2020年11月23日月曜日

23- 学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック その1(しんぶん赤旗)

 日本学術会議会員6人の任命拒否に関する菅政権の答弁二転三転し、その都度 前言と矛盾するという滅茶苦茶ぶりです。「破綻し尽くしている」というしかありません。
 それでも菅首相は任命拒否を撤回しようとしません。さすがに答弁が破綻しているという自覚はある筈なので「意固地」になっているのでしょう。
 精神年齢が窺われる話しで「明朗な政治」の対極にあるものです。いうまでもなく首相として失格です。

 それは兎も角として、しんぶん赤旗が菅政権の「つじつまが合わない言い分」について、情報の真偽を検証する「ファクトチェック」の手法で見直しました。
 19日~22日にシリーズで掲載された分を紹介します
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学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「学術会議の総合的・俯瞰的な活動を確保する観点から判断した」
無関係な引用を“基準”に
                       しんぶん赤旗 2020年11月19日
 日本学術会議会員6人の任命拒否に関する菅政権の答弁が二転三転し、つじつまが合わない言い分を繰り返しています。情報の真偽を検証する「ファクトチェック」の手法で菅首相の答弁を見てみました
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 菅首相は当初、2003年の「総合科学技術会議」報告書の記述を引用し、任命拒否の判断としていました。
 報告書は、新しい学術研究の動向への対応や社会的課題解決に向けた提言などを行うため「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点」からの活動が求められると記述。学術会議は要請に応えて成果を挙げてきました。
 この引用箇所は学術会議のあり方の基本についてのべたもので、会員選考についての提案ではありません。会員選出について報告書は「優れた研究者が科学的業績に基づいて」選ばれることが重要だと日本学術会議法に沿った原則をのべ、コ・オプテーション方式(現会員による欠員補充)を基本とすることが適切だと提案しています。これは現在行われている方式です。
 政府が学術会議法に書いていない勝手な選考基準を持ち込むのはあってはならない違法行為です。多彩な政策提言や国際活動など「総合的・俯瞰的な活動」を行っている学術会議に対し、「総合的・俯瞰的な活動」を理由に任命拒否するのは実態を見ない攻撃であり、筋が通りません。
 6人を任命すると「総合的・俯瞰的活動」が確保できないのか―。日本共産党の志位和夫委員長の追及に対し、首相は「人事に関すること」としか答えられませんでした。


学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「『必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではない』が政府の一貫した考え」
18年以前の記録なし
                       しんぶん赤旗 2020年11月20日
 菅首相は、日本学術会議の推薦名簿通りに任命しなかったことについて「内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え」と繰り返しています。
 では、内閣法制局の「了解を得た」のはいつか―。日本共産党の志位和夫委員長の質問に、井上信治科学技術担当相は「2018年11月15日」と答弁。わずか2年前のことです。
 政府は、会員の選出が選挙制から推薦制に変わった1983年以来「一貫した考え方」として、18年の内閣法制局文書は「改めて確認したこと」だと強弁しています。
 それが本当なら83年当時に、「政府が行うのは形式的任命にすぎない」という中曽根康弘首相の答弁を、「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」(18年文書)と正反対の解釈に変更した経過の記録や文書が残っていなければなりません。しかし、政府は18年文書のような法解釈を示した83年当時の文書が存在しないことを認めています。
 04年には総務省が、「首相が任命を拒否することは想定されない」と83年の国会答弁に基づいた法解釈を行っています。一貫してきたのは首相の形式的任命と、学術会議の推薦を拒否しないという法解釈だったのです。


学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「会員の出身や大学に偏り。閉鎖的・既得権のようになっている」
15年間で多様性向上
                       しんぶん赤旗 2020年11月21日
 菅首相は日本学術会議会員の出身や大学に偏りがあるとか、会員の選考が閉鎖的で既得権益のようだと決めつけて攻撃しました。任命拒否の理由を説明しないまま「個々人の任命の判断とは直結しないが」と前置きして的外れの批判をする不誠実な態度です。
 事実は異なります。学術会議自身の努力によって、この15年間で東京大学・京都大学の会員比率が下がる一方、関東以外の地方出身や女性会員の比率が上がり、多様性が増しています。
 会員の選考は、会員・連携会員の推薦だけでなく協力学術研究団体の情報提供を合わせ、選考委員会が幅広い分野から選びます。「閉鎖的」というのは誤りです。会員は手弁当で活動し、何の「権益」もありません。
 任命拒否して初めて取って付けたように「官房長官時代から懸念を持っていた」と言いだしましたが、大西隆元会長は官房長官時代の菅氏との面会で懸念を伝えられたことはないと証言しています。
 首相がいかに「懸念」を持とうが、組織のあり方や会員構成を決めるのは学術会議自身です。人文・社会科学系の研究者6人が排除され私立大学や女性の割合も減って、首相が持ち出した「偏り」が強まりました。事態を解決するには任命拒否の撤回しかありません。


学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック
「(任命拒否が)政府の法案に反対したからということはあり得ない」
「政策に反対」課長更迭
                       しんぶん赤旗 2020年11月22日
 任命拒否された6人の研究者は秘密保護法、辺野古基地建設、共謀罪、安保法制などに反対の姿勢を明らかにしていました。菅首相は2日の衆院予算委員会で、政府の法案に反対したから外したのかとの質問に「あり得ない」と答えました。
 一方で、総務相の時に総務省課長を更迭した理由を「政策に反対したから」と著書や答弁でのべています
 6人の任命拒否については「通常の公務員の任命と同様に理由について答えを差し控える」といいながら、公務員である課長の人事の理由を自慢げに語るのは矛盾しています。
 「共同」は8日の配信記事で、首相官邸が「政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていた」ことを「複数の政府関係者が明らかにした」と報じました。

 推薦名簿の決裁をめぐって首相は、学術会議が提出した105人の名簿から6人を除外することについて杉田和博官房副長官から説明されたと4日の衆院予算委で答弁しています。事実はどうなのか、除外の理由についてどう説明したのか―。任命拒否にかかわったとみられる杉田副長官の国会出席が求められます。