「世に倦む」氏が、27日のモーニングショーで玉川徹氏が、「即、緊急事態宣言を出すべきだ」と述べたことを評価しました。
「世に倦む」氏自身は16日に、「政府は再度の緊急事態宣言を出せ」とするブログを出し、「PCR検査体制の拡充も大事だが、今すぐやらないといけないことは、感染者の拡大を止める手だてを打つことであり、外出自粛を徹底することである」と述べました。
緊急事態宣言を出せば経済が極度に沈滞し、経済弱者が最も苦しむことになるので、敢えてそれを要求するのは勇気のいることです。
「世に倦む」氏は16日の時点で、「少なくとも東京と埼玉・千葉・神奈川については4月頃の厳しい自粛環境に戻すべきである。~ 米国のように感染が深く蔓延して日常化すると、どれほどPCR検査を増やして陽性者の隔離を徹底させても、ウィルスの力に社会全体が征服されて人の力では制御できなくなってしまう」、と述べています。
すべては、世界の非常識・頑迷固陋の厚労省と無能な安倍政権の無為無策がこの事態をもたらしました(小池都知事も外出の抑制を叫ぶ以外には何もしていません)。
もしもこのまま感染爆発に向かえば、世界で桁外れにPCR検査を怠ってきた国の悲劇が現出することになります。従って事ここに至っては「そうする」しかないようです。
そうしたうえで、感染防止と経済活動が両立する社会システムの設計と構築に本腰を入れて取り組めばよいとしています。問題は政府にその意思があるかです。
併せて植草一秀氏のブログ「わずか1か月半で感染再爆発させた日本モデル」を紹介します。
植草氏は、「事態を打開するには、安倍政治を正そうとする勢力が連帯しなければならない。この「連帯」=「大同団結」が実現していない。そのために暴政が放置されている」と述べています。
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フロリダの愚を想起させるGo To南紀白浜の図 –
左翼はなぜ小池百合子を叩くのか
世に倦む日日 2020-07-27
本日27日のモーニングショーで、玉川徹が、即、緊急事態宣言を出すべきだと言った。私は、11日前の7月16日に「政府は再度の緊急事態宣言を出せ」と書いている。PCR検査体制の拡充も大事だが、今すぐやらないといけないことは、感染者の拡大を止める手だてを打つことであり、都市封鎖を宣言して外出自粛を徹底することである。4月と同様、人の移動と接触を強力に抑えることだ。モーニングショーもようやくその結論になった。もっと早く言ってもらいたかった。今のところ、ネットを見回しても、緊急事態宣言を出せと要求する声は少ない。反安倍左翼勢は相変わらず、PCR検査の拡充と医療体制の充実をお題目的に言い並べ、「何もしない安倍晋三と小池百合子」を叩いて怪気炎を上げている。私には惰性の念仏に聞こえる。その前に、immediately soon(=可及級的速やかに) に、人の動きをフリーズさせ、ウィルスの拡散と増殖を物理的に止めないといけない。全国への感染伝播を阻止しないといけない。
今日の番組では、各日の感染者数に7日から10日後に重症化する確率を掛け、今週これから毎日どれだけの重症者が出るかを予測していた。説得的な分析と考察だ。それによると、今週は新たに94人の重症者が発生して都内の病床を埋める推計になる。先週末の重症者数は18人で、このうち何人かは退院するとしても、東京都の重症者数は100人を超える計算になる。東京都の医療体制の逼迫の目安が重症者100人なので、これを超える事態になれば、緊急事態宣言の再発出になるだろうと玉川徹が述べていた。つまり1週間後である。今週も、いつものように木曜(30日)に感染者数が大幅増加する。その時期に都のモニタリング会議が開かれ、政府の分科会が開かれる。玉川徹が示した予測は、当然、尾﨑治夫や釜萢敏も押さえているところで、下から突き上げが上がっているだろう。タイミング的に、日本医師会長の中川俊男が、緊急事態宣言の要請を明言していい頃で、モニタリング会議と分科会に先駆けて発言の場を作るのではないか。
私は、反安倍左翼側がなせ小池百合子を「何もしない」と罵って叩くのか理解できない。確かに今回は小池百合子は何もしていないが、何もしていない中身は、何もできないからであり、休業補償を手当する資金がないからだ。9000億円あった財政調整基金を第1波の施策で使い果たしてしまい、都の貯金が枯渇してしまったため、何も手が打てず、「外出を控えてくれ」という精神論しか言えないのである。自粛の要請には補償がセットだ。潤沢に財政の余裕があれば、「1店舗50万円、2店舗で100万円」の景気のいい小池ドクトリンを再び打ち出していただろう。あの対策を見たとき、周辺各県の店主たちは、東京に店を出している事業者を羨ましく思ったに違いない。神奈川や埼玉の休業協力金は30万円で、黒岩祐治は、東京との差について「申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と頭を下げた。4月に、小池百合子はそれを見せつけるように、都の財力をバックに対策を打ち出し、国全体の休業補償政策をリードした。小池百合子の功績は否定できない。
先週、22日にGoToキャンペーンが始まり、テレビでは賛否の鬩ぎ合いがあった。22日夜以降、全国の観光地の様子が報道されるが、特に何度も登場するのは南紀白浜で海水浴を楽しんでいる関西の観光客の映像だ。民放も同じ絵を流すけれど、とりわけNHKのニュースの中で使われた。あれを見た視聴者は、海へ出かけたくなるだろう。特に小さな子どものいる家庭でそうした動機づけになるだろう。明らかに、NHKは意図的にテレビの前の国民の観光の欲望を刺激し、GoToキャンペーンの消費行動を誘っている。扇動している。21日には、佐賀の温泉を宣伝するような内容をNW9の報道の中でやっていた。GoToキャンペーンに6割から7割の世論が反対している中、医療従事者の苦悩と恐怖の中、NHKは国民に旅行したい衝動を植え付ける映像を無理に流しまくっていた。感染症対策をしているから安心だとか、3密を防いでいれば大丈夫だと詭弁を弄して。本当に悪質だ。しかも、同じニュースの中で、杏林大の山口芳裕のモニタリング会議の発言を見せながら。これが公共放送のやることだろうか。発がん性のある添加物入りの食品を勧めているのと同じだ。
南紀白浜の海水浴観光の映像を見ながら、すぐに思い出したのはフロリダのビーチの出来事である。経済を優先するトランプが外出制限緩和に乗り出し、共和党知事のフロリダ州で4月下旬にビーチが開放された。そのとき、日本のテレビは、やはり何度もニュースで注目して紹介、こんなに早く解禁していいのか、3密になる観光や遊興をやっていいのかと、怪訝な目を向ける批判的な伝え方をした。案の定、フロリダではすぐに感染が爆発、現在は感染者数が42万3800人となり、最悪だったNY州を上回る惨禍になっている。フロリダ州だけで1日に1万人も新規感染者を出している。制限緩和による失敗例の典型的な地域だろう。われわれ日本人は、フロリダの失敗の帰結を見て、トランプの愚かさに呆れ、教訓を学んで肝に銘じようとしたはずだ。他山の石だと。だが、テレビの中で、南紀白浜の絵からフロリダの戒めを導く者はなく、連想して指摘する者が一人もいない。否、テレビどころかネットの中にも一人もいない。その言論砂漠に驚く。日本人の想像力はどうなってしまったのだろう。
モーニングショーで玉川徹が言っていたが、東京の状況を見たとき、2週間前に予想したほどには感染拡大が急激ではなく、週に2倍のペースで感染者数が増える勢いではない。1・5倍ほどに止まっているのは、小池百合子が外出自粛を促しているからであり、東京がGoToの対象から外れたからである。草津温泉など観光地の人出の絵を見ても、20代から40代の若年層が多く、観光の消費と市場の中心ボリューム層を成すところの、70代以上の高齢者の姿が少ない。最近の感染増の報道の影響で、高齢者が恐れて出歩いていない。アナウンス効果は確実に出ていて、小池百合子の指導に高齢者が従っている事実が看取できる。この国では、外出禁止を法制化して罰金を取るということが簡単にはできない。むしろその必要はなく、自粛の要請と受容で手っ取り早くそれが実現できる本来性をこの国の国民は持っている。日本人は法的強制を好まず、自粛という名の自主性の入った半強制形式を好み、同調圧力を動員する下からの全体主義で目標を達成することに長けている。日本人の生理あるいは体質と言える。日本人の政治は、下から上に奉仕する「まつりごとたてまつる」の性格を本質にすると、丸山真男は言った。
強制の契機はなくても、上が号令を出せば下は横一列で自粛する。そのパフォーマンスは世界一だ。政府が自粛要請 - 緊急事態宣言の再発出 - を発すればよいのだ。そうすれば感染は収まる。再度の定額給付金と休業協力金を措置すればよい。その上で、NYのような検査体制を整備し、感染防止と経済活動が両立する社会システムの設計と構築に本腰を入れて取り組めばよい。
わずか1か月半で感染再爆発させた日本モデル
植草一秀の『知られざる真実』 2020年7月26日
安倍政治が末期的様相を強めているにもかかわらず、政権刷新の流れが生まれてこない。
2020年の最大の焦点はコロナだ。
昨年末に中国・武漢で問題が発覚した。いち早く対応したのは台湾だった。
安倍内閣はコロナを軽視して、五輪と習近平主席の訪日を優先した。そのために、コロナへの対応が2ヵ月半遅れた。
安倍首相は武漢市が封鎖された翌日の1月24日に、中国国民に対して訪日を要請する動画メッセージを配信した。
3月20日にはギリシャで聖火リレーが中止されたにもかかわらず、聖火到着式を強行した。
大空に描く予定だった五輪の輪が描き出される前に強風で流された。五輪の前途を暗示するものだった。
3月24日に五輪延期が正式に決定された。この決定によって、ようやく安倍内閣はコロナ対策に軸足を移した。安倍内閣が緊急事態宣言を発出したのは4月7日のこと。
ゴールデンウイークにかけて国民が行動抑制を徹底した。その結果として5月下旬にかけて新規感染者数が急減した。
安倍首相は5月25日に緊急事態宣言を全国で解除し、
「日本ならではのやり方で、わずか1か月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います。」
とコロナ終息宣言を発した。
しかし、安倍内閣のコロナ対応の緩みを背景に人々が行動を再拡大させた。
その結果として、新規感染者数の急増が観察されている。わずか1か月半で今回の感染減少が完全に意味を失った。日本モデルの欠陥が全世界に鮮明に示されることになった。
新たに生まれた感染者が新しい感染の発生源になる。感染者数は幾何級数的に拡大する可能性が高い。
この状況下で安倍内閣はGoToトラブルキャンペーン始動を強行した。
感染を抑止するには行動抑止が必要である。人の移動がウイルスの拡散をもたらす。
感染拡大下のGoToトラブルキャンペーン始動は意図的な感染拡大措置である。
「コロナ恐るるに足らず」の声があるが、コロナで死者が出ているのは事実だ。コロナ感染者が後遺症に苦しんでいるのも事実だ。
特効薬はまだ存在しない。高齢者や既往症のある人が感染すれば重篤化するリスクがある。
欧米では極めて高い致死率が観測されている。
これらの状況下でコロナ感染拡大を推進するのは正しい政策対応でない。
市民は政府の慎重な対応を求めている。これが民意だ。
経済活動の重要性を否定するものではない。経済活動は重要だが、感染拡大を抑止しつつ経済活動の維持を誘導するべきと考えている。
ところが、安倍内閣はコロナ感染拡大推進に舵を切っている。このことの是非を問わねばならない。
野党は臨時国会の召集を求めるべきだ。安倍内閣は憲法の規定に従い、臨時国会を召集する責務を負う。当たり前のことを当たり前に実行しなければならない。
安倍内閣の機能不全はコロナに限定されない。森友、加計、桜を見る会と、重大な不祥事が連綿と続いている。
GoToトラブルキャンペーンによる重大なトラブルが顕在化しても、安倍首相は国民に対して十分な説明を行わない。情勢が自分に不利になると、問題から逃避するという、為政者失格の行動を示している。
事態を打開するには、安倍政治を正そうとする勢力が連帯しなければならない。
この「連帯」=「大同団結」が実現していない。そのために暴政が放置されている。
暴政を排除するための「連帯」を速やかに構築する必要がある。
(以下は有料ブログのため非公開)