喚起」のための経済政策の巨額予算を経産省に取り付けようと必死になっていたのである。
専門家会議の廃止と後継組織「分科会」の人選の裏にも今井補佐官の経済優先
そして、国民の健康や安全を無視し、経済優先で動かそうという今井首相補佐官および安倍官邸の方針は、いまも何ら変わらない。その象徴が、専門家会議の廃止と、それに代わる分科会の成り立ちだ。
本サイトでは既報(https://lite-ra.com/2020/06/post-5493.html)で、緊急事態宣言の解除をめぐり安倍官邸が経済活動を再開させるべく専門家会議に経済の専門家を投入しようとし、それを解除に慎重だった専門家会議が拒否、安倍官邸が逆ギレして専門家会議を解散させてしまったと伝えたが、実際に新たな分科会には、官邸側が投入したがっていた大阪大学大学院経済学研究科教授の大竹文雄氏と東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏がメンバー入り。前述したように、イベント開催の規制緩和を予定通りおこなう方針が示された。
だが、この緊急事態宣言解除をめぐっては、安倍官邸と専門家会議のあいだにもうひとつの衝突が起こっていたことを時事通信が伝えている。それは、冒頭にも記した「直近1週間の新規感染者数が10万人当たり0.5人以下」という緊急事態宣言解除の目安にかんする問題だ。
この目安は専門家会議側が提案したものだが、これを安倍首相やその側近、関係閣僚らが官邸でおこなっている「連絡会議」の場で西村コロナ担当相が紹介したところ、今井首相補佐官が「東京で解除できなくなる」と猛反発。官邸は最終的に「専門家には経済の視点が全くない」としてこの提案を却下し、「10万人当たりの感染者が1人程度以下の場合は総合的に判断する」という文言を入れ込んだ、というのだ。
現在の状況は東京都で4・31人(6月28日〜7月4日)という、この「1人程度以下」をはるかに超えるものとなっているが、それでも政府も官邸も医療体制や感染拡大の中心となっている若年層は重症化リスクが低いなどという「総合的判断」をもとに「緊急事態宣言は必要ない」という立場を取りつづけている。だが、今井首相補佐官による「東京で解除できなくなる」という台詞が物語るように、この「総合的判断」は後付けにすぎず、「経済優先」ありきでしかないのだ。
そして、国会も閉会し、この安倍官邸の方針に異を唱え抵抗する専門家もいなくなったいま、感染拡大を横目に、補償や支援そっちのけで、需要喚起の「Go Toキャンペーン」実施に向けて安倍官邸は邁進してゆくのだろう。そうして、国民の健康と安全は置き去りにされつづけるのである。 (編集部)