国内では「休業・自粛」を強制され、景気が落ち込むる中で多くの人が失職により生活の糧を失い、また観光業関連などを中心に企業の倒産が続出しています。
それなのに、空路から基地に日本に入国するなどフリーパス状態の米兵が基地内でクラスターを発生させ、それを基地外に漏出させています。それなのに米軍が防衛上の必要から感染の実態を公表できないとしているのは余りにも身勝手で虫がよすぎます。
本当に防衛上公表できないというのであれば、絶対にクラスターを発生させないための努力が求められますが、一体どうだったのでしょうか。
沖縄の例などを見ると到底そうは見えません。
沖縄の玉城デニー知事が「県民に報告しないと不安が払拭できない」として米軍と調整した結果、米側も「公表するのなら止めない」と折れたのは当然の成り行きでした。
理を説いて米軍を説得する沖縄知事の態度は、政府(河野防衛相ほか)の弱腰とは対照的です。
東京新聞と日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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在日米軍の感染者数 地元は公表求めるが…
米国に追随、後ろ向きな政府
東京新聞 2020年7月21日
在日米軍関係者の新型コロナウイルス感染拡大を巡り、日本政府は実態を把握しながら明らかにしていない。部隊運用に影響を及ぼす恐れがあるとして、各基地の感染者数を公表しない米軍の方針に配慮しているためだ。沖縄県は県内基地でのクラスター(感染者集団)発生を受け、米軍と交渉して独自に公表。米軍施設を抱える自治体の議会は感染情報の公開を求める意見書を採択しており、国の消極姿勢が際立つ。(山口哲人、新開浩)
「米軍も即応性を維持するという観点から公表を差し控えている。沖縄のような例外的な所を除き公表するつもりはない」
河野太郎防衛相は17日の記者会見で、在日米軍関係の感染者の総数は公表しない考えを強調した。
在日米軍関係者の感染症の情報は、日米が2013年に交わした覚書で、基地の指揮官が地域の保健所長に連絡する取り決めとなった。従来は各自治体や保健所が、米軍内の感染者数などを公表してきた。
しかし、米国防総省は3月末、新型コロナに関し、個別の部隊や各基地の感染者数を公表しない方針を表明。外務省も自治体にその方針を伝え、4月以降、各自治体の発表は米兵らの感染者数を「数人」などと曖昧にする事例が増えた。
このため、米兵住宅地区を抱える神奈川県逗子市議会は6月、「基地内の感染が、基地周辺に影響を及ぼす可能性がある」として感染状況を公表するよう国に求める意見書を賛成多数で可決。沖縄県や同県うるま、宜野湾両市議会も同様の意見書を可決した。
7月には懸念が現実となり、宜野湾市の普天間飛行場などで米兵らのクラスターが発生し、基地に出入りする日本人タクシー運転手への感染も確認された。玉城デニー知事は「県民に報告しないと不安が払拭できない」と判断し、米軍と調整して感染者数を公表。米側も「公表するのなら止めない」と容認した。
各地域で異なる感染者数の公表方法について、在日米軍司令部は本紙の取材に「各部隊や司令部は、国防総省の方針を注意深く解釈し、各地域のニーズにふさわしい形で実行する」と文書で回答した。
沖縄国際大の野添文彬准教授(国際政治学)は「コロナを中国につけ込まれる弱みと考え、公表を避ける米軍の考えは分かるが、その結果、地元の信頼を失った」と指摘。「政府も米軍からコロナが持ち込まれることの危機意識が低すぎた。事実を公表しなければ、自治体や住民が不信感を募らせ、日米関係が揺らぐ恐れがある」と話した。
沖縄米軍の無防備すぎるコロナ対策 密な移動&訓練が明白に
日刊ゲンダイ 2020/07/21
ウイルスには無防備な軍隊だ。沖縄の米軍関係者にコロナ感染が広がっている。沖縄には約2万5000人の米軍関係者がいるが、合計143人が感染。今月だけで140人に上る。人口145万人の沖縄県で確認された感染者153人に迫る勢いだ。
日米地位協定により、日本政府や県は米軍に対して感染防止の協力のお願いしかできない。それをいいことに、米軍は感染を拡大しかねない行動をとっている。
19日正午前、東村高江にある米軍ヘリパッド北部訓練場のメインゲート前に米軍車両が列をなしていた。チョウ類研究者の宮城秋乃氏が近づくと驚きの光景が目に飛び込んできた。
「少なくとも13台がゲート内に入っていき、十数人の米兵がぎゅうぎゅうに詰め込まれている車両もありました。しかも、私が見た範囲ではマスクをつけている米兵は一人もいなかった。もし、一人でも感染者がいれば、同乗者は感染するのではないかと思われる密状態でした。訓練場に入った後、すぐにテントを張って、“密”をつくっていました。在沖米軍でコロナ感染が拡大するさなか、このような密な移動や訓練をするのは、軍隊として衛生観念が欠けていると思います」
これではクラスターは収まらない
米軍は基地の内外で活動をしている。移動には県の道路を使用し、買い物や飲食もする。米兵のデタラメな感染対応は県民にとって大きな脅威になっている。
在沖米軍トップが「ロックダウンしている」と説明した普天間基地やキャンプ・ハンセンは、メインゲートが開いたままで、米兵は基地外で普通に買い物をしている。軍関係の感染者46人が感染確認の直前に基地外に出て、飲食店などに立ち寄っていたことも判明した。
今のところ、高江の米軍関係者の感染は確認されていないが、時間の問題かもしれない。県の地域保健課の担当者は「高江の住民の不安はよくわかります。米軍には引き続き感染防止をお願いしていきたい」と答えた。
安倍首相は親友のトランプ大統領に直談判して、米軍の態度を改めさせるべきだ。