東京の1日当たりの新規コロナ感染者数は1日に100人を超え、9日以降は200人を超えました。第1波の時に200人を超えたのは4月17日のたった1日なので、容易ならざる事態であり、第2波到来が云々されるのも当然です。尤も当時も今もPCR検査は不十分で、公表値の真偽も不明なので正確な比較は不可能ですが・・・
ただ国と同様に都も、この間準備らしい準備を全くして来なかった(隔離用のホテルとの契約を解除するなど「準備」に反する行為はしてきました)ので、間もなく感染爆発と医療崩壊が起きても不思議はありません。
日刊ゲンダイが「“ゴマカシ説明”連発の小池都知事が招く感染爆発と医療崩壊」とする記事を出しました。
併せて日刊ゲンダイの記事「厚労省が研究開始 7%が苦しむ新型コロナ『後遺症』の深刻」を紹介します。
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“ゴマカシ説明”連発の小池都知事が招く感染爆発と医療崩壊
日刊ゲンダイ 2020/07/11
10日、都内で新たに243人の新型コロナウイルス感染者が確認され、2日連続過去最多を更新した。午後2時から会見した小池都知事は最新情報を知りながら、積極的に情報公開しようとせず、記者から質問されてようやく「243人」と口にした。感染の実態に正面から向き合おうとしない小池都知事の説明にはゴマカシがいくつも隠れている。
夜の街・若者
小池都知事は「夜の街」を元凶のように繰り返している。確かに、10日の感染者のうち110人は夜の街関連だが、約100人は感染経路が不明だ。今や、会社や学校、家庭で感染が広がり始めている。それに、20~30代の若者の感染ばかりを強調しているが、実際には40~50代の感染もジワジワ増えている。幅広い場所、年代で市中感染が拡大しているのは明らかだ。
陽性増は検査充実
小池都知事は「1日当たり3000人を超えるPCR検査が実施されていることなどから陽性者が増えている」とも語っている。しかし、陽性者急増の理由は、検査の充実ではない。感染が拡大しているからだ。それは陽性率(検査数に占める陽性者の割合)が物語る。
5月末ごろの陽性率は1%前後だったが、7月9日の陽性率は5.8%。検査数は5月末ごろは1000人程度だったが、9日は2445人(1週間平均)と2.5倍に増えている。一般的に検査件数が増えると陽性率は下がるといわれてきた。ところが、母数が増えているのに陽性率が約6倍に跳ね上がっているのだ。
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「かなり市中感染が広がりつつあるということです。ここで手を打たないと危ない。ところがきのうから、イベント開催の制限緩和に踏み切りました。矛盾していますよ」
医療提供体制
小池都知事はやたらと、医療提供体制の整備を強調している。
10日も「要は、いかにして医療崩壊を招くことがないようにするのか」と強調していた。都は、入院病床を1000床確保済みで、この先、3000床、4000床の確保計画を示しているが、すでに病床は火の車だ。
7月1日の入院者数は280人だったが、10日時点で487人。現在、都が確保している1000床はすぐに埋まる可能性がある。軽症者の入院が増えつつあるのだ。理由は、軽症者の受け入れ先の確保に失敗したからだ。
都は軽症者を受け入れるため、5つのホテルと契約していた。ところが、このホテルとの契約が切れ、軽症者を隔離する場所を失い始めているのだ。
東京都感染症対策課の担当者が言う。
「5つのうち3つが6月末で契約が終了し、1つが7月末で契約終了します。残り1つは9月末までの契約ですが、かなり埋まっている。そこで、新たなホテルの確保に動いています。16日までに1つメドが立っています」
ギリギリの自転車操業なのだ。
「感染者が日に日に増える中、軽症者の入院が続けばあっという間に満床になる恐れがあります。6月の時点で感染者数が減少に向かっていたから契約を終了させたのでしょうが、せめて2~3のホテルは継続して確保しておくべきでした。都の対応は理解に苦しみます」(中原英臣氏)
都知事選に気を取られ、小池都知事はホテルの確保を怠ったのか。感染爆発、医療崩壊はすぐそこだ。
厚労省が研究開始 7%が苦しむ新型コロナ「後遺症」の深刻
日刊ゲンダイ 2020/07/12
10日厚労省が、新型コロナウイルスの「後遺症」について8月から研究を開始すると発表した。来年3月末まで、2000人を対象に実施する予定だ。政府が研究をスタートさせるのは、後遺症に苦しむ人が予想以上に多く、症状が深刻だからだ。
後遺症の症状は、発熱や頭痛、息苦しさ、倦怠感、味覚障害などさまざま。NHKの5月時点の調査によると、7%が後遺症に苦しんでいるという。PCR検査で陰性になり退院した後も、社会生活を送れないケースもある。どうやら新型コロナは陰性になったらオシマイ、という病気ではないらしい。
21歳の男子学生は、退院後も2カ月近く、37度5分前後の発熱や倦怠感、息切れ、嗅覚障害が続き、休学を余儀なくされているという。
また、10代の男性は、血液検査や肺のCT検査では異常は見つからないのに、発熱や頭痛といった症状が消えず、倦怠感の強い日はベッドから起き上がれないという。体重は8キロも減った。
イタリアの呼吸器学会は、新型コロナから回復した人のうち3割に呼吸器疾患などの後遺症が生じる可能性があると指摘している。
陰性でもウイルスが臓器に残っている可能性が
どうして、陰性になっても重い症状が続くのか。原因として“肺線維症”や“免疫暴走”“ウイルス残存”などが考えられている。
新型コロナに限らず、肺炎には“肺線維症”という後遺症がある。肺が萎縮して肺組織が硬くなってしまい十分に酸素を取り込めなくなり、息切れが起きてしまう。
“免疫暴走”は、免疫システムが過剰反応し、正常な細胞まで攻撃してしまう現象だ。発熱や頭痛は免疫暴走が原因の可能性があるという。
また、PCR検査では陰性でも、ウイルスが臓器に残っている可能性も考えられるという。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「新型コロナは、通常の風邪とは違うということです。このウイルスは、肺だけでなく、全身に影響を与え、炎症を起こす力がある。炎症が回復する過程でさまざまな症状が出ているとも考えられます。もちろん、肺線維症や免疫暴走、ウイルスが体内に残っている可能性もあるでしょう。いずれにしろ、まだ分からないことが多い。なぜ、人によって無症状だったり、後遺症まで生じるのかも大きな謎です」
安倍政権は「Go To キャンペーン」などと、全国規模の旅行を奨励しているが、大丈夫なのか。