2020年11月19日木曜日

参院内閣委 田村智子議員が政府答弁の破綻を指摘 任命拒否問題

 共産党の田村智子議員は17日の参院内閣委員会で、日本学術会議の会員候補の任命拒否問題をめぐり、「推薦したを必ず任命しなければならないわけではない」が一貫した立場だと繰り返す政府答弁の具体的根拠を追及しました。そして「任命されなかった場合の対応の定めがあるのか」と問うと、政府側は言を左右にするだけで何も提示できませんでした。

 結局「必ず任命しなければならないわけではない」の根拠についての明確な答弁は何一つ得られず、政府の弁明は破綻していることが明らかになりました。
 田村議員は、任命拒否は「学術会議だけでなく民主主義に関わる問題で、政府の一存で法の解釈を歪めるのは法治主義の破壊だ批判しました。
 菅首相は出席せず、加藤官房長官と内閣法制局長官らが答弁しました。
 任命拒否は撤回するしかありません。

 田村議員は持ち時間40分のうち後半の26分を任命拒否問題に当てました。
 下記の動画で迫力のある追及を見ることが出来ます。
 【17日参院内閣委 審議動画】
   URL: https://youtu.be/Fyujf-_v458 田村議員 質問時間帯4:31:00~5:11:30

 しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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民主主義に関わる問題 学術会議任命拒否 「首相が個別に判断」
参院委 田村智子氏が重大答弁批判
                      しんぶん赤旗 2020年11月18日
 日本共産党の田村智子議員は17日の参院内閣委員会で、菅義偉首相による日本学術会議の会員候補の任命拒否問題をめぐり、日本学術会議法の従来の解釈をねじ曲げ「推薦した方を必ず任命しなければならないわけではない」が一貫した立場だと繰り返す政府答弁の破綻を明らかにし、「学術会議だけでなく民主主義に関わる問題だ」と迫りました。
 田村氏は、13日の衆院内閣委で近藤正春法制局長官が国立大学の学長任命をめぐる高辻正己法制局長官の答弁(1969年)が学術会議にも当てはまるとして、推薦等の拒否が許容されるかは「個々の法律ごとの制度に即して、それぞれの解釈に委ねられる」と述べたことを指摘。「学術会議の独立性に鑑み、どういう場合に任命拒否が許容されるのか」とただしました。
 近藤法制局長官は「任命権者たる総理大臣が国民に対する責任において具体的に判断すべき事柄」と答弁。加藤勝信官房長官も「任命権者において個別に判断すべき事項だ」と述べました。
 田村氏は「総理に判断を一任するとんでもない答弁だ」と批判。任命されなかった場合の対応の定めがないことも明らかにし、「“一貫した考え方”なのに定めもない。総理の任命は形式的任命で推薦された者は拒否しないというのが政府の一貫した解釈だからだ」と強調。83年の学術会議法改定の審議で示された「形式的任命」という解釈をかえりみず、政権の都合でゆがめることは法治国家として許されないと訴えました。


論戦ハイライト
学術会議任命拒否 法趣旨わい曲 参院内閣委 田村議員の質問
                      しんぶん赤旗 2020年11月18日
 17日の参院内閣委員会で、菅義偉首相が日本学術会議の会員の任命を拒否した問題をめぐり、任命拒否の理由と根拠について追及した日本共産党の田村智子議員。任命拒否は、日本学術会議法の本来の趣旨をわい曲したもので、法治主義を破壊する問題だと主張しました。

田村氏 首相に一任していない
学術会議事務局長 (任命されない時の対応)内規にない
 田村氏は、政府がこの間、任命拒否が許される場合について「個々の法律ごとの制度に則して、それぞれの解釈に委ねられる」(13日、衆院内閣委員会)と答弁していることを示し、日本学術会議法に定める会議の独立性にてらして、任命拒否が可能な場合を質問しました。

「形式的任命」
 近藤正春法制局長官 任命権者たる内閣総理大臣が国民に対する責任において具体的に判断すべき人事に関する事柄だ。事柄の性質上、明確に答えることは困難だ。
 田村 それでは首相に一任するようなものだ。
 田村氏は、1969年に高辻正己法制局長官(当時)が国立大学学長の任命拒否について「明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる」場合と答弁し、九州大学の学長任命をめぐる裁判(九大・井上事件)では「申出が明らかに違法無効と客観的に認められる場合」と判示もされていることを指摘。その考えが示された後、83年に中曽根康弘首相(当時)が日本学術会議法の審議で「形式的任命」と答弁していると述べ、これらは「首相一任ではない」と主張しました。
 田村氏は改めて、任命がどういう場合に「国民に責任が負えない場合」となるか答弁を求めました。
 加藤勝信官房長官 会議の設置目的、および職務などに照らし、任命権者において個別に判断するべき事項だ。人事に関する事柄で、示すことは難しい。
 田村 とんでもない。どういう場合に国民に責任を負えないか、何一つ言えない。
 加藤氏の答弁は、首相に全権を委任する驚くべき答弁です。

一貫した考え方
 田村氏は「(学術会議に)推薦された方々を必ず任命しなければならないわけではない」という解釈が83年の学術会議法改定以後の一貫した考え方だというのであれば、任命されなかった場合の対応について、日本学術会議法、会則、内規ではどう定めているかを質問しました。
 福井仁史日本学術会議事務局長 これまで任命されなかった例がないので、学術会議の内規にはとくにない。
 田村 “一貫した考え方”なのに、対応策もない。首相の任命は形式的であり、推薦されたものは拒否をしない。これが一貫した法解釈だからだ
 田村氏は、6人を任命することがどうして国民に責任を負えないことになるのか、明らかな理由を国民と国会に示すべきだと主張しました。
 田村氏は、中曽根元首相は明確に「学問の自由」の保障、学術会議の独立性の保障の観点から「形式的任命」と答弁していると指摘。同答弁について、加藤氏が「40年前だから、趣旨を把握するのは難しい」と述べたことを批判しました。
 田村 政権によってコロコロと法の解釈が変わる。過去の国会の答弁を軽んずる。無視をする。都合の悪いものは趣旨がわからないという。民主主義にかかわる問題です。学術会議だけの問題ではない。
 田村氏は、任命拒否は法治主義の破壊だと主張し、任命拒否の撤回を求めました。


学術会議任命拒否撤回求める 革新懇が署名呼びかけ 世論で包囲を
                       しんぶん赤旗 2020年11月18日
 全国革新懇は17日、菅義偉首相による日本学術会議への人事介入に反対し、「任命拒否の撤回を求める」署名を呼びかけました。
 署名は「今回の会員人事への介入は、政府による自由な学術研究の統制と異論を排除する社会をつくり出し、政府見解への忖度(そんたく)を国民にせまり、物言えぬ風潮を強めることになる暴挙」と批判し、(1)学術会議が推薦した会員候補者を任命しなかった理由を明らかにする(2)任命拒否を撤回し、会員候補者6人をすみやかに任命する―ことを菅首相に要請しています。
 学術会議への人事介入は、学問の自由を侵害し民主主義をじゅうりんする暴挙です。学術会議は任命しない理由の説明と6人の任命を要請し、学会・大学関係者だけでものべ950を超える団体が抗議の声をあげています。菅首相はこれを拒絶し、学術会議見直しなどの「すり替え」をはかろうとしています。
 全国革新懇は、この問題を広く国民に訴え、世論で菅政権を包囲してゆく運動が求められており、そのためにも署名が重要になっていると訴えています。
 (署名用紙