2022年5月21日土曜日

私的権力によるメディア支配/ブログ支援のお願い (櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルが、いわゆる西側のメディアが欧米の私的権力の影響下にある実態を報じました。

 ワシントン・ポスト紙記者「ウォーターゲート事件」を暴いたカール・バーンスタイン1977年時点で、CIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは 400名以上に達すると暴露しました。CIAは公設の機関ですがその活動の詳細は非公開、というよりも到底公には出来ない性質のものです。彼らが第2次大戦後、営々として築いてきたメディアの統制もまさにそうで、その意味で私的権力というべきものです。
 私的権力と筆一本で闘っている櫻井晴彦氏が、「偽情報で人びとを操っている私的権力に対抗することは容易でないものの負けられない。いま、私たちは人類の将来を決める岐路に立っている」として、カンパを訴えました。
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ブログ支援のお願い 
                          櫻井ジャーナル 2022.05.20
 人びとが自分自身の感覚で認識できる出来事は限られています。その範囲外で起こっている出来事は何らかの媒体を通じて知るしかありません。新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどがそうした媒体ですが、大きなメディアは営利企業で、広告という形で大企業の影響を受けています。この広告とも関係しますが、トラブルを避けるために権力の意向に沿う「報道」をしているようです。
 日本のマスコミはアメリカの有力メディアから大きな影響を受けていますが、そのアメリカのメディアは9割程度が6つのグループに支配されています。COMCAST(NBCなど)、FOXコーポレーション(FOXグループなど)、ウォルト・ディズニー(ABCなど)、VIACOM(MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、CBSです。西側の有力メディアはさまざまな形で欧米、特にアメリカを拠点とする私的権力の影響下にあると言えるでしょう。
 そうした私的権力は自分たちの支配下にある有力メディアを使って人びとを操ってきました。いわば「マトリックス戦術」です。幻影を見せられているとも言えるでしょう。その幻影は他人を地獄へ突き落とすだけでなく、自分たちを破滅へと導きます。
 そうしたメディアは​欧米の私的権力にとって都合の悪い話​を伝えようとしません。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺され、3月7日には殺されたゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されていますが、きちんと報道したでしょうか?ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われていますが、その問題を取材したでしょうか

 ウクライナ内務省の親衛隊が支配していた地域から脱出した市民の証言も伝えていません。例えばマリウポリのアゾフスタル製鉄所から住民が脱出たナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えましたが、すぐに削除してしています。その中で親衛隊の残虐さを明らかにし、ロシアへ避難したいと訴えていました。ロイターは欧米の私的権力にとって都合の悪い部分を削除、ロシアを批判しているような印象を人びとが持つように編集したものを流していました。脱出できた市民は異口同音に親衛隊の残虐さとロシア軍への感謝を口にしています。

 ロシア軍が回収したウクライナ側の文書の中に含まれていた生物兵器の研究開発に関する資料についてロシアのイゴール・キリロフ中将を中心とするチームが分析し、その結果を資料付きで発表していますが、事実上、無視されています。アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官もウクライナの施設で兵器クラスの危険な病原体を扱っていたことを認めていますが、これも問題にされていません。

 ウクライナ国内では政府、つまりNATOを後ろ盾とするネオ・ナチに反発する市民が増えているようで、ウクラナイ政府は「国賊狩り」を強化、​ミコライフ州のビタリー・キム知事は「ウクライナ24テレビ」の番組で、「全ての裏切り者を処刑する」と語っています​。
 欧米支配層による情報操作に気づく人が増えているように思えますが、それに対抗してアメリカ政府は国土安全保障省の内部に「偽情報管理会議」を創設すると発表しています。政府や私的権力の嘘を暴く情報を検閲することが目的でしょう。
 アメリカの私的権力は言論を封殺しつつありますが、これは昔からの話です。ワシントン・ポスト紙の記者として「ウォーターゲート事件」を暴いたカール・バーンスタインによりますと、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは 400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも 10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったそうです。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)
 デボラ・デイビスが書いた『キャサリン・ザ・グレート』もCIAによるメディア支配の一端を明らかにしています。彼女によると、第2次世界大戦が終わって間もない1948年頃に「モッキンバード」と呼ばれる情報操作プロジェクトをCIAはスタートさせています。(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)
 CIAのメディア支配はアメリカに留まりません。例えば​フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテ​はウクライナでクーデターがあった2014年2月に出版した本でCIAとメディアとの関係を明らかにしています
 彼によりますと、CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ているとしていました。ウクライナで戦争を引き起こす上で西側の有力メディアが果たした役割は小さくないと言えるでしょう。
 日本は1904年から05年にかけて帝政ロシアと戦いました。日露戦争です。勝利したことになっていますが、講和の段階で戦争を継続する余力はなく、帝政ロシアを侵略しようとしていたアメリカ政府が仲介して形式的に勝っただけでした。
 しかし、新聞の扇情的な報道を真に受けて大勝した気分になっていた人びとは講和内容に不満を持ちます。条約が締結された当日、日比谷公園で開催された国民大会に参加した人たちは内相官邸、警察署、交番などを焼き討ちして戒厳令が敷かれるという事態に発展しました。この頃からマスコミは何も変わっていないようです。

 偽情報で人びとを操っている私的権力に対抗することは容易でありませんが、負けるわけにはいきません。今、私たちは人類の将来を決める岐路に立っているのです。厳しい状況にありますが、カンパ/寄付をよろしくお願い申し上げます。

櫻井 春彦
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口座名:櫻井春彦