2020年11月26日木曜日

バイデン氏 好戦家のトニー・ブリンケンを国務長官に

 トランプ大統領の唯一の取り柄は海外での戦争を拡大しなかったことでした。
 バイデン大統領になれば、オバマ大統領時代がそうであった*1ように、また、もしも4年前の大統領選でヒラリー・クリントンが大統領になっていたとしたら、そうなったであろうように 戦争拡大政策をとることでしょう。
 何と言ってもアメリカは史上空前の戦争国家*2なのですから、安易にバイデンなら平和を志向するのではなどと考えるのは大間違いです。
 
 「マスコミに載らない海外記事」が、バイデンが好戦家のトニー・ブリンケンを国務長官に選んだことを批判する記事を出しました。
 櫻井ジャーナルも同じ見解の記事を出しました。
 二つの記事を紹介します。

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     *1 (18.7.23)オバマ時代の侵略戦争・クーデター・言論の封殺
     *2 15.2.28)アメリカは建国後合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた
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びっくり仰天!アメリカは、もう一人の精神病患者を国務長官にしている
                マスコミに載らない海外記事 2020年11月25日
                 ケイトリン・ジョンストン 2020年11月23日
 皆様は、アメリカ国防省が戦争省と呼ばれていたのをご存じだろうか?普通のアメリカ人に対して全く脅威ではない、国境の遥か先の標的に考えを集中していて、どんな面であれ、決して、防衛的と表現できる活動をしない軍にとって、現在、より相応しいレッテルだろう。より適切な名前は永久戦争省だろう。
 国務省は、外交と平和に焦点を合わせて、戦争省に対抗するよう意図されていた。アメリカ政府が果てしない暴力と侵略に依存する地球的規模帝国に変身するにつれ、結局、国務省が、飢餓制裁、代理戦争と戦争連合への国際支援をかき立てるため、世界の舞台で、益々多くの干渉主義言説生産に注力することになったのだ。
 だから実際、アメリカには戦争省が二つあるのだ。国防省と国務省。それが、アメリカの国務長官が、益々主戦論者で、精神病質で、ある種反社会性人格障害が、この地位にとって、ほとんど職務資格になるに至っているのを目にしている理由だ。

 ブルームバーグとニューヨーク・タイムズは次期大統領政権が、長年のバイデン補佐官トニー・ブリンケンを国務長官に選んだと報じている。ブリンケンは、百万以上の人々を殺し、中東での未曾有の軍拡張主義時代の先駆けとなったイラク侵略を含め、今世紀、アメリカ大量軍事虐殺の最も汚らわしい行為全てを支持したリベラルな干渉主義者だ。だから、言うまでもなく、彼は承認プロセスを通り抜けるだろう。
 「バイデン上院議員が対イラク軍事力行使承認に賛成投票した際、ブリンケンは彼の主要補佐官だった」とNonzeroが報じている。「ブリンケンは、この賛成投票を単に「厳しい外交に対する賛成投票」として描き直そうとしたが、侵略後のバイデン発言が、その主張を信じ難くしている。ブリンケンがネオコン外交政策ドクトリンの主要設計者の一人ロバート・ケイガンと共同執筆した最近の「ワシントン・ポスト」論説で、彼はイラク戦争の問題は、武器査察官に、侵略を動機付ける主張の評価を許した後で、国際法に違反し、国を侵略するという考えではなく、やり方のまずさ(「まずい諜報情報、見当違いの戦略や、戦後のための不適当な計画」)だった」ことをほのめかしている。
 それについて彼に助言した男を以来ずっと補佐官として雇い続け、今彼を国務長官に任命するなら、大量軍事屠殺という許せない行為を促進する上での彼の中枢的役割を後悔しているというバイデンの主張が一体どうして本当であり得よう? もし誰かが、あなたに本当に後悔していることをするように助言していた場合、あなたは同じ主題に関し、その人物の助言を求め続け、それに対し、彼に更に多くの権限と支配力を与えるたろうか?

 アメリカの第二戦争省の次期長官は、アメリカ殺人機構が中国とロシアとの世界を脅かす冷戦エスカレーション強化を手伝うと我々は予想する。ウォール・ストリート・ジャーナルのウォルター・ラッセル・ミードとの7月のインタビューで「絶対に必要とあらば、リベラル多国主義で補完して、アメリカ軍を使う意志」を含め「冷戦時代の民主党政策」を使って「中国とロシアを従順にさせ、民主党員を目覚めさせる」バイデン選挙運動の計画についてブリンケンは語った
 「バイデン政権は、リセットや、重要な取り引きや、ウラジーミル・プーチンとのビジネスライクな関係以上の何ものも求めない」とインタビュー後、ミードは書いた。「ケネディ政権以来、民主党はロシアに対して、これほどタカ派になったことはなかった。

国務長官被指名者トニーブ・リンケンは、最近バイデンの「永久戦争を終わらせる」誓約は、アメリカは、特殊部隊と代理人に行われる秘密戦争を拡大しながら、大規模派遣を減らすことを意味すると説明した。
ここで全面暴露をご覧願いたい。 https://t.co/1lY62RBl9X
 https://t.co/QHccVwnqSl pic.twitter.com/bW8DQc4bbk
 - ダン・コーエン(@dancohen3000) 2020年11月23日

 読者が本当にトニー・ブリンケンについて知る必要がある全てが、ダン・コーエンによるBehind the Headlinesの必読新記事に巧みにまとめられている。ブリンケンの経歴は、アメリカ帝国を拡大することと、大企業権力が、この帝国内に一層深く入り込むのを手伝うことの間の振り子だった。オバマ政権で、彼は、2014年のウクライナ・クーデターや、リビアとシリアでの許されない破壊的介入を支持し、彼はサウジアラビアが率いるイエメンでの大量残虐行為を支持する主要提案者で、このような代理紛争がアメリカ干渉主義を推進するための新モデルだと言っている
 コーエンは、伝統的な、ブッシュ時代の地上侵攻を、現地当事者を支援し、特殊部隊に率いられる、控え目で小規模の持続可能な作戦に置き換えるのに賛成し、果てしない戦争を終わらせる上で我々は、余り大雑把にしないよう注意しなければならないと思うと主張するブリンケン発言を引用している。言い換えれば、オバマ政権の最も下劣なあらゆる政策の継続と拡大だ。

 だから旗に包まれた棺がジェット機で国に帰る、あらゆる厄介なニュースや映像なしに、同じ人数の子供が死亡し、同じ量の不安定化と苦しみと、資源を同じ量消費するニシキヘビのような絞殺戦略の強化をアメリカ帝国が好むと我々は予想できる。トランプ時代煩わしく露出していた血が飛び散ったアメリカ帝国の顔に対する写真写りの良いマスクだ。
 それでも、皆様は品位の回復に興奮されるのだろうか?
                                       (中 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2020/11/23/surprise-america-is-getting-another-psycho-for-secretary-of-state/ 


好戦派で固められるバイデン政権だが、中国を懐柔して中露分断を目論む可能性
                          櫻井ジャーナル 2020.11.26
 バラク・オバマ政権に巣くっていたネオコンは2013年11月から14年2月にウクライナでネオ・ナチを利用したクーデターを成功させ、同じ年の9月から12月にかけてはイギリスと手を組み、香港で佔領行動(雨傘運動)を仕掛けた
 ウクライナに傀儡国家を作ることでロシアとEUを分断、香港の運動で中国を揺さぶろうとしたのだが、こうした工作はロシアと中国を接近させることになった。両国は天然ガスのパイプライン、鉄道、道路などを建設して結びつきを強めている。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の影響で経済活動は麻痺しているが、戦略的な同盟関係が崩れることはないだろう。
 それに対し、次期大統領になる可能性が高いジョー・バイデンはオバマ政権の好戦派人脈を入閣させるようで、ロシアとの軍事的な緊張を高めることになりそうで、中国とロシアとの結びつきを弱めようとするかもしれない。そのため、中国に接近して飴をしゃぶらせ、支配層のうちカネ儲けに目のない人びとを抱き込もうとするだろう。
 勿論、アングロ・サクソンの支配者、つまりウォール街やシティを拠点とする巨大金融資本は中国を仲間とは考えていない。ユーラシア大陸の周辺部を支配し、内陸部を締め上げていくという19世紀には存在していたであろう長期戦略は今でも生きているはず。最終的にはロシアも中国も支配するつもりだろう。

 ナチスはロシアを占領して耕作地と油田を確保した後、スラブ民族を奴隷にする予定だったが、そのナチスのスポンサーはウォール街やシティだった可能性が高い。実際、資金は米英の金融機関からナチス時代のドイツへ流れ、アメリカでは金融資本が1933年から34年にかけてクーデターを計画、ファシズム体制の樹立を目指していた。
 イギリス資本が明治維新の背後で暗躍、大陸への軍事侵攻を支援していたのもロシアや中国を制圧するため。日本列島から南西諸島を経て台湾へ至る弧状の島々は大陸を侵略するための拠点であり、朝鮮半島は橋頭堡だと言えるだろう。ロシアや中国の支配を達成するまで、この弧状列島の役割に変化はないはずだ。
 ロシアや中国の側もこうした状況を理解しているだろうが、両国には個人的な利益を優先させる勢力が支配層の内部にも存在していると見られている。そうした「親欧米派」、つまり新自由主義者を押さえ込めるかどうかで中露の運命は決まるだろう。