日本維新の会は18日、参院選の公約に、憲法9条に自衛隊を明記する憲法改定の具体的条文について、「9条の2」を新設し、「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と記す案を考えていることを発表しました。
消防組織や警察組織を憲法に謳わないなかで、敢えて自衛隊のみを憲法に謳い、それも、先に強い反対を押し切って集団的自衛権の行使をできるものとして米軍と一体となって行動できる様に変容した自衛隊を憲法9条に謳うことは、自衛隊の海外での活動が公然と認められることになり憲法9条の改悪に他なりません。
また、「積極防衛能力」の整備のための具体策(案)として、GDP(国内総生産)比2%への防衛費の増額や「核共有」を含む拡大抑止に関する議論の開始などを選挙公約に謳う方向で文言を調整中ということです。
米国が望むままに軍事国家を目指すという維新の極右ぶりが鮮明になりました。
しんぶん赤旗が報じました。
併せて、「維新に反省なし! 女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称議員を擁護、参院選候補の大阪市議には公選法違反疑惑」という維新のデタラメぶりを明らかにしたLITERAの記事を紹介します。
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維新 9条に自衛隊明記へ 核共有も公約へ
しんぶん赤旗 2022年5月19日
日本維新の会は18日、憲法9条に自衛隊を明記する憲法改定の条文イメージを発表し、参院選公約に、大軍拡や「核共有」の議論の開始などを明記する方向で検討していることを明らかにしました。自民党の自衛隊明記を含む「改憲4項目」と呼応し、ウクライナ危機に乗じて、「戦争をする国」づくりを進める維新の姿勢は、改憲の“突撃隊”そのものです。
条文イメージでは、「9条の2」を新設し、「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」と記しています。
藤田文武幹事長は同日の記者会見で、改憲の必要性について、「自衛隊を違憲とする政党や有識者(憲法学者)がいるなかで、憲法に自衛隊を位置付け、そうした主張の根拠を解消する必要がある」と説明。憲法審査会に議論を提起するとしました。
あわせて、党の安全保障政策に関わって、「積極防衛能力」の整備のための具体策(案)として、(1)GDP(国内総生産)比2%への防衛費の増額 (2)中距離ミサイル等新たな装備の拡充 (3)核共有を含む拡大抑止に関する議論の開始 (4)「専守防衛」の定義にある「必要最小限」に限るとの規定の見直し―など全8項目を提示。藤田氏は、「維新八策(選挙公約)に記載する方向で文言を調整中だ。具体案として議論を進めている」と語りました。
維新に反省なし! 女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称議員を擁護、参院選候補の大阪市議には公選法違反疑惑
LITERA 2022.05.19
昨年の衆院選で躍進し、一気に存在感を強めた日本維新の会。ところが今年夏におこなわれる参院選を控え、ここにきてボロが出まくっている。
まず、選挙公報に掲載された経歴に虚偽があるとして刑事告発された岬麻紀衆院議員(比例東海ブロック)。これは今月6日に「AERA.dot」がスクープしたもので、2019年に減税日本と日本維新の会が公認し出馬した参院選で、たんなる外部の講師でしかなかったにもかかわらず選挙公報のプロフィールに「亜細亜大学非常勤講師」と掲載。つまり、経歴詐称をしていたというのだ。
さらに15日には、石井章参院議員(比例代表)が参院選で栃木選挙区から立候補する予定の女性候補者の事務所開きで「女性5人が出るが年齢は1番若く、顔で選んでくれれば1番を取るのは決まっている」などとルッキズムとエイジズムを全開にした。
有権者を欺いた経歴詐称に、むき出しの女性蔑視発言──。本サイトでは繰り返し報じてきたが、地域政党の大阪維新も含め維新の不祥事を挙げだせばキリがないほど。いや、そればかりか刑事事件も枚挙に暇がなく、最近の逮捕にかぎっても、2019年5月には「ウグイス嬢」に報酬を渡したとして公選法違反で現職大阪市議が逮捕。2020年9月に衆院候補予定者で東京1区支部長が少女に下半身を露出したとして公然わいせつで逮捕。2020年12月に江戸川区議がひき逃げ容疑で書類送検。2021年2月に現職大阪府議が傷害容疑で書類送検。2021年4月には梅村みずほ参院議員の公設第一秘書が知人を車ではね殺害しようとしたとして殺人未遂容疑で逮捕(のちに不起訴)。また、維新の愛知5区支部長だった田中孝博氏は愛知リコール運動不正事件で逮捕・起訴された。
松井代表は“大学非常勤講師”の経歴をでっちあげた議員を「常勤でないのはたしか」と擁護
というのも、松井一郎代表などは普段から野党の不祥事に対して鬼の首をとったようにがなり立てているというのに、今回の経歴詐称&女性蔑視発言問題にかんし、維新は信じられないような激甘対応をとっているからだ。
実際、「顔で選べば1番」などと女性蔑視発言をおこなった石井議員に対し、維新の藤田文武幹事長は16日の会見で「最近はルッキズムやジェンダーとかについて我々は適切に言葉を選んでいくべき。石井議員にも今後そういうことがないようにしていただきたいと申し上げた」とし、「厳重注意」という大甘の対応で済ませたのだ。
しかも、注意を受けたはずの石井議員に、反省の色は皆無。翌17日にTBSが石井議員を直撃し「反省の言葉はあるか?」と問いただすと、石井議員は「いやだからもう、その撤回したこと自体、政治家としては撤回するっていうのは反省してるということなんで、反省しているから撤回。あなたが土下座しろって言うなら土下座しますよ」などとキレ気味に発言。さらに「ただね、僕が思うには、じゃあ公営掲示板のポスターってみんなよく撮れてるでしょ。顔……あれを見て選ぶ人もいると思うんですよ。だったらこういう掲示板のポスターをなくして税金を使わなくすればいい。あれ公費だからね」などと言い放ったのだ。
だが、もっと酷いのは岬議員の経歴詐称問題への対応だ。この問題について、松井代表は9日の囲み会見で「(経歴詐称があれば)一切擁護することはないので辞めてもらう」と発言。ところが、松井代表は11日になって「報酬を払っていただいてた講師でしょ。それは常勤ではないのはたしかなんでね。非常勤の講師だというふうに捉えてますけど」などと滅茶苦茶な主張を展開し、結果、藤田幹事長も岬議員に何ら処分を科さず口頭厳重注意に。松井代表は「幹事長マター」「幹事長の判断」だと言い張って逃げたのだ。
今月8日には自民党の茂木敏充幹事長が「身内に甘い政党」などと維新批判をおこなったことに対して松井代表が「ペラペラの軽い幹事長」などと応戦していたが、身内に激甘だからこそ不祥事が絶えないという意味において、維新は自民に匹敵する無反省組織と言えよう。
維新の参院選候補となった大阪市議に事前運動と居住実態がなかった問題が浮上
しかも、維新には今後大きな問題になりかねない疑惑がほかにもある。そのひとつが、夏の参院選で東京選挙区から維新の公認候補として出馬を表明している海老沢由紀・大阪市議の疑惑だ。
海老沢氏をめぐっては、いまも大阪市議であるにもかかわらず参院選に向けて東京に入り浸りで活動していることにネット上で批判が起こっているが、そのほかにも「大阪市議選に出馬した際、選挙区での居住実態がなかったのではないか」という疑惑を「FRIDAY」(講談社)5月6・13日号が掲載。公職選挙法では「選挙区内での3カ月以上の居住」を定めており、埼玉県戸田市議を当選無効となったスーパークレイジー君と同様のケースではないかと指摘している。一方、海老沢氏は同誌に対し「19年4月の大阪市議選の実施が決まった18年末の時点で、念のため、大阪市内にある実家に単身で転居していた」「市議選出馬を最終的に決断したのは数日前だが、約4ヵ月間の居住実態がある」と答えているが、これについても同誌は実家周辺の住民による「彼女が一度離婚したときに戻ってきたことはありましたが、再婚して子供ができてからは東京に住んでいます」という証言を載せている。
また、いまSNS上で話題になりつつあるのが、鈴木宗男・参院議員の“ある動画”だ。その動画は、15日に新宿駅西口でおこなわれた街頭演説会の模様をおさめたものなのだが、そのなかで鈴木議員は「どうかみなさん、東京選挙区では海老沢由紀さん、東京選挙区では海老沢由紀を、そして比例全国区には、2枚目の投票用紙にはぜひとも日本維新の会、日本維新の会と、心からお願いする次第であります!」と演説した。これは公選法で禁じられている公示前の事前運動に当たると思われるもので、同様に先日、街頭演説で投票の呼びかけをした立憲民主党の菅直人・元首相は当日に撤回をおこなったが、一方、鈴木議員は現時点で発言を撤回していないようだ。
その腐りきった実態と「他党を攻撃するだけで身内には甘い」体質が次々と露わになっている維新。しかも、自民党以上の極右思想を持っていることも隠さなくなった。こんな集団の躍進を、断じて許してはならないだろう。(編集部)