安倍前首相は8月28日の辞任会見で、コロナ対策について要旨次のように述べました。
「冬に向けてはコロナに加え、インフルエンザなどの流行で発熱患者の増加が予想されます。まずは検査能力を抜本的に拡充することです。冬までに1日20万件の検査体制を目指します。特に高齢者施設や病院では、地域の感染状況などを考慮し、職員の皆さんに対して定期的に一斉検査を行うようにし、高齢者や基礎疾患のある方々への集団感染を防止します」
それはコロナ対策で安倍氏から初めて聞く真っ当な発言でした。
しかし安倍政治を引き継ぐとして登場した菅政権はこれらを何も行っていません。それどころか菅首相と二階幹事長が進めたのは利権絡みといわれる「Go To」キャンペーンでした。それがコロナ感染拡大の原因になるという指摘に対しては、そうした「エビデンス(証拠)はまだ上がっていない」と否定し、逆に、「Go Toトラベルで4000万人が動いたが、それによる感染は180人にとどまった」という発言を国会で繰り返すありさまです。
もしもそうであるなら日本におけるコロナ禍は、「Go Toトラベル」を普及させれば解決するということになってしまいます。あまりにも馬鹿らしくて海外紙は言うまでもなく、国内の忖度紙でさえも取り上げません。
菅首相は27日になってようやく北海道や大阪府などの感染拡大地域からの「Go Toトラベル」の出発分について「利用を控えるよう呼ぴかける」と述べましたが、Go To事業は「停止」ではなく 東京の「除外」もありません。
欧州各国は今月から相次いで都市封鎖を敷きましたが、その期間は12月の3日前後までに限定している国が多く、「それまでにできる限り抑え込んで、12月のクリスマス商戦とクリスマスホリデーで経済を活性化させよう」というメリハリのある構想といわれます。
「コロナ・マナー」を訴える以外には何もしないままGo Toを走らせた挙句に、分科会から警告が発せられても殆ど抑制もしない菅政権に、本当に第3波の感染拡大を抑える気持ちがあるのでしょうか。
しんぶん赤旗が「 ~ 首相が見直しの障害に」とする記事を出しました。
また共産党の田村政策委員長は27日夜、「政府は、感染爆発をいかに防ぐかが問われている切迫したときにあまりに中途半端だ。人口からいっても感染状況からいっても東京を除外することは無責任だ。全国一律の『Go To』事業は中止を決断し、直接支援を組み合わせた支援に切り替えるべきだ」とコメントしました。
しんぶん赤旗の二つの記事を紹介します。
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Go To出発“自粛”のみ 東京除外せず 首相が見直しの障害に
しんぶん赤旗 2020年11月28日
菅義偉首相は26日、新型コロナウイルスの感染急拡大への対策として政府の新型コロナ対策分鈴会から提言(25日)を受けたとして、札幌、東京など感染拡大地域での飲食店の営業時間短縮要請を行うことなどを表明しました。ところが、同分科会が提言していた「Go Toトラベル」事業における「(感染拡大)地域からの出発分についても検討すること}については何も語らず、継続の姿勢を示しました。厳しい批判が続く中、、菅首相は27日に感染拡大地域からの出発分について「利用を控えるよう呼ぴかける」と述べましたが、事業は「停止」ではなく東京「除外」もありません。
政府の分科会は「Go To」事業について当初「人の移動自体が感染を広げるわけではない」などとして容認してきましたが、感染急拡大の中で感染拡大の要因は「人の移動の増加」にあることを認め、ステージ3(感染者の急増)相当の対策が必要となっている地域では「営業時間の短縮及び人の往来や接触の機会を減らすことが必要」(25日提言)としています。
分科会のメンバーでもある国立感染研の脇田隆字所長は北海道新聞17日付で、「Go Toトラベル」の対象に10月1日から東京発着の旅行が追加されたことで「道内の感染状況を加速させた可能性がある」と述べています。札幌発で東京と往復する場合だけでなく、東京から札幌への人の流入が感染拡大を加速させるという認識であり、当然のことです。
「東京発の事業の制限は経済的に大きなマイナスという認識もある」(自民党関係者)という声も漏れます。「Go To」事業の旗振りをしてきたのが菅茸相であり、事業の見直しの最大の障害となっているのが菅首相自身です。科学的見識を無視した菅政権による感染拡大の責任は重大です。
厚労省アドバイザリーボード
政府分科会の提言と政府の対応
19日 | 厚労省 | 感染拡大の要因は、基本的な感染予防対策がしっかり行われていない |
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| ことや、そうした中での人の移動の増加 |
20日 | 分科会 | 一般的には人々の移動が感染拡大に影響する。一部区域の除外を含め |
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| 国として「Go Toトラベル」事業の運用の在り方について早急に検討 |
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| していただきたい |
21日 | 菅首相 | 菅首相が「Go To」事業の見直しに言及。感染拡大地域を目的地とす |
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| るトラベルを制限 |
25日 | 分科会 | 「Go Toトラベル」事業の一時停止を行うこと。その際、今後の状況 |
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| に応じて当該地域からの出発分についても検討 |
26日 | 菅首相 | 菅首相、営業時間短縮など打ち出すも「Go To」に触れず |
新型コロナ 政府は危機感もって対策を 田村政策委員長が主張
しんぶん赤旗 2020年11月28日
日本共産党の田村智子政策委員長は27日、国会内で記者会見し、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会による政府への提言に対して、政府が翌26日に対策本部を開かず、菅義偉首相もコメントするだけだったことについて、「政府の対応に大きな危機感を抱いている。国会に政府の対策を報告し、時間もとった予算委員会などでの質疑を求めたい」と表明しました。
田村氏は、菅首相がコメントで「Go Toキャンペーン」について一言も触れなかったと批判。国立感染症研究所の脇田隆字所長が「感染の低いところから高いところに行けば、感染して戻ってくる可能性がある。感染の高いところを出発点にして、低いところに行けば感染を持ち出す可能性がある。両方を止めることが有効だ」と発言した報道や、分科会の尾身茂会長が「個人の努力に頼るステージは過ぎた」と述べたことに言及。「行政から一定の強制力をもった行動変容がなければ、感染爆発に至ってしまうという危機感が、専門家の中から次々と示されている」と述べました。
田村氏は、「感染爆発を止めるかどうかという危機感をもって、対策を示すべきだ」と強調しました。
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田村智子政策委員長は27日夜、菅首相が新型コロナウイルス感染症対策本部で「Go Toトラベル」について、札幌、大阪両市を出発地とする旅行について利用を控えるよう呼びかけたことをうけて、「感染爆発をいかに防ぐかが問われている切迫したときにあまりに中途半端だ。人口からいっても感染状況からいっても東京を除外することは無責任だ。全国一律の『Go To』事業は中止を決断し、直接支援を組み合わせた支援に切り替えるべきだ」とコメントしました。