2020年11月15日日曜日

衆院憲法審が「国民投票法」で19日に自由討議

 衆院憲法審査会は12日の幹事懇談会で、「国民投票法改正案を巡る諸課題」をテーマとする自由討議を19日に行うと決めました。法改正案が審査会で了承されることが、自民党の憲法改正案を審査会に提出できる前提条件となっています。

 改正案の条項自体にはそれほど問題はないのですが、以前から問題になっているCM規制の問題が完全に抜け落ちている点が大問題です。
 テレビやラジオのCMには莫大な費用を要するので、規制がないと資金を潤沢に持っている側が有利になります。
 田中淳哉弁護士は、それに加えてテレビのCM枠を確保するには、概ね3ヶ月前に広告代理店を通じて手続きをしなければならないので、発議のタイミングをコントロールできる与党側がこの点でも有利になるそもそも視聴者の情緒に働きかける要素の強いCMを、冷静な思考や判断に基づくべき改憲に適用するのは本質的に馴染まず、イタリア、フランス、イギリス、スペインなどの欧州諸国では全面禁止とされている」と述べています。
  ⇒18.7.5)田中弁護士の「つれづれ語り(国民投票法改正案)」を紹介します

 最も重要な憲法改正に関わることで、こうした根本問題を自民党の都合の良い状態に放置したまま、「国民投票法改正案」を国会審議に向けて進めるなどはあってはならないことです。
 東京新聞が取り上げました。
 
 国民党の玉木雄一郎代表は国民投票法改正案に採決後に政党CM規制の強化などを憲法審査会で議論すると与党側が確約するとを条件賛成する考えを示しました。そんなことでCM規制が実現する筈はありません。
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衆院憲法審が「国民投票法」で19日に自由討議 内容には与野党賛同も、
自民は改憲議論前進狙う
                         東京新聞 2020年11月13日
 衆院憲法審査会は12日の幹事懇談会で、「国民投票法改正案を巡る諸課題」をテーマとする自由討議を19日に行うと決めました。改憲の手続きを定めるこの法案の審議は長く止まっていましたが、菅政権の発足を機に状況が変化する可能性もあります。改めて内容をおさらいし、国会の改憲論議の現状を整理します。(山口哲人)

 Q 国民投票法のどこを変えるのですか。
 A 駅や商業施設に「共通投票所」を設置したり、洋上投票の対象者を拡大したりするなど7項目の見直しを行い、投票の利便性を向上させようとしています。選挙の手続きを定める公職選挙法は2016年の改正で既に同じ内容が盛り込まれているので、それに合わせるのが目的です。

 Q 投票しやすくなるなら、国民にとってプラスではないですか。
 A 内容だけ見れば、与野党のほとんどが賛同しています。法改正を呼び水に改憲論議を前進させたい自民党の狙いが野党の警戒感を招き、審議が停滞したのです。改正案は与党が18年6月に提出したものの、趣旨説明をしただけで質疑に入れず、7国会連続で継続審議となっています。

 Q 菅政権になり、改憲論議は活発になるのでしょうか。
 A 自民党は来年の通常国会で発議に向けた協議を行うためにも、できるだけ早く国民投票法改正案を成立させたい考えです。ただ、来月5日までの今国会では、成立のめどは立っていません。野党第1党の立憲民主党などは、7項目だけでなく、国民投票運動の期間中に放送されるテレビなどのCMを規制するかどうかも議論すべきだと主張しています。衆院議員の任期が1年を切り、与野党が足並みをそろえて改憲論議を深める環境は整っていないのが実情です。


玉木氏、国民投票法改正案に賛成 CM規制議論確約が条件
                         東京新聞 2020年11月12日
 国民民主党の玉木雄一郎代表は12日の記者会見で、憲法改正の国民投票の利便性を公選法とそろえる国民投票法改正案に条件付きで賛成する考えを示した。「約束を取れれば、採決に応じてもいい。賛成したいと思う」と述べた。採決後に政党CM規制の強化などを憲法審査会で議論すると与党側が確約することが条件だとした。
 改正案を巡り、国民民主は採決に応じるとしていたが、賛否は明らかにしていなかった。玉木氏は条件確約の方法として「憲法審会長などが議事録に明確に残る発言をして担保してくれれば、採決に応じる」とも語った。(共同通信)