東京都の新規感染者のうち、療養先が決まっていない「調整中」の人数が18日時点で556人にも上っているということです。これは都が、軽症者隔離用のホテルとの契約が6月~7月末で切れるのを放置していたためです。
小池知事はついこの間まで、PCR検査能力は4000件/日に増え、医療施設には十分な余裕があるといい続けてきましたが、それは大いなる見込み違いで、もう既に対応し切れなくなったのでした。
知事選が始まったころからの小池都知事は、具体的な策は何も取らずに会見でデータも偽るなど酷いものでした。ニューヨーク州やソウル市をはじめ、海外の都市部では徹底した検査体制を敷いて無症状者の捕捉に力を注いでいるのに対して、まったくの無策状態で経過した結果がこの有様です。
安倍政権はこの間、コロナの再拡大を「圧倒的に東京の問題」(菅官房長官)などと言って東京都に責任を押し付けていますが、そんなことが言える立場ではありません。そもそもいまに至るもPCR検査数を全く増やさないのは、厚労省と分科会にその意思がないからで、依然として世界の定理・常識に反する対応を日本が取り続けているからです。
それでも問題が起きていないならいざ知らず、早くも第1波ピーク時の感染増加を超える勢いを示しているのですから、感染拡大防止に「クラスター対策」方式が役に立たないことは明白です(これは既に第1波で確認されたこと)。
菅氏が北海道で「圧倒的に東京の問題」と述べたのは11日、それに対して小池都知事が「Go To」を引き合いに出して「むしろ国の問題」と応戦したのが13日でした。
すると翌朝の読売新聞に唐突に“都内で陽性者と確認が取れなくなっているケースが多発”というスクープ記事が掲載されました。連絡が取れないこと自体は確かに問題ですが、それが官邸のリークで書かれたとなると、その意趣返しの低劣さに呆れます。
また何が何でも「Go To」を決行したい安倍官邸は、東京を除外したことも「小池氏が望んだこと」と、その責任を都知事に押し付けました。
しかし問題はこれはそんなことで済まされるものではなく、東京以外でも感染が拡大するなかで政府が旅行を後押しすることが正当なのかという話です。それなのに御用ジャーナリストらを使ってそんな宣伝に躍起になるところにこの政権のいかがわしさがあります。
小池氏が実質的に何のコロナ対策も取っていなかったのは事実なので、敢えて擁護する必要もないのですが、それ以上に国がダメなのもまた明らかです。
LITERAが取り上げました。
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安倍官邸の「東京問題」へのスリカエ情報操作が卑劣!
小池vs菅が対立した途端、読売を使って東京の「連絡つかない陽性者」をリーク
LITERA 2020.07.19
本日19日、東京都の新規感染者数は188人だと発表された。メディアでは200人を下回るのは4日ぶりなどと報じられているが、昨日までの直近4日間の新規感染者数は1000人を超えており、とてもじゃないが安心できるような数字ではまったくない。なかでも危惧されているのが、療養先が決まっていない「調整中」の人数が昨日時点で556人にものぼっていることだ。
東京都は軽症者や無症状者の療養先としてホテルなどを借り上げて対応しているが、この数がまったく追いついていない。現在は池袋と八王子の2カ所のホテルで約210人分を確保し、7月中にもう1カ所を追加するというが(東京新聞19日付)、1日の新規感染者数が200人も出ている状況を考えれば、すでにパンク状態。実際、7月中旬から自宅療養となる人の数は急増しており、家庭内感染の恐れが高まっている。
7月はちょうど借り上げ契約の切り替え時期だったというが、緊急事態宣言の解除後、感染者が再び増加することは十分予測できたこと。しかも、アメリカ・ニューヨーク州や韓国・ソウル市をはじめ、海外の都市部では徹底した検査体制を敷いて無症状者の捕捉に力を注いでいるが、東京都はまったくの無策状態。現在の新規感染者数の増加は当たり前の話だ。
にもかかわらず、小池百合子・東京都知事は、パフォーマンスにすぎなかった「東京アラート」をも都知事選に合わせて拙速に解除したうえに廃止。日毎に発表する陽性者数を恣意的に操作していた疑惑のみならず、療養施設をしっかり押さえておくという対策さえおざなりにしていたのである。
だが、これは小池都知事だけの責任ではない。首都・東京がこのような状況に陥っているというのに、何も手を打っていないという意味では、安倍政権もまったく同じなのだ。
ところが、安倍政権はこの間、「圧倒的に東京の問題」などと言って、ただただ東京都に責任を押し付けてきた。
実際、菅義偉官房長官は本日放送された『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)に出演し、療養用のホテルが激減している問題について、「やはり東京都の問題だと思いますよ」「いざ増えはじめてから、いま必死に探している」と小池都知事を批判した。
「増えはじめてから必死に探している」って、それはお膝元である首都の危機さえまったくフォローできていない国の能力不足の問題ではないか。それを棚に上げて、すでに療養施設がパンク状態という危機が生まれ、国民の健康と安全が守られない状態に陥っているというのに、まるで他人事のように「東京都の問題」と攻撃するとは……。そもそもホテルを中心に療養施設にあてているが、稼働率の低さが問題となってきた省庁の研修施設なども利用するべきだし、それは都というより国の役割だろう。菅官房長官は「国も協力して探したい」と付け加えていたが、そんなことは当たり前の話で、それがいまできていないことが大問題なのだ。
こうした問題をメディアは「小池氏と菅氏「泥仕合」の行方」「政府に広がる“東京不信”と“小池不信”」などと報じ、菅官房長官と小池都知事の対立にスポットを当てているが、これは安倍官邸が自分たちの無策を東京に責任転嫁しているだけだ。
「Go Toトラベル」の東京除外も同様だ。大前提として、東京以外でも感染が拡大するなかで政府が旅行を後押しすること自体が正気の沙汰ではなく、東京を除外したところで根本的な問題は解消されていない。しかし、安倍官邸は「Go To」への批判が高まるなか、「東京問題」に矮小化させることで押し切ってしまった。
「Go To」キャンペーンの東京除外でも、官邸は「小池が望んだこと」「説明責任は都」
しかも、その東京除外についても、政府は完全に東京に責任を押し付けている。
実際、政府関係者は「小池氏のおっしゃる通りにやっただけ。都民への説明責任はむしろ都にある」「除外は小池氏が望んだこと。それに尽きる」と発言(毎日新聞17日付)。
同じように、“安倍官邸の代弁者”である田崎史郎氏も17日放送の『ひるおび!』(TBS)で、東京除外は安倍首相と今井尚哉首相補佐官、菅官房長官の三者会談で決定したと解説し、「小池都知事も都外に出るのを控えてくださいと、(特措法)24条9項に基づく要請ですと言われた。ランクが上がったわけです。法律に基づく要請になった。そうすると、当然のことながら『Go Toキャンペーン』にも参加できなくなりますよね?」「東京都を外すということは理屈がなきゃできませんから、そういうときやっぱり小池さんの発言が重かったということです」と説明していた。
普通、全国各地の感染者の増え方を見て総合的な判断をするのが当然であり、東京近県や大阪、愛知といった都市部の感染の広がりを考えれば東京除外で済む話ではまったくない。だが、何が何でも「Go To」を決行したい安倍官邸は、東京除外の根拠を小池発言に押し付け、御用ジャーナリストにそれを喧伝させているというわけだ。
この田崎氏の説明に対しては、片山善博・元鳥取県知事が「知事がどう言ったこう言ったというのはウイルス対策としては関係ない」「日頃あんまり好きではない小池さんがいろいろ言っても無視していたのに、こういうときだけ揚げ足とるみたいに『知事が言ったからだ』なんていうのは、まったく説得力ない」「『知事が言った』というなら秋田県の知事も県内だけでやっているのにと不満を言われてましたけど、じゃあ秋田県は対象から外そうとならなければ理屈が合わない」と批判していたが、まったくそのとおりだろう。
まったく安倍官邸は国民の命にもかかわる問題を何だと思っているのかと言わずにいられないが、じつは、政府の責任を「東京問題」にすり替えるために、安倍官邸が“情報操作”にまで乗り出している疑惑まである。
Go Toめぐり小池vs菅の応酬が始まったとたんに、読売に「東京で連絡がつかない陽性者」報道
感染の再拡大について、11日に菅官房長官が「圧倒的に東京の問題」と言い出し、13日に小池都知事は「Go To」を引き合いに出して「むしろ国の問題」と応戦したが、その翌日である14日、読売新聞は朝刊で“東京都内で陽性者と確認が取れなくなっているケースが多発している”というスクープ記事を掲載。その記事では、療養先が決まっていない「調整中」の479人について、政府関係者が「このうちの多くと連絡が取れない状況になっている」と証言していた。
そして、この読売のスクープが出た当日、菅官房長官は会見で「調整中」の人のなかに「陽性結果が判明後に連絡が取れない方が含まれる」とこの事実をあっさり認め、「東京都に対し、詳細な状況の確認を求める」と発言。さらに加藤勝信厚労相も「都が数字を出していないので具体的な数字は申し上げられない」「われわれも非常に注目している。詳細な中身について都に確認を再三、お願いしている」と述べ、東京都の対応を非難した。一方、こうした政府からの批判に対し、小池都知事は「連絡が取れなくなっているのは1人。何百人も取れないのは誤り」と述べた。
東京都が発表する数字には不透明さがずっとつきまとっており、小池都知事の反論が果たして正しいのかどうかはわからないが、しかし、重要なのは、このような事態にならないよう療養用施設を確保しておくことであり、それを怠った責任は政府と東京都の両方にあるものだ。
にもかかわらず、小池都知事が「国の問題」と発言した翌日にこのスクープ記事が出て、申し合わせたようにすぐに菅官房長官と加藤厚労相が自分たちの責任を棚に上げて東京都の対応を非難しはじめる──。あまりにもタイミングが良すぎる話だが、一体この裏側に何があったのか。じつはそのヒントとなる話を、14日放送の『ひるおび!』で田崎氏がぽろっと漏らしていた。
番組でこの読売のスクープ記事を取り上げた際、田崎氏は「このとおりだと思いますよ」と述べると、こうつづけた。
「というのはね、先週土曜日に官邸のある方と話したら、この行方不明になっている人たち、連絡とれない方がいるというのは問題として、これ問題だなって言われていたんですよ。だから、官邸では先週後半の段階でこの問題は共有されていて」
田崎史郎は報道の前の週に「官邸のある方」から“連絡取れない陽性者”問題を聞かされていた
つまり、田崎氏の話がたしかならば、確認が取れない陽性者がいることを前々から把握していたにもかかわらず、それを官邸は黙って見ていた、ということになる。しかも、前述したように、この問題を読売が報じたのは小池都知事が「国の問題」と批判した翌日のことだ。これはようするに、安倍官邸が「東京問題」であることを強調するために、読売に情報をリークしたのではないか。
新型コロナ対応は国が陣頭指揮をとり、とりわけ人口が集中している首都・東京の感染拡大封じ込めと医療提供体制の整備は、国も総力をあげておこなわなければならないものであることは当然だ。それを「東京問題」などと国の責任から切り離して対応しようとすること自体が異常事態なのだが、まさか、そのためにメディアを使った扇動行為までおこなっていたとしたら、もはや安倍官邸のコロナ対応は手の施しようもないほどとち狂っているとしか言いようがない。
そして、こうして安倍政権が責任を東京に押し付け、メディアが「菅vs小池」などと矮小化して報じているあいだにも、東京では医療提供体制が逼迫し、感染は国内にどんどん広がっていっている。このままでは、感染が拡大した前回以上の惨劇が繰り広げられることは間違いないだろう。 (編集部)