2020年7月10日金曜日

感染再拡大をなかったことにしたい小池都知事と安倍官邸(LITERA)

 9日、東京都の1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者は、これまでで最多の224人に達しました。小池都知事は相変わらず「夜の街」が起因と強調し、PCR検査数が増えたことが原因だとする見方を示しました。ということはこの先検査を拡大していけば感染者はいくらでも増えるということを知事自身が認めているということです。知事はそれがどんなに恐ろしいことなのかを分かっているのでしょうか。
 ともかくも、知事には検査体制を拡充しようという意図はあり、今回の補正予算では1日1万人までもっていくということです。遅まきでスローペースであるにしてもその意思を持っているだけまだマシです(因みに直近3日間の件数は、6日3480人、7日2082人、8日3168人で、それ以前は2240人以下。東洋経済オンラインデータ)。
 
 驚くべきは何の問題意識も持っていない政府です。
 西村コロナ担当相は4日小池知事「近隣の県で感染者が増えている。不要不急の他県への移動は遠慮いただきたい」と呼びかけたのに対して、「国の方針では県と県の移動は自由。症状や熱のある人は外出や県をまたぐ移動を控えてもらうということ」とわざわざ否定し、6日のBSフジの番組では、「東京相当感染が広がっているような印象を地方に与えて、地方もまたちょっと心配になっている」と語って小池知事を批判しました。
 まさしく官邸の経済活動最優先策を絵に画いたような発言で、これではブラジルのボルソナール大統領と変わりません。
 経済活動レベルを上げるためにも最優先されなければならないのは、識者たちが等しくいうところの「検査の徹底と感染者の隔離」です。それをしないで「自由往来」だけを力説するのは愚の骨頂というものです。
 LITERAの記事を紹介します。
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「東京でコロナ感染224人」は本当に検査を増やしたせいだけなのか? 
  感染再拡大をなかったことにしたい小池百合子都知事と安倍首相
LITERA 2020.07.09
 9日、東京都の新型コロナウイルス感染者が新たに224人確認されたと発表した。1日当たりの感染者数では緊急事態宣言下の4月17日の206人を上回り、これまでで最多だ。
 しかし、小池百合子・東京都知事は相変わらずだった。数字がまだ正式に発表されていない午前のぶら下がりでは、「かなり多い」と予告した上、7日前後に新宿区の集団検査を受けた人が多かったと、いつもながらの「夜の街」を示唆。そして、午後の会見では、これまで最大だった4月17日と比べて、検査数が大幅に増えたことを強調したのだ。
「ご承知のように陽性者数過去最大で224名ということになりました。かつて4月17日に出した206人というのが陽性者数最大でございましたが、そのときの検査数が919件、今回、224人の陽性者数を出したのは、検査が3400件にのぼっているということで、34倍以上ということになります」
「30代以下、82%という数字ですから、若い方が感染しているということには変わりがない」

 さらに、幹事社の記者から、どういう対策を考えているのかと質問を受けても、こう繰り返した。
「検査が今回は3400件のうちの224人の陽性者。いま私ども東京都が検査体制をさらに拡充しようとしております。現時点で6500件、1日ですね、これを1万人までもっていくための拡充策を今回の補正予算にも盛り込んでおります。ですから、陽性者が今後増えることも十分考えられます。一方で、昨日の時点までですけど、東京都での重症者が6名にとどまっている。そしてまた、この2週間、死亡例はございません」
 ようするに、小池知事は「夜の街」で集団検査をやった結果、検査数が大幅に増えたから感染者も増えただけで、重症者も少なく死亡者もいないのだから、本格的な対策をする必要がない、と言っているのだ。

 しかし、224人の感染者というのは本当に、検査数が増えた結果というだけなのか。たしかに9日の陽性者数に反映されたと思われる6日の東京都の検査件数は3406件と過去最高だ。しかし、それまでと比べて2倍、3倍と大幅に増えているわけではない。東京都は6月8日頃から検査数を増やし、その週にすでに1日あたり1800〜2400件の検査を実施していた(土日を除く)。当時と比べると、6日の検査数は多く見積もっても、15倍である。
 一方、感染者数は6月11〜17日の1日あたりの速報値が最小16人で最大48人であるのに対し、7月9日は244人。つまり検査数は15倍にすぎないのに、感染者数が5倍から15倍に跳ね上がっているのだ。
 しかも、小池知事は「夜の街の集団検査」のせいにするが、実際は「夜の街」以外にもどんどん感染が拡大している。それを証明しているのが感染経路不明者だ。前述してきたように今日の感染者数は224人だが、そのうち感染経路不明者は半分近い104人にのぼっている。これは今日だけの現象ではない。速報値で感染者が100人を超えた7月2日以降の感染者数(速報値)と経路不明者の数をあげてみよう。

 7月2日  新規感染者 107人   経路不明者  45人
 7月3日 .  新規感染者 124人   経路不明者  40人
 7月4日  新規感染者 131人   経路不明者  46人
 7月5日  新規感染者 111人   経路不明者  53人
 7月6日  新規感染者 102人   経路不明者  42人
 7月7日  新規感染者 106人   経路不明者  47人
 7月8日  新規感染者 . 75人   経路不明者  34人
 (7月9日   新規感染者     224人     経路不明者 .104
                 (9日の数字は、当事務局が追記)

小池百合子の「他県への移動自粛」呼びかけを封じ込めた西村康稔コロナ担当相
 いずれにしても、感染者の半分近くが感染経路不明なのである。これでどうして「夜の街で感染者が増えているだけ」という話になるのか
 しかも、9日に開いた都知事や専門家らによる「モニタリング会議」でも、陽性率が上昇していること、感染は20~30代の若い世代だけでなく、40~50代でも増え、感染経路が家族内や会食などに広がっていることなどが指摘された。
 また、最近は学校関係者にも感染者が相次ぎ、一部の学校が再び臨時休校になる事態も起きている
 こうした現実を見れば、市中感染が広がっていることは明らかだろう。ところが、小池知事はこうした事実をすべてネグり、ひたすら「検査数が増えた」「夜の街で感染が拡大していると言い張っている。そして、まともな対策をたてず、経済活動を無理やり維持させようとしているのだ。

 しかし、「感染拡大をなかったことにする」という意味でもっとひどいのは、政府だ。東京都の新規感染者が100人を超えたと報道された7月2日以降も、安倍首相は何のアクションも起こしていない。菅義偉官房長官も「緊急事態宣言を再発出する段階にない」というセリフを繰り返すばかり。西村康稔コロナ担当相にいたっては、自粛要請の動きに圧力をかける始末だ。
 7月4日、埼玉など東京の近県にも感染が広がっていることを受けて、さすがの小池知事も「近隣の県で感染者が増えている。不要不急の他県への移動は遠慮いただきたい」と呼びかけた。ところが、西村コロナ担当相は「国の方針では県と県の移動は自由。症状や熱のある人は外出や県をまたぐ移動を控えてもらうということ」と述べた。
 小池知事は7日夜に「先日、西村大臣に申し上げ、そのときはそういう対応をされていなかったのでちょっと驚いている」と違和感を表明、しかし、西村コロナ担当相は「ある程度、感染源がわかっているので、国の方針は、これまでどおり、都道府県をまたぐ移動は自由におこなえるが、熱や何らかの違和感がある人には、外出や移動を控えてもらうということだ」と繰り返し、6日のBSフジの番組では、「東京が小池知事の発言で、相当感染が広がっているような印象を地方に与えて、地方もまたちょっと心配になっている」とまで語って、小池知事を批判した。
 この西村コロナ担当相の言動について、玉川徹が『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)で「無策なのにもかかわらず人の流れが止まると経済に悪影響があるから動いてもいいって言っているんでしょ?」「そこまでひっくるめて無策なんです」と断じていたが、まさにそのとおりだろう。

安倍首相は224人感染でも「若い皆さんは3つの密を避けて」と国民に責任押し付け
 そして、安倍政権のこうした姿勢は、東京都の224人の感染者が明らかになった今日も変わらなかった。菅官房長官はまた「医療提供体制がひっ迫している状況にはない。直ちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」と繰り返し、安倍首相も「高い緊張感を持って感染状況を注視している」「会食の場等による集団感染も確認されており、3つの密を避けるなど、若い皆さんも含めて感染リスクを避ける行動を徹底していただきたい」と他人事のようなコメントを発しただけだった。

 過去最大の感染者数となった東京、そして、関東近県だけでなく大阪はじめ全国に広がり始めた感染──この状況は、そもそも、安倍政権が経済優先で緊急事態宣言解除を早め、小池知事が東京都知事選のために東京アラートを強引に解除した結果だ。
 ところが、連中は自分たちの失策が生んだこの状況に対処するどころか、都合の悪い現実はなかったことにして、無視を決め込んでいる。この国の国民は、そして東京都民はなぜ、こんな為政者を支持し、行政のトップに選んできたのか。怒りを通り越して不思議というほかはない。 (野尻民夫)