21日に、芸能人槇原敬之氏の覚せい剤等の所持に関わる初公判が行われ、メディアは槇原氏が起訴の内容を認めたうえで、「音楽活動に関わる方々やファンの皆様に対し、本当に申し訳なく思っています」と謝罪したと報じました。
そう報道されるとあたかも槙原氏が最近まで覚せい剤や危険ドラッグを使用しており、そのことをすべて認めたかのような印象を受けますが、事実は全く違うということです。
そもそも起訴事実は危険ドラッグと覚せい剤の「所持」容疑だけで、「使用」については、槇原氏自身も公判で「ここ数年使っていません」と否定しているし、使用を裏付ける証拠は何も出なかったのです。
しかも所有していたとされている時期も2018年3月と4月ということで、所持量も「ラッシュ約64.2ミリリットル」と「覚せい剤約0.083グラム」などの微々たるものでこれで「所持」の罪になるのかというレベルです。
なぜそんなことで起訴されたのかについては、「逮捕時に大々的に報道されて、不起訴では格好がつかない。それで槙原氏にプレッシャーをかけて強引に認めさせた」ということではないかと見られています。
しかし起訴された方は、そのために芸能活動を中断され、かつ将来性も奪われるわけです。決して放置できる問題ではありませんn。
ところで今回も暴走したのは例の警視庁「組対5課」で、かつて毛髪からも痕跡が見つけられず、覚せい剤の使用が確認されないまま、逮捕起訴された沢尻エリカさんのケースに瓜二つです。
LITERAは、薬物捜査に詳しい全国紙社会部記者の
「組対5課が薬物捜査の手法をどんどんエスカレートさせたのは3〜4年前からで、ASKAのときや沢尻エリカのときは逮捕後に警察のやりすぎとしか思えない問題が噴出した。ところが、マスコミ、とくにワイドショーはその部分を一切批判せずに、むしろ逮捕された芸能人のほうを叩き続け、世論もそっちに流れた。あれで、組対5課が味をしめてしまったんですよ」
「組対5課が薬物捜査の手法をどんどんエスカレートさせたのは3〜4年前からで、ASKAのときや沢尻エリカのときは逮捕後に警察のやりすぎとしか思えない問題が噴出した。ところが、マスコミ、とくにワイドショーはその部分を一切批判せずに、むしろ逮捕された芸能人のほうを叩き続け、世論もそっちに流れた。あれで、組対5課が味をしめてしまったんですよ」
という言葉を紹介しています。
メディアは、残念ながらここでも警察や検察の横暴を批判し阻止する役目を果たしていません。
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槇原敬之の初公判でマスコミが報じなかったこと…マッキーは覚せい剤使用をきっぱり否定、警視庁組対5課の無茶な捜査も明らかに
LITERA 2020.07.22
昨日21日、槇原敬之の初公判が行われ、メディアやネットには、こうしたタイトルの報道があふれた。報道によれば、検察は論告で「20歳ごろに薬物を使い始め、覚せい剤に手を出すようになった」「(過去に)有罪判決を受けたにもかかわらず、使用を繰り返した。社会に与えた影響も計り知れない」と非難。槇原は起訴の内容を認めたうえで、「音楽活動に関わる方々やファンの皆様に対し、本当に申し訳なく思っています」と謝罪したという。
しかし、これ、完全にミスリードだろう。こうした報道だけを見ていると、あたかも槙原が最近まで覚せい剤や危険ドラッグを使用しており、そのことをすべて認めたかのような印象を受けるが、事実は全く違うからだ。
そもそも、槇原が起訴されたのは危険ドラッグと覚せい剤の「所持」容疑だけで、「使用」については、槇原自身も、今回の公判で「ここ数年使っていません」と否定している。
これが言い逃れなどでないことは起訴状をみればわかる。検察は論告では「使用を繰り返した」などと主張したようだが、起訴状では「使用」については一切書いていないのだ。
「覚せい剤の『使用』容疑で起訴なんてできるわけがない。2月に槇原を逮捕してから、警視庁組対5課は徹底して捜査をしたが、結局、自宅から危険ドラッグのラッシュが出てきただけで、使用を裏付ける証拠は何も出なかったわけでしょう。尿検査だって簡易鑑定でも、本鑑定でもあらゆる違法薬物に反応がなかったわけですしね」(警視庁担当記者)
しかも、「所持」容疑もこれで罪になるのか、というレベルだ。起訴状によると、槙原は、東京都港区のマンション一室で「ラッシュ 約64.2ミリリットル」と「覚せい剤 約0.083グラム」を、渋谷区の自宅で「ラッシュ 約3.5ミリリットル」を所持していたとされている。しかし、覚せい剤などが見つかった港区のマンションのほうは2年以上前に槙原が仕事部屋として借りていた場所で、所有していたとされている時期も、2018年3月と4月なのだ。
2018年3月といえば、周知のように、当時、槙原の所属時事務所の代表で公私にわたるパートナーだったA氏が覚せい剤所持および使用で逮捕されている。しかし、このとき、槇原について警察は使用も所持も立証できず、A氏は単独所有、単独使用で有罪判決を受けた。
今回は、そのA氏逮捕の際に、A氏が出入りしていた部屋で押収された覚せい剤などが槙原の所有だったとされたのである。
一方、渋谷の自宅に所有していたとされる「ラッシュ 約3.5ミリリットル」は今年2月、逮捕時のガサ入れで発見されたものだが、これも2年以上前にA氏から入手したのを処分に困り、持っていたにすぎない。
槇原自身も今回の公判で、所持していた理由についても“こういうものを捨てるときは気を付けたほうがいいと聞いたことがあり、手元に置いていた”“新しいパートナーに見つけられてはいけないという意識から、鍵のついたセーフティーボックスに入れて隠していた”と証言している。しかも、このラッシュは2007年に販売が規制され、2014年から所持・使用も禁止となっただけで、少し前まで合法だったものだ。
「所持」についても槇原は争う覚悟で父親に宣言していたが、警察にプレッシャーをかけられ…
そういう意味では、今回の初公判で明らかになったのは、マスコミが喧伝する「やはり槙原は覚せい剤を繰り返し使っていた」というものではまったくない。むしろ「やはり警視庁は槙原の事件で無茶な捜査をしていた」「その無茶苦茶な捜査を検察は強引に起訴した」ことがはっきりしたというべきだろう。
実際、本サイトは槙原が逮捕された直後から、この捜査に疑義を唱えていた。2年も前の薬物事件、しかも別の容疑者の単独所有で決着している事件の押収薬物を今頃になって所有していたことにして逮捕するなんて、一事不再理の原則に反するありえない話だからだ。しかも、A氏は逮捕直前に、槇原から事務所代表を解任されるなど関係を解消されたことでトラブルになっていた。物的証拠もないままそんな関係性の人物の証言だけで逮捕に踏み切れるなら、恨んだ相手をいくらでも陥れることが可能になってしまう。
当時、全国紙の警視庁担当記者は、その裏側をこう明かしていた。
「組対5課にいまも槙原が覚せい剤をやっているという情報があったが、なかなか確たる証拠がつかめなかった。それで、元パートナーのA氏が2018年に逮捕された際の押収薬物を槙原の所有だったことにして、無理やり逮捕に踏み切ったというわけです。組対5課はとにかく逮捕すれば、尿検査、ガサ入れで覚せい剤をいまもやっている証拠をつかみ、自白に追い込めると踏んでいたようです。ところが、結局、尿検査はシロ、周辺捜査でも何も出なかった。それでしようがなく、そのまま2018年の件と、逮捕のガサ入れで見つかった危険ドラッグだけで起訴することになった。しかし、2018年の件は実際に誰のものかははっきりせず、槙原がA氏のものだと主張すればくつがえす材料はない。普通なら起訴できるような話じゃないんですが……」
実際、槙原も当初は全面的に争うつもりだったのではないかといわれている。槇原敬之の父親も「女性自身」(光文社)3月30日号の取材に対し、逮捕数日後に槇原本人に接見したとき様子をこう語っていた。
「息子は憔悴しているどころか、とても元気そうでした。そして私に『僕はやってない。だから、心配しないで……』とはっきり言ったんです。本人から直接、その言葉を聞けてホッとしてね。息子の言うことを信じてあげようと思うのは、どこの親も同じ。それで『わかった。それやったら(警察の方に)しっかりと調べてもらい!』と言って帰ってきました」
しかし、結局、槇原は所持を認め、起訴された。
「これだけ大々的に報道されて、不起訴では格好がつかない。それで、槙原にプレッシャーをかけて強引に認めさせたんじゃないでしょうか。今回の逮捕時に出てきたラッシュの件で相当攻めたようです。今回のラッシュも残っていただけとはいえ法律違反ではあるので、下手に容疑を否認すれば拘留され続ける可能性もある。それで槙原も、2年前の所持を認めざるをえなかったんでしょう」(前出・警視庁担当記者)
警視庁組対5課の強引な薬物捜査! 批判せず宣伝に手を貸すマスコミが警察を調子付かせた
いずれにしても、槙原の逮捕は明らかな違法捜査であり、起訴も不当である可能性が高い。そしてそのことは、今回、初公判に検察が提出した起訴状からはっきりしたのである。
しかし、マスコミは裁判になってもこうした捜査や起訴への批判は一切やらず、その内容をミスリードして逮捕時と同じように「槇原はやっぱり覚せい剤を繰り返し使用していた」かのように印象付けたのだ。
まったくその警察べったりには呆れるが、こうしたマスコミの姿勢こそがいまの警察の強引な薬物捜査をつくりだしたともいえる。薬物捜査に詳しい全国紙社会部記者が「組対5課は完全に調子に乗っている」として、その理由をこう解説する。
「組対5課が薬物捜査の手法をどんどんエスカレートさせたのは3〜4年前からで、ASKAのときや沢尻エリカのときは逮捕後に警察のやりすぎとしか思えない問題が噴出した。ところが、マスコミ、とくにワイドショーはその部分を一切批判せずに、むしろ逮捕された芸能人のほうを叩き続け、世論もそっちに流れた。あれで、組対5課が味をしめてしまったんですよ」
以前の記事でも指摘したが、芸能人の薬物汚染と、警察国家化・道徳ファシズムのグロテスクな合体による不当捜査、不当起訴の横行と、どちらが危険なことなのか。国民はもう一度考え直してみるべきではないか。 (林グンマ)