2020年7月5日日曜日

都の感染者100人超は1日から 139人を67人と発表 数字を操作

 東京都ではコロナの感染者が日ごとに増加しています。4日の主な新感染者数を新聞の見出しから拾うと、「全国263人(朝日新聞4日23:18)」、「大阪で17人(朝日新聞4日20:34)」、「鹿児島23人 (NHK4日17:50)」などとなっており、新潟県も16日ぶりに「1人(新潟日報13:12)」の感染者が出ました(新潟市在住の20代の外国籍男性会社員。先月30日に東京から帰宅後発熱・けん怠感症状が出る。東京で一緒にいた人も感染)。

 東京都での増勢は顕著で決して放置できるものではありません。そんな中、東京都は7月1日の新規感染者数を67人と発表していましたが、実際には139人であったことが分かりました。都は集計後にも各区などから報告が上がるのでそれが誤差となると説明していますが、余りにも大きな差で俄かには信じられません。小池知事がうっかり「60代に乗せる」と口を滑らした通り、一貫して自分たちに都合がいいように数字を操作しているのではないかという疑いを禁じ得ません。
 発表後に上がってきた分については翌日修正報告するのが通例ですが、都はそれを別枠で「こっそり」ホームページに表示するだけで、いわゆる修正報告はしていません。

 要するに都は、別枠で修正値を発表しているからというのを口実にして、毎日、記者の前では「恣意的な数値」を報告しているというのが実態です。
 すべては小池知事が都知事選で不利にならないようにという意図から行っているものと思われます。それ自体が勿論卑劣ですが、問題はこのまま流行が拡大する惧れが大きいのに対して、単に「夜の街」が原因だなどと強調するだけであることです。
 都も国も、識者が等しく指摘しているにもかかわらず、いまなお徹底的な検査と隔離の政策を取っておらず、十分な隔離施設や入院病床の確保にも取り組んでいません(これに関しては別の記事を紹介します)。
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東京のコロナ感染者100人超は7日1日から 発表67人を139人に修正
アラート解除前後にも感染者数操作の新証拠
LITERA 2020.07.04
 東京都のコロナ感染者数が3日連続で100人を超え、マスコミも大きく取り上げているが、実はこの100人超えをめぐってもっととんでもない事実が明らかになった。
 100人超えが最初に報じられたのは7月2日、小池百合子都知事が臨時会見を開き、「107人の感染者が確認された」と発表。マスコミが「100人を上回るのは5月2日以来」と報道した。ところが、実際はその前日、7月1日の時点ですでに100人を超えていたのだ。
 7月1日、東京都が発表し、メディアが報じた新規感染者数の速報値は67人だった。ところが、4日現在、東京都のHPの「旧モニタリング指標」の陽性率のデータを開き、7月1日にカーソルをあわせると、陽性者の数は139人となっている。
 つまり、東京都はいつのまにか発表より倍以上の数に修正していたのだ。たしかに毎日、東京都が夕方ごろに発表してきた感染者数は、各保健所からの聞き取りを集計した速報値にすぎず、その後に随時、更新・修正されている。実際、東京都はそれとは別に各保健所から提出された発生届を確定日別に整理したものを「確定日別による陽性者数」として掲載している。
 しかし、いくら速報値ととはいえ、2倍以上に修正というのはいくらなんでも、おかしくないか。しかも、小池知事は7月2日にはじめて100人を突破した体で、臨時記者会見を開いているのだ。実際は7月1日に100人を大幅に超えていたというのに……。
 実はこの問題は7月3日放送の『ひるおび!』(TBS)でも取り上げられた。司会の恵俊彰が67人の発表が、3日時点では125人に修正されていること(つまり、4日にさらに139人に修正されたことになる)を紹介すると、コメンテーターからも次々と疑問の声があがった。
 たとえば、元鳥取県知事の片山善博氏はこんな疑問を呈した。
「なんでそういう違いが出てくるのかっていうことは、きちっと東京都は説明しなきゃいけませんね。多少の誤差があるのは、まあ、しょうがないことですね。ミスはありますから。でもね67が125。倍近いですよね。私なんか性根が曲がっていると、これ、隠したんじゃないか、まずいから、と勘ぐる人だって出てきますからね」
 そう訝るのは当然だろう。実は先日も同様の疑惑が浮上していた。それは、都知事選に出馬している宇都宮健児氏が小池都知事に質問状という形で突きつけた、東京アラート直前の陽性者数の問題だ。
 6月11日、小池都知事は5日から11日までの平均感染者数が17.9人であるり、「直近1週間の平均感染者数20人未満」という解除基準を満たしているとして、東京アラート解除することを宣言。翌12日、出馬表明会見をした。
 しかし、「しんぶん赤旗日曜版」編集部が都内の各保健所に聞き取り調査をし、6月2日~ 13日までの「保健所に届けられた発生届」の総数を計算したところ、都の発表よりも感染者がはるかに多く、5日から11日までの平均感染者数は基準を大きく上回る22人だったのだ。
 つまり、宇都宮候補は、この数字の差をもとに、小池知事が東京都知事選を有利に進めるために、東京アラートを強引に解除しようと、恣意的に直近1 週間の感染者数を低く抑えたにではないか、と追及したのだ。

東京都が発表している速報とは別に精査していた「確定日別による陽性者数」
 実際、その可能性は高いと言っていいだろう。というのも、都のデータは区市町村のデータに含まれていないものがあり、区市町村の合計より多く出るのが普通だからだ。たとえば、板橋区はHPに〈東京都が公表する患者数のほうが多くなります〉と但し書きをしているほどだし、累計(3日時点)で見ても、区市町村別の合計が6098人に対し、都の感染者数は6523人と、都のほうが上回っている。ところが、この時期にはなぜか、東京都の発表が市区町村の合計より少なく抑えられているのだ。
 しかも、本サイトは、東京アラート解除のために感染者数が操作されていたことを物語るもうひとつのデータを突き止めた。それは、毎日、発表している感染者数(速報値)とは別に、東京都が後に精査して公表している「確定日別による陽性者数」だ。
 この「確定日別による陽性者数」は前述したように、東京都が各保健所から提出された発生届を医師が陽性と確認した日別(確定日別)に整理したもので、その数値はより正確とされ「確定値」として扱われている。
 ところが、アラート解除前後にスポットをあてて、この数値と、アラート解除の基準となった毎日、発表される感染者数(速報値)を比べると、あまりに不自然な動きが浮かび上がってきた。数字を挙げてみよう。
6月 9日   当日発表の感染者数(速報値)12人  確定日別陽性者数 25人
6月10日  当日発表の感染者数(速報値)18人  確定日別陽性者数 22人
6月11日    当日発表の感染者数(速報値)22人  確定日別陽性者数 43人
6月12日  当日発表の感染者数(速報値)25人  確定日別陽性者数 42人
6月13日  当日発表の感染者数(速報値)24人  確定日別陽性者数 45人
6月14日  当日発表の感染者数(速報値)47人  確定日別陽性者数 21人
6月15日  当日発表の感染者数(速報値)48人  確定日別陽性者数 14人
 アラートが解除される3日前の6月9日は、速報値12人に対して精査された確定日陽性者数が倍以上の25人、アラート解除が発表された当日の11日も、速報値22人に対して精査された確定日陽性者数が倍近い43人、その後、小池知事が12日、翌13日も確定日陽性者数がはるかに多い状況が続く。これは「赤旗」の発生届数集計と同様の現象で、この時期、東京都が発表の速報値を露骨なくらい低く抑えていたことの証明と言えるだろう。

アラート解除、出馬会見後の6月14、15日に感染者数を増やし帳尻合わせ
 しかも、笑ったのはそのあとだ。14日、15日になるとその差が完全に逆転して、都の速報値のほうが確定日陽性者数の倍以上になっているのだ。
 つまり、こういうことではないか。最初から11日に東京アラート解除、12日に小池知事の出馬会見というシナリオがあり、そのために、無理やり感染者数を基準以下に抑え込んで発表した。そして、出馬会見の翌々日から、メディアが感染者数に注目しなくなったのをみはからって、帳尻を合わせるために、実際の感染者よりはるかに多い数字を発表した。この露骨な数字を見ていると、そうとしか考えられないのだ。
 これは、7月1日に100超えしていたにもかかわらず、67と発表した件も同様だ(ちなみに、7月1日は「確定日別による陽性者数」でも100となっていて、速報値より大幅に多い)。ここまで差があることを考えると、都知事選を前に100を超えないように、低く押さえ込もうとしたとしか考えられない。
 しかし、その後も感染者はさらに増え、100以下だと帳尻を合わせられない数字にまで膨れ上がったため、2日に107、3日に124、4日に131と、速報値でも100以上にせざるをえなくなってしまったのではないか。

 いずれにしても、東京都が毎日発表し、東京アラートの解除の基準にしていたこの速報値は想像以上にずさんなもので、小池知事はそのずさんさを利用して自分の政治目的のために恣意的な操作を行ってきたということだろう。
 しかも、小池知事が利用しているのは数字だけではない。例の「夜の街」問題も同様だ。小池知事は感染拡大のたびに、それが夜の街でだけ集中的に起きているようなことを口にしているが、東京都は他府県とちがって感染者の行動履歴などを公表しておらず、ブラックボックスになっている。ほんとうに、「夜の街」だけが問題なのか、誰も検証できないのだ。
 小池百合子のカイロ大学卒という学歴詐称疑惑はじめその本質に迫ったとして話題のノンフィクション『女帝』(石井妙子、文藝春秋)には、こんな一節がある。
〈小池は日本社会の、とりわけ日本のメディアの甘さをこの時、はっきり感じ取ったことだろう。大抵の嘘は見抜かれない、ということを。自分が語ることをそのまま信じて活字にしてくれる男の記者たち。相手が何を喜ぶか。何を欲しがっているかを考え投げてやればいいだけだった。新聞で活字になれば、それは事実として認定される。新聞記者はあまりに騙しやすかった。〉 (編集部)