政府の「Go Toキャンペーン」を実質的に仕切る役割を担っているのは電通で、そこに巨額の手数料が流れる仕組みになっていたことが明らかになりました。同時に経産省と電通のただならない関係も明らかになり、国民の憤激を呼び起こしました。慌てた政府が急遽「Go Toトラベル」を3分割するなどの、付け焼刃の対応をしたのはご存知の通りです。
ところで自民党と電通の関係は実に1950年代からで、電通はそのころから自民党の広報戦略に協力し、現在に至るまで、衆院選・参院選の政党CMの撮影、スローガン策定、ポスター・リーフレットの作成など自民党の選挙戦略を引き受けてきました。
ところがそれに加えて、現在では内閣官房におかれた内閣広報室のメンバー4人のうちの1人に電通からの人材が参加し、「広報戦略の企画・立案」「広報に関する各省庁・企業・NPO組織等との調整」などだけでなく、内閣官房のツイッター、首相官邸のツイッター、インスタグラム、フェイスブック、LINE、YouTube「首相官邸チャンネル、首相官邸メールマガジンの運営などに当たっているということです。
毎日新聞が、「内閣広報室に『電通職員枠』? 9年連続採用」とする記事を出しました。
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内閣広報室に「電通職員枠」? 9年連続採用
毎日新聞 2020年7月27日
首相官邸のインターネット発信などを担う内閣官房の「内閣広報室」が、9年連続で広告大手・電通から1、2人の職員を受け入れている。2012年12月に発足した第2次安倍政権で、一貫して電通が官邸の情報発信にかかわってきたことになる。政府は新型コロナウイルス対策事業を巡って電通との関係の近さが指摘された経緯もあり、説明責任が求められそうだ。
政府が毎年10月現在(14年までは8月現在)のデータを公表している資料「民間から国への職員の受け入れ状況」によると、同室は08~10年、ヤフーとシーエー・モバイルから各1人計2人を受け入れていた。
民主党政権だった11年には広告大手の博報堂2人、ヤフー1人、日産自動車1人の計4人に増加。当時の政府関係者は「仙谷由人官房長官(故人)が『政府広報に民間の専門家を入れるべきだ』と主張し、博報堂などが入った」と語る。さらに政権末期の12年に民間受け入れを一気に10人に増やし、広告大手からは博報堂2人に加え、電通1人が新たに採用された。
その後、第2次安倍政権発足後の13年には博報堂が外れ、電通は2人に増えた。内閣広報室はその後も毎年10人前後を民間から受け入れており、うち電通は毎年1、2人。一方、博報堂は第2次安倍政権下で採用されたデータがない(ただしグループ関連会社の「博報堂DYキャプコ」は18、19年に採用された)。
現在、電通からはSNS運営を担う非常勤職員「広報調査員」1人を公募で受け入れている。採用予定期間は今年4月1日から2年間で、
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9年間の電通からの受け入れは、事実上の電通枠ではないのか。この点について内閣広報室に文書でただすと「結果としてたまたま続いているだけで電通枠というものはない」とコメント。電通広報も「内閣広報室の人事に関することで、同室までお問い合わせを」と文書で回答した。
東工大リベラルアーツ研究教育院の西田亮介准教授(社会学)は「9年連続採用は露骨ではないか。公募だったのか、電通ありきで人事交流していたのか。どういう経緯で政府に来ていたのかは明らかにされるべきだ」と話した。【大場伸也】