2020年11月8日日曜日

08- 人文系226学会 共同声明 初めて連携 学術会議任命拒否の撤回要求

 人文社会系226の学会6日、日本学術会議会員の任命拒否撤回を求め、共同で声明を発表しました。幅広い人文社会系学会が一つにまとまって意見を表明するのは、歴史的に初めてのことです

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人文系226学会 共同声明 初めて連携 学術会議任命拒否の撤回要求
                       しんぶん赤旗 2020年11月7日
 人文社会系226の学会は6日、日本学術会議会員の任命拒否撤回を求め、共同で声明を発表しました。哲学、宗教学、歴史学、教育学など10学会の代表が同日、日本記者クラブで会見を開きました。幅広い人文社会系学会が一つにまとまって意見を表明するのは、歴史的に初めてといいます。
 共同声明は、任命拒否撤回を求めた日本学術会議の要望書(10月2日)に賛同し、任命されない理由の説明と6人の任命の速やかな実現を求めています。10月14日に、この問題に対応するための分野横断的な「人文社会系学協会連合連絡会」を創設、同28日から声明への参加・賛同を呼びかけ、6日現在、226学会が参加・賛同。理事会有志によるものも含めると全体で256学会になり、今後も増える見込みです。

 会見した日本社会福祉学会の木原活信会長は、声明の広がりについて、「人文社会系の諸学会に、動揺や不安が広がっており、学術界に重大な問題が起こっていることを意味している」と指摘。日本哲学系諸学会連合の野家(のえ)啓一委員長は、理由説明のない任命拒否は、「人文社会学系の学問の生命線である批判的議論を封じ込め、政府の意向にそった忖度(そんたく)文化を学会にまで持ち込むもので看過できない」と述べ、研究・教育現場への悪影響を懸念しました。

 会見には他に、日本宗教研究諸学会連合の島薗進委員長、日本心理学会の坂上貴之理事長、社会政策学会の石井まこと代表幹事、日本歴史学協会の木村茂光常任委員、日本近代文学会の佐藤泉運営委員長、日本教育学会の広田照幸会長、経済理論学会の河村哲二代表幹事、日本科学史学会の木本忠昭会長が出席し、任命拒否への危惧を表明。会見後、首相あての要望書を内閣府に提出しました。

人文社会系共同声明

 私たち人文・社会科学分野の学協会および賛同学協会は、日本学術会議が発出した2020年10月2日付「第25期新規会員任命に関する要望書」に賛同し、下記の2点が速やかに実現することを強く求めます。

 1 日本学術会議が推薦した会員候補者が任命されない理由を説明すること。

 2 日本学術会議が推薦した会員候補者のうち、任命されていない方を任命すること。



「独立性を根本から侵害」 人文・社会科学系226学協会が任命求め声明
                             毎日新聞 2020/11/6
 日本教育学会や日本歴史学協会など人文・社会科学系226学協会が6日、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を拒否した菅義偉首相に対し、理由の説明や任命を求める共同声明を出した。このうち10学会のトップが日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見し、「独立性を根本から侵害する行為で、研究、教育現場に萎縮効果を与える」と危機感を示した。

【任命拒否を巡る首相の発言と疑問点】
 任命拒否された6人はいずれも、人文・社会科学系。同じ学系の学者らに不安が広がっているとして、哲学や宗教学、文化人類学などさまざまな分野の学会による「人文社会系学協会連合連絡会」をつくり、声明をまとめた。菅首相宛てに要望書も提出したという。
 記者会見で、日本哲学系諸学会連合委員長の野家啓一・東北大名誉教授は、任命拒否は「学問の協力体制をゆがめるもので、社会のさまざまな判断機能がゆがむことにつながる」と指摘。「人文・社会科学系の生命線である批判的議論を封じ込め、政府の意向に沿う同調圧力を強めて忖度(そんたく)文化を学界にまで持ち込むもので到底看過できない」と話した。日本近代文学会運営委員長の佐藤泉・青山学院大教授は「政治権力が言論や思想領域に介入するということはあってはいけない」と訴えた。
 任命拒否問題を巡っては、学協会や大学、法曹関係などすでに800近い組織から抗議声明が出されている。【岩崎歩】