2022年5月27日金曜日

日米首脳会談 軍事費「相当な増額」誓約 核抑止さらに強化 辺野古新基地

 バイデン米大統領の来訪を迎え岸田首相は迎賓館で会談を行い(23日)軍事費について「相当な増額を確保する決意」を表明し、空前の大軍拡を進める意向を示すとともに、海底地盤の問題で解決策がなく頓挫している普天間基地建設を、共同声明に「唯一の解決策」と明記しました。また台湾海峡問題について両国の基本的立場に変更はないと確認し、台湾海峡の平和と安定は「国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素」だとしました。

 しんぶん赤旗が報じました。
 本来台湾問題は中国の国内問題であって、台湾を国家として認知しないことは、米中国交回復においてもその後の日中国交回復においても共に中国に約束した事柄であり、中国が台湾に武力進出しなければならない理由などはありません。
 それを殊更に日米が「台湾有事」と強調するのは中国の怒りを招くもので、それは米国が27年頃に中国にGDPで追い抜かれて世界一の座を渡す前に「台湾有事を起こさせて叩く」という戦略に基づいたものと言われています。
 日本は軍事費を年間11兆円以上に拡大し米国の片棒を担ぐ(というより尖兵になる)ことで、本格的な日中戦争に誘導されようとしています。それはロシアがバイデンに誘導されてウクライナ戦争の泥沼に落ち込んだことの二の舞で、そのまま日本滅亡への道です。

 世に倦む日々氏は、27年までにもう5年を切っているのに日本国内に中国との戦争に反対や抵抗の声が上がらないどころか、日本国内が軍事体制に改造されていて、国会はすっかり脇役になり、野党は用無しになり、TVの解説役は軍人ばかりが占拠していると指摘しました。
 マスコミ報道に釣られて国民が戦争に前のめりになり、TV軍人主導の世界になり、軍事費2倍増に反対の声が上がらず、社会保障にも教育にも関心を向けず、軍事最優先という判断になっていると述べました
 まさに異常な「戦争前夜」というべき事態です。
 併せて「世に倦む日々」の記事「中国との戦争へ日本丸が碇を上げて出航-5月23日の日米首脳会談」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日米首脳会談 軍事費「相当な増額」誓約 核抑止 さらに強化 辺野古新基地は強行
                        しんぶん赤旗 2022年5月24日
 岸田文雄首相は23日午前、東京都港区の迎賓館でバイデン米大統領と会談しました。両首脳は共同声明で、「日米同盟の抑止力・対処力を強化」することで一致。岸田氏は、東シナ海・南シナ海で台頭する中国を念頭に、軍事費について「相当な増額を確保する決意」を表明し、空前の大軍拡を進める意向を示しました
 また岸田氏は「いわゆる『反撃能力』(敵基地攻撃能力)を含めてあらゆる選択肢を排除しない」と伝達。共同会見でバイデン氏は「日本の防衛力強化に敬服する」と述べ、日本の大軍拡を歓迎しました。

 会談では、ロシアによるウクライナ侵略を念頭に、中国による「力を背景にした現状変更の試みに強く反対する」と強調。
 また両首脳は、米国の核抑止も含む「拡大抑止」を揺るぎないものにするため、日米間の閣僚レベルで緊密な意思疎通をいっそう行うことで合意。共同声明で、沖縄県名護市辺野古の新基地建設について普天間基地問題の「唯一の解決策」と明記し、建設強行を表明しました。馬毛島(鹿児島県西之表市)への米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)移転を「着実に実施する」としました。

 外務・経済担当閣僚が協議する日米経済政策協議委員会(経済版「2プラス2」)を7月に開催することで合意。半導体開発や安全保障、宇宙分野などで協力するとしました。岸田氏は、バイデン氏が提唱する新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加する意向を表明しました。
 また両首脳は声明で、「原子力の重要性」を確認。原発の輸出促進などで「革新原子炉や小型モジュール炉の開発・世界展開を加速」することで合意しました。
 岸田氏は、2023年に日本で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)の開催地を広島市にすると表明しました。米国の核抑止=「核の脅し」に固執しながら、共同会見で岸田氏は「広島ほど平和へのコミットメント(関与)を示すのにふさわしい場所はない」などと述べました。


中国との戦争へ日本丸が碇を上げて出航-5月23日の日米首脳会談
                          世に倦む日々 2022-05-23
昨日(5/23)行われた日米首脳会談について。正直、テレビ報道を見ながら目眩と悪寒を覚える。中国との戦争へ向けた軍事体制の整備が着々と進み、後戻りできる回路や余地を隙間なく塞がれた環境がほぼ仕上がった。国民の誰もが戦争から逃げ出すことができなくなり、黙って戦争に追従して行くしかない状況に固められた。中国に対する日本人一般の関係性は、最早、憎悪というような感情的なものではなくなり、戦争を前提にした、腹の据わった、決戦待機的で予定的な性質のものになっている。中国との戦争とそれへの準備過程が、国民一人一人にとって当然の将来像になっている。

中国との戦争に反対や抵抗の声が上がらない。反発の叫びや忌避の呻きがどこからも耳に入って来ない。報道1930で五百旗頭真と松原耕二が、これまでは戦後の平和主義でやってきたが、これからは軍事力をつけて国を守る時代なのだと言っていた。ウクライナ戦争が始まって以降の3か月で、この主張が前にせり出し、すっかり観念が定着し、専守防衛や憲法9条の理念がスポイルされてしまった。五百旗頭真と同じ主張をする者しかテレビに出ず、国民全体の意識が切り替わった感がある。10年前なら自民党のタカ派の政策でしかなかったものが、国民の共通認識になっている。

今は開戦本番の何年前なのだろう。5年前か、3年前か。たしか昨年、米太平洋軍前司令官が「6年以内に台湾有事」と発言して騒ぎになったとき、森本敏が、「僕はもっと早く起きると思う」とテレビで言った。今度のIPEFの立ち上げは一つのマイルストーンである。ロードマップは続く。ウクライナ情勢のために東アジアの戦略工作は一時停止していたが、次のキーステップは台湾内部の工作と動揺であり、独立運動の仕込みと展開だろう。合わせてEU各国幹部の訪台が続く。デービッドソンが米議会公聴会で「6年以内」と発言したのは昨年3月だから、現時点ではもう5年を切った時間軸になる

世界の注目が集まったこの首脳外交を踏み台に、国内では軍事予算の大幅増が推進される。日本は現在でも世界第5位の軍事大国で、フランスや英国を凌ぐ軍事力ランキングにあるのに、この軍事大国がさらに2倍の軍事費を投入して増強を図ると言う。狂気の沙汰だ。ちなみに問題になっているドイツは13位で、ブラジルやトルコやエジプト以下の軍事力なのだ。おそらく、南西諸島から九州、北海道と、そこらじゅうに中距離核ミサイルの基地を建設し、宇宙とサイバー分野の装備に湯水の如くカネを注ぎ込むのだろう。注ぎ込んでも、実際は自衛隊の自前の軍事力にはならず、アメリカの利益に回収され、米軍が活用するだけだろうが。

日本は社会保障も教育も予算が足りず、そこを増額することが急務なのに、それを差し置いて軍事費を2倍にすると言う。軍事費はカットして社会保障と教育に回さないといけないのに、また後回しにされてしまう。タイミング的にちょうど「骨太の方針」の季節で、来年度予算の基本方針が決まる時期だ。今回のイベントをこの日程で組んで賑々しく宣伝することで、来年度予算の骨格を決めた。また、7月の参院選の与党公約の主題も固めた。参院選でこの軍事戦略と予算がオーソライズされる。戦前の軍国主義そのものだ。日本人の稼いだお金も、エネルギーも、何もかも中国との戦争に注ぎ込まれる

日本国内が軍事体制に改造されている。国会はすっかり脇役になり、野党は用無しになり、テレビは軍人ばかりでオキュパイ⇒占拠され、戦争の話ばかりが流れている。昨日(5/23)の報道1930に高橋杉雄が出演したのは、象徴的で示唆的な出来事だった。この防衛研の専門家は、ウクライナ戦争の細かな情報を解説する係のはずだった。江畑謙介とか小川和久の役回りのはずだった。だが、堂々と日中・米中関係の安全保障の報道に登場し、佐藤正久の代役みたいなタカ派の発言を飛ばしている。この日を境にして、高橋杉雄はウクライナ戦争のスペシャリストからジェネラルな政治評論家に変身・昇格した。その高橋杉雄は、何でも、日米で設置されている「拡大抑止検討委員会」に参加していると言う。

参加して活動はよく承知しているけれど内容は言えないと言う。米軍基地の核の出し入れ(沖縄・佐世保・横須賀)のステイタスとか、自衛隊の核装備計画の進捗確認とか、戦時のどの局面で中国のどこを狙ってどこから攻撃するかとかを検討しているのだろう。日本もとんでもない国になった。非核三原則はどこにもない。参院選が終わり、8月の広島・長崎の慰霊の季節が終わった後、この問題の議論が始まり、日本の核武装が政府承認され、国家防衛戦略(防衛計画大綱)に落とし込まれる進行になると予想する。中距離核ミサイル基地だけでなく、潜水艦やイージス艦、ステルス戦闘機への核ミサイル搭載も盛り込むに違いない

マスコミ報道に釣られて国民が戦争に前のめりになり、テレビはミリタリアン・コントロール⇒軍人主導の世界になった。佐藤正久、森本敏、河野克俊、高橋杉雄、他の防衛研諸陣笠、小原凡司、等々、防衛人脈が過剰に充満する空間となった。国民の頭の中は軍事情報ばかりで埋まり、そこに関心づけられ、誘導され、だから軍事費2倍増にも賛成するのだ。社会保障にも教育にも関心を向けず、軍事最優先という判断になっている。前の記事で「軍部主導の政治」と書いたが、まぎれもなくそうなっている。国民自身が、対中国の軍事に生きがいを見出し、戦争の勝利に飢えた民衆になっている。時間をかけて徐々に極右親米反中の人格に作り変えられ、とうとうこの極致まで来た。もう引き返せるとは思えない。反戦非戦・善隣友好の意識には戻れない。

旧日本軍の参謀キャラクターの典型として辻政信がいる。それから、憲兵・謀略軍人の妖怪として甘粕正彦がいる。どちらも名前を聞くだけで気分が悪くなるが、テレビの高橋杉雄の恐い目つきを見ながら、彼らはこういう類型だったのだろうかと想像させられる。旧日本軍の悪魔的な参謀範疇。戦争とは人を殺すことだ。戦争で人を殺すことは、榴弾砲を敵部隊に撃ち込んで歩兵を殺戮することもあるし、突撃して敵兵に小銃を掃射することもある。石井機関731部隊のような人体実験もある。だけでなく、国内の邪魔な「敵」を見つけて殺すこともある。小林多喜二みたいな「アカ・非国民」を手配・捕縛して、警察署内で私刑拷問して殺害することもある。反戦派を暴力で潰すこともある。

特高の毛利基も、辻政信や甘粕正彦と同じ範疇だ。内務官僚、軍国エリートである。日本国憲法(9条)の思想と理念が最も忌み嫌うところの、本来、戦後日本で否定されつくしたはずの人間類型。が、今のテレビを占拠しているのは、どうやら、辻政信や甘粕正彦や毛利基みたいな人間ばかりのようであり、その現役と退役系ばかりだ。軍部と特高とその系統の学者ばかりに見え、彼らが甦って跳梁跋扈している感を否めない。ひょっとしたら、いずれ多喜二みたいに殺される立場になるんじゃないだろうかと、高橋杉雄の目の光に恐怖を感じる。戦争反対や護憲論や日米同盟批判は、ほどほどにしといた方が身のためではないかと、防衛本能が頭をよぎって気弱になる

左翼方面から危機感やアレルギー反応の声が聞こえてこない。反政府の論陣では威勢のよかったきっこも、内田樹も、中国との戦争準備の大行進には何の反応も示さない。大本営御用論者に右へ倣えしてプーチン叩きに血道を上げている。辺見庸も沈黙。なぜだろうか。やはり、動物的本能で身の危険を感じ、多喜二のようになりたくないのだろうか。多喜二が所属していた左翼政党の幹部議員は、ゼレンスキー閣下の国会演説に直立不動で拍手喝采していたらしい。先輩の禍をよく学び、同じ失敗は繰り返すまいと用心深く立ち回っている風に見える。あと5年で中国と戦争本番と言うのだから、多喜二や山本宣治や岩田義道のように英雄的に時代に抗する姿を見せて欲しいが、その期待は無理なことのようだ。

アメリカの計画と予告では、あと5年で戦争本番に突入する。自由と民主主義の普遍的価値観を守るための戦争が始まる。日本が戦場になる。戦争が終わるまで、果たして無事に生きていられるだろうか。

ブログ活動ご支援のお願い
この度、読者の皆様にご支援のお願いを申し上げる次第となりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 住信SBI銀行
 支店番号 108(メロン支店)
 口座番号 6387212
 口座名  田中宏和

引き続いて多くのご支援をいただいております。感謝し、深く御礼申し上げます。