2020年11月4日水曜日

菅首相のタニマチ「ぐるなび」滝会長が「文化功労者」に

  10月27日に発表された2020年度の文化功労者20人の中に、「ぐるなび」の創業者で現会長の滝久雄氏が含まれていました。滝氏は「菅氏が困った時に頼るとされていて、初当選以来、同氏が会長を務める電車の中吊りなどを扱う広告代理店「NKB」やその関連会社から多額の寄付を受けてきました。

 それだけでなく、伊藤詩織さん事件の民事裁判の1審で敗訴してジャーナリスト・山口敬之氏への資金援助も依頼してました。滝氏にも断れない事情があったのでしょう。この件について週刊新潮が直撃したときには、菅氏は言葉少なに関与を否定するだけで「それ以上は言えない」と説明を拒絶したということです。

 ところで滝氏が文化功労者に選ばれた理由は、食文化の振興、パブリックアートの普及や「1%フォー・アート」の提唱、ペア碁の普及などで、文化・芸術活動に多大な貢献を果たしたからということなのですが、LITERAによるといずれも「しょぼい」ものばかりで、どれをとっても文化功労者の理由になるとはとても思えないとしています。
 滝氏が選ばれたのは菅氏と懇意の杉田和博官房副長官の意向による可能性が高いということです。文化功労者には終身、年額350万円の年金が支給されるので、もしもそうならば利益供与にもあたるのではないかと思われます。
 そもそもGo Toキャンペーンは菅氏が官房長官時代に主導してきた制度で、さまざまな欠陥が明らかになっています。とくに、「Go Toイート」のポイント還元事業は大手グルメサイトを通さなければいけない制度になっており、「飲食店支援ではなくグルメサイトだけが儲かるシステムになっている」と批判されています。「Go Toイート」の制度設計には、菅氏と滝氏の関係が影響しているのではないかという疑惑が広がっているとのことです。

 日本学術会議の会員候補の選び方に、あれほど難癖をつけている(そのすべてが的外れ)首相なのに、そうした疑惑には一体どう答えるのでしょうか。多分説明を拒否するしかないのでしょうけども ・・・
 LITERAの記事を紹介します。

 なおLITERAは、既に菅首相に絡まる「第二の森友事件」も報じています。
LITERA 10月29日)新潮が報道 菅首相と「第二の森友事件」の相手とのもうひとつの疑惑 所有ビルを事務所費問題発覚後に買い取ってもらっていた

                  お知らせ
      都合により5日と6日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菅首相のゴリ押しか「ぐるなび」滝会長が「文化功労者」に! 初当選以来のタニマチ、山口敬之氏の雇用を依頼した特別な関係
                             LITERA 2020.11.03
 菅義偉首相の人事私物化は日本学術会議の任命拒否に代表される「気に入らない人間を外す」というものだけではないらしい。
 政府は10月27日、2020年度の文化功労者20人を発表した。文化功労者は「文化の向上発達に関し特に功績顕著な者」に贈られる称号で、この時期、5人の文化勲章受章者とともに20人が選ばれる。これまで選ばれてきたのは、芸術や学問、芸能、スポーツの第一人者がほとんどで、2010年以降の文化功労者をみても、宮崎駿、吉永小百合、王貞治、山中伸弥など錚々たる名前がずらり並んでいる。
 ところが、今年はそのなかに、「ぐるなび」の創業者で現会長の滝久雄氏の名前があったのだ。周知のように、「ぐるなび」の滝会長は菅首相の長年にわたるパトロンで、菅首相が主導した「Go Toイート」キャンペーンによって大きな恩恵を受けていることが問題になっている人物である。これは、情実による人選ではないのか。
 実際、滝会長と菅首相の関係はただならぬものだ。「週刊文春」(文藝春秋)9月24日号は菅首相と滝会長の関係について「菅氏が困った時に頼るのが滝氏」という証言を掲載していたが、菅氏が初当選した1996年から2012年にかけて、滝氏が会長を務める電車の中吊りなどを扱う広告代理店「NKB」や同社の子会社が、菅氏の政治団体に多額の寄付をおこなってきた。
 さらに決定的なのは、菅氏が滝会長に、あの政権御用ジャーナリスト・山口敬之氏への資金援助をさせていたという問題だ。
 
 周知のように、山口氏は伊藤詩織さんへの性暴力事件で告発を受け、逮捕状が出されるも、当時の警視庁刑事部長・中村格氏(現・警察庁次長)によって直前でストップがかけられ、事件が握りつぶされてしまったことが明らかになっている。この中村氏は菅氏の秘書官も務めていた最側近の警察官僚で、逮捕状ストップも菅氏の意向があったのではないかといわれている。
 ところが、その山口氏に対して、菅首相と親しい「ぐるなび」滝会長の経営する広告代理店「NKB」が「顧問料月額42万円」や「交通費その他の経費」等を支払っていたことが明らかになっているのだ。

「菅さんが”山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼した」の内部証言
 この問題を最初に報じたのは、「週刊新潮」2019年7月18日号。同誌には、山口氏はTBSを退社したあとの2016年11月に「NKB」の子会社と顧問契約を結んでいた事実、そして広告代理店関係者のこんな証言が掲載されている。
「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが”山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです。具体的には月42万円で、実際に払っているのは横浜にあるNKBの子会社。本体の方が業績がよくないので、そうなったということですが、子会社の経営陣は不満を抱えていたようです。“会社と何の関係もない山口に、ちゃんとした人を一人雇える額をなんで払わなきゃいけないのか”と」
 
 さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に伊藤詩織さんへの準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。
 一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”にかんして菅氏を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、「それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。
 いずれにしても、菅首相と「ぐるなび」の滝会長が特別な関係にあるのは間違いない。そして、今回、その人物が「文化功労者」に選ばれたのである。そこに「情実」のにおいを感じるのは当然だろう。

滝会長の文化功労者の選考理由がしょぼすぎる 「ペア碁の普及」まで
 実際、客観的に見ても、滝会長が文化功労者に値する業績をもっているとはとても思えない。前出の広告代理店「NKB」のHPによれば、滝会長が文化功労者に選ばれたのは〈パブリックアートの普及や「1%フォー・アート」の提唱、食文化の振興、ペア碁の普及、未来を担う若者の文化活動の支援など、長年にわたり文化・芸術活動に多大な貢献を果たしたこと、その支援と振興に力を注いできたことが評価され〉たのだという。
 しかし、その内容はあまりにしょぼいものだ。たとえば、「食文化の振興」は「ぐるなび」の立ち上げと経営のことを指すのだろうが、「ぐるなび」は飲食店から広告を集めるためのメディアに過ぎない上、数年以上前からすっと「食べログ」の後塵を拝し、経営が低迷。2021年3月期の連結最終損益が95億円の赤字になる見込みであることが明らかになったばかり
 
 また、パブリックアートの普及は、滝会長が理事長を務める「公益財団法人交通文化協会」が行なっているものだが、もともとは先代から引き継いだ事業で、この手の活動をしている実業家なんて山ほどいるだろう。美術を学んでいる学生への奨学金制度などにしても、そうだ。ちなみに、同協会が発行している冊子「くれあーれにゅーす」Vol.10(2014年)では、菅首相と滝氏が対談をおこなっている。
 あげくは「ペア碁の普及」って……たしかに、滝会長は2人1組で打つ囲碁を普及させる「日本ペア碁協会」を立ち上げているようだが、もちろんブームにもなにもなっておらず、ほとんどの人はその存在すら知らないのではないか。
 とにかくどれをとっても、文化功労者の理由になるとはとても思えないものばかり。というか、先に文化功労者にするという決定があって、その理由を後付けで列挙した気配さえ漂っている。
 実際、取材してみると、文科省周辺からは「滝会長の文化功労者は杉田和博官房副長官に押し付けられた人選の可能性が高い」という声が聞こえてきた。
 
 杉田副長官といえば、日本学術会議問題で名簿から6人の学者を外した張本人と見られているが、実は文化功労者絡みの人選でも、過去に圧力をかけていた。文科相が候補者の選考を文化審議会に諮問し、その候補者から文科相が決定するのだが、その文科省の事務方トップだった前川喜平・元文科事務次官が、証言したのだ。
 次官在任中の2016年、その文化審議会の人選において、大臣の了解が出ている委員の候補案を杉田官房副長官に持っていったところ、「好ましからざる人物」「この候補は任命するな」と言われ、候補者2人の差し替えを要求されたという(TBS『news23』10月9日放送)。
 つまり、今回は逆で、杉田官房副長官から滝会長を候補に入れるようあらかじめ指示があったのではないか、というのだ。だとすれば、もちろんその背後には菅首相の意向があったということになる。

文化功労者には年額350万円の終身年金 首相のオトモダチを人選していいのか
 しかし、文化功労者は、たんに名誉を与えられるだけでなく、終身、年額350万円の文化功労者年金が支給される(ちなみに、この年金制度は憲法14条「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」に違反しているとの批判もある)。
 もし菅首相がタニマチである滝会長を強引に人選させたことが事実なら、これは利益供与にもあたるのではないか
 しかも、菅首相と滝会長には、もうひとつ大きな間接的利益供与問題がある。それはいうまでもなく、冒頭で触れたGo To問題だ。Go Toは菅首相が官房長官時代に主導してきた制度だが、さまざまな欠陥が明らかになっている。とくに、「Go Toイート」のポイント還元事業は大手グルメサイトを通さなければいけない制度になっており、「飲食店支援ではなくグルメサイト支援になっているのでは」と批判が巻き起こっている。実際、消費者の使い方によっては飲食店が逆に損害を被り、グルメサイトだけが儲かっていくという事態も起きている。
 そして、この制度によって最も恩恵を受けているのが「ぐるなび」なのだ。実際、「ぐるなび」は前述したように、2021年3月期の連結最終損益が95億円の赤字になる見通しだったが、一方で「Go Toイート」により10月のネット予約件数は前年同月と比べて27倍に増えた(10月23日までの実績)。
 そのため、このグルメサイトだけが儲かる「Go Toイート」の制度設計に、菅首相と滝会長の関係が影響しているのではないかという疑惑が広がっているのだ。
 ところが、マスコミはこうした疑惑をまったく追及しようとしない。文化功労者についても、10月27日に発表になっているのに、大手メディアが滝会長の人選について疑問を呈した形跡は一切ない。
 いまからでも遅くない。菅首相のこれ以上の私物化を許さないためにも、滝会長との関係、疑惑を徹底的に追及すべきではないか。(編集部)