2020年11月22日日曜日

22- 安倍首相待望論も! 「竹中支配」進む菅政権で日本崩壊?

 AERA dot. が、週刊朝日の記事「安倍首相待望論も! 『竹中支配』進む菅政権で日本崩壊?」を載せました。

 7年あまり続いた安倍政権は史上最低・最悪の政権でした。その安倍晋三氏に対して、こともあろうにもう一度首相になって欲しいと願望しているグループがいるとは、あまりに冗談が過ぎます。
 そんな冗談のような話が結構真面目にささやかれているということは、それほどまでに菅政権がダメで悪質だということの反映でもあります。尤も自民党議員らが「悪質」と評価しているかどうかは分かりませんが、「ダメ」と見做しているのは間違いありません。
 でもその行きつく先が安倍首相の再々登場とは、噴飯ものというしかありません。もしも日本人の心がそこまで破壊されたのであれば、改めて安倍政権の害悪の深さが分かります。
 ひたすら悪い冗談であって欲しいと願うしかありません。実は幸か不幸か週刊朝日は記事の前座として一応「再々登場願望」を取り上げたものの、本論は、菅首相のブレーンである竹中氏平蔵氏と元金融アナリストのデービッド・アトキンソンの二人の方でした。

 この二人の危険性については既に各紙が取り上げていて、本ブログでも下記などの記事を紹介しています。
  (11月17日)首相ブレーンが持論展開 中小企業の再編促す(しんぶん赤旗)
  (10月24日)菅・竹中コンビは何をやるのか 国民が気づいていない怖さ(日刊ゲンダイ)
 竹中氏は労働者を収奪する政策を多く出してきた人で菅政権の「成長戦略会議」のメンバーになりました。そして政権発足早々に「7万円・ベーシックインカム論」を打ち上げたために一斉に批判されました。
 年金を廃止し、あるいは生活保護費を廃止した上で月7万円で暮らせというのは余りの暴論で、それだと老人も病人も生きるために働き口を探すしかありません。そうなれば街には求職者が溢れるので、時給は下がるし労働条件は悪化の一途をたどります。まさに人入れ家業のパソナ会長としては願ったり叶ったりでしょう。
 またデービッド・アトキンソン氏は、日本は中小企業の数が多過ぎるとして買収や再編によって企業の数を減らすことを提言している人です。統合して合理化すれば確かに中小企業の数は減りますが、やはり膨大な人たちが職を失うことになります。
 そんな一面的な、市中銀行が「個別的」に中小企業経営者に提案するような政策をなぜ菅首相が気に入ったのか、「マクロ経済を理解していない」「極めて危険」な主張だと一蹴されるのは当然です。
 AERA dot. の記事を紹介します。
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍首相待望論も! 「竹中支配」進む菅政権で日本崩壊?
                                                       AERA dot.  2020.11.19
                            週刊朝日 11月27日号
 真意はいったいどこにあるのか──。永田町ではいま、一人の人物の動向が注目されている。
 今年9月、持病の悪化を理由に7年8カ月に及ぶ政権運営に終止符を打った前首相の安倍晋三氏。11月11日、久しぶりに表舞台に現れた。自民党の「ポストコロナの経済政策を考える議員連盟」の初会合で、その会長に就任した。
 会合に出席した細田派の議員はこう話す。
安倍さん、めちゃくちゃ元気だった。菅さんの政策を『目先の改革』だと反発する派閥内では、安倍さんの3度目の待望論が出ている
 10月25日には安倍氏が代表を務める保守系の議員連盟「創生日本」の会合が東京都内のホテルであり、加藤勝信官房長官、下村博文自民党政調会長、萩生田光一文部科学相、西村康稔経済再生担当相、稲田朋美元防衛相ら20人余りが集まった。
「この会は安倍さんが2012年に総裁選に立候補したとき、母体になった。安倍さんは“終わった人”と見られる派閥の長になる気はなく、議連など派閥横断的な活動をやる気。引退する気は微塵(みじん)もない」(前出の議員)

 菅政権は、世論調査によっては60%を超える高い内閣支持率を得るが、菅氏の党内基盤は盤石とは言いがたい。同氏に近い党幹部は嘆く。
「結局、菅さんが興味あるのは政策よりも人事。朝5時に起きて、6時から人事に関する指示を電話で出す。疲れがたまっているから、官僚からレクを受けても頭に入らない。日本学術会議問題の国会答弁で失敗するたびに安倍待望論が高まるという悪循環だ」
 そんな菅氏の経済政策を支えるブレーンたちの評判も悪い。
 アベノミクスを引き継ぐとした菅氏だが、政権発足直後には組織を改編。安倍政権下で成長戦略を担った「未来投資会議」を廃止し、「成長戦略会議」を新たに設置した。
 その司令塔に選んだのが、小泉純一郎政権で総務大臣だった竹中平蔵氏だ。菅氏にとっては総務副大臣として仕えたかつての“上司”。政府関係者は言う。
「竹中氏は未来投資会議のメンバーでもあったが、各省庁に“宿題”と言って自分が望む政策をゴリ押ししていた。その竹中氏の影響力は、菅政権でさらに増すことになる」
 実際、官僚にも動きがあった。
「今夏の人事では、内閣府政策統括官に林幸宏氏と籠宮信雄氏が起用されました。2人とも竹中氏が小泉政権で大臣をしていたときの秘書官。昨年に政策統括官になった井上裕之氏も、竹中氏の秘書官経験者で信頼が厚い。内閣府では『竹中支配』が着々と進んでいます」(前出の政府関係者)
 竹中氏についての著書があるノンフィクションライターの佐々木実氏は「内閣府の重要政策会議で影響力を持てば、どんな政策にも関与できます。竹中氏は、小泉政権では経済財政諮問会議を大臣として取り仕切り、経済政策の司令塔になれた。菅政権でもその経験を生かすつもりなのでしょう」と指摘。「菅政権ではハンコ廃止や携帯電話料金の値下げなどが注目されていますが、その裏ではコロナ禍を機に一気に規制緩和を進め、『日本改造』をしようと考えています
 その竹中氏が最近、主張しているのがベーシックインカムの導入だ。
 ベーシックインカムとは、政府が国民に対して最低限の所得保障をする制度で、竹中氏は著書で1人あたり月7万円の給付をする案を出している。デジタル社会の到来で日本でも格差が広がるため、そのセーフティーネットとして導入が必要になるという。一方、年金や生活保護などの社会保障政策はすべて廃止。ベーシックインカムは国の社会保障制度の大きな変更が必要なため政府内ではまだ議論に上がっていないが、「次の衆院選が終われば議論が始まるかもしれない」(前出の政府関係者)と警戒されている。

 さらに、成長戦略会議の有識者メンバーに選ばれた元金融アナリストのデービッド・アトキンソン氏も批判の的だ。
 菅氏と官房長官時代から親交のあった同氏は、日本は中小企業の数が多いことが労働生産性が上がらない原因だと主張。そのため賃金も上がらないのだという。そこで、買収や再編によって企業の数を減らすことを提言している。また、著書では日本の経営者を無能呼ばわりしていて、菅首相のブレーンとしての適格性を問う声も自民党内にある。
 11月にあった冒頭のポストコロナの議連の会合では、日本銀行の岩田規久男前副総裁が講演した。
「岩田氏は、アトキンソン氏が訴える中小企業の労働生産性に関する持論について今のデフレの状況を計算に入れていないと批判した。中小改革を掲げる菅首相には、厳しい指摘でしたね」(同党のある議員)
 さらには、アベノミクスを主導したブレーンからも疑問の声が上がる。
 安倍内閣で内閣官房参与を務めた前駐スイス大使の本田悦朗氏が10月29日、同党の若手議員による「日本の未来を考える勉強会」に登壇。アトキンソン氏の主張を「マクロ経済を理解していない」と述べ、中小企業再編について「極めて危険」と批判した。勉強会の会長を務める安藤裕衆院議員は話す。
「新型コロナで日本経済が苦しいときに中小企業の再編をやれば、街中に失業者があふれ、消費がさらに冷え込む。菅首相が掲げているデフレ脱却はさらに遠のく
 とはいえ、こうしたブレーンが、スガノミクスを動かすことになる。
 同党内からは「菅政権は小泉政権の再来だ」と警戒する声も出始めた。「小泉政権の構造改革で非正規雇用が増え、日本の経済は衰退した。菅首相が官邸主導で規制改革や構造改革をやるようなら、どんな手を使ってでも止める」(中堅議員)

 日経平均株価は2万5千円を超え、バブル崩壊以降で最高の水準となった。しかし、党内では火種がくすぶっている。安倍氏はそのことを見越して行動を始めたのだろう。安倍氏側近は言う。
「菅政権は経済政策でこける。そうなれば、安倍さんの首相3度目の登板が現実に近づく」
                (本誌・西岡千史、浅井秀樹/今西憲之)