2020年11月18日水曜日

世田谷区がPCR検査で「プール方式」の導入要望 躊躇の段階ではないと

 新型コロナ対策は「検査」を徹底し「隔離・治療」を行うことしかありません。そのためにはPCR検査などを「いつでも、だれでも、何度でも」受けられるようにする必要があります。保坂・世田谷区長は東大先端研児玉龍彦名誉教授と連携し、それを目指した取り組みを行っています。

 対象者が大量である場合、効率的にPCR検査を行う手法として、1つの試験管に複数の検体を入れる「プール方式」があります。これは陽性反応が出たプール分についてのみ個々の検査を行うことで、陽性者を特定することができるので効率的(短時間で安い)であり、PCR検査先進国の中国、韓国それに米国などで導入されています。
 保坂区長によると国は9、同区長の要請に対して「科学的知見が確立していない」との理由でプール方式承認しなかったということです(感染研での確認試験の結果待ち)。
 プール方式と個別検査との精度の比較は数学的に出せますが、東大先端研が敢えて376検体を用いて実際に検査した結果、個別検査結果と100%一致しました。保坂区長はこの結果を以て「躊躇している段階ではない」として、再度国に承認を求めることにしています。

 厚労省はこんな風に「プール方式」にケチをつける一方で、遥かに精度が落ちる簡易キットについては「発症から2~9日以内」に限り有効な検査と定めました(詳細は別掲の東京新聞の記事<新型コロナ再拡大(3)>参照)。
 支離滅裂な対応というべきです。
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世田谷区がPCR検査で「プール方式」の導入要望
            「拡大期ちゅうちょの段階ではない」
                         東京新聞 2020年11月17日
 東京都世田谷区の保坂展人区長は16日の定例記者会見で、新型コロナウイルスのPCR検査に際し、1つの試験管に複数の検体を入れる「プール方式」を区の検査に導入できるよう、国に承認を求める考えを改めて明らかにした。(岩岡千景)

◆保坂区長「国に承認求める」
 厚生労働省はプール方式の検査精度が不明として、国費を使った行政検査を認めていない。これに対し、保坂区長は、精度が変わらず短時間で安価にできるとした研究結果を明らかにし「これだけの拡大期にちゅうちょしている段階ではない」と強調した。
 研究結果は、東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授(分子生物学・内科学)らのグループが、同区のボランティアらから検体提供を受けて10月にまとめた。陽性の12検体を含む376検体を、自動装置で4検体を1本の試験管に入れるプール方式で検査。その結果、12検体から陽性反応が出て、陽性率は100%一致した。陽性反応が出るまでの時間も、1検体ずつ行う通常のPCR検査で行った場合の半分の約3時間だった。
 検査費は、試薬の購入方法などによっても変わるが、人件費を除く1人分の検査費を通常の3分の1程度に抑えられたという。
 同区は、介護や障害者施設などで感染の広がりやクラスター(感染者集団)発生を防ぐため、無症状の職員らを対象に集団検査を進めている。1度に大量に検査するため、検査が迅速にできてコストも減らせるプール方式の採用を目指しているが、現時点では1検体ずつ行う通常のPCR検査を行っている
 保坂区長は、厚労省から9月に「科学的知見が確立していない」との理由で、プール方式の承認を見送られたと説明。米国、中国、韓国など海外で導入したケースがあることにも触れ「科学的に検証してもらい、早く認めてもらえるよう働きかけを強めたい」と話した。