アゾフスタル製鉄所の地下に避難していた住民はようやく全員が解放されたようです。
製鉄所の地下には広大な施設が構築されていてアゾフ大隊の拠点になっていて、相当量の武器弾薬や食料が保管され、多数の住民もそこに避難していました。
住民たちがアゾフ大隊の盾にされるという見方は当初からあり、最後の段階では住民15人と5トンの食糧・弾薬を交換 というような要求が大隊から出されたようですが、住民たちが無事解放されたのは喜ばしいことです。
櫻井ジャーナルが「アゾフスタル製鉄所の住民は親衛隊の人質であり、露軍は脱出を妨害しない 」とする記事を出しました。メディアはそうしたことは報道しないので紹介します。
併せて「米国やウクライナの政府にとって不都合な住民証言を独誌が間違って報道して混乱 」という記事の冒頭部分を紹介します。
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アゾフスタル製鉄所の住民は親衛隊の人質であり、露軍は脱出を妨害しない
櫻井ジャーナル 2022.05.08
マリウポリのアゾフスタル製鉄所にウォロディミル・ゼレンスキー政権側の親衛隊が立てこもっている。ロシア軍が攻撃を手控えている理由は住民が人質にされているからだ。住民の避難をロシア側が妨害するはずはない。すでに脱出した住民は異口同音に、脱出を試みる住民をアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)が射殺するだけでなく、建物を破壊、住民や捕虜を拷問、若い女性をレイプしていると告発している。(例えば ココ や ココ だが、脱出した住民が増え、少なからぬ映像がインターネット上にアップロードされている。)
アゾフ大隊を含む親衛隊は内務省に所属、その主力はネオ・ナチのメンバー。バラク・オバマ政権を後ろ盾とするネオ・ナチは2014年2月22日にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除、クーデター政権は3月13日に内務省の機関として親衛隊を設置した。
アゾフ大隊は右派セクターを基盤としているが、この右派セクターは2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって組織されている。クーデターを成功させた右派セクターは2014年5月2日にオデッサで反クーデター派の市民を虐殺した。
その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で街に集まっていた。その一団を右派セクターが挑発、ファンの集団を反クーデター派の住民が2月から活動の拠点にしていた広場へと誘導していく。
一方、ネオ・ナチのメンバーは広場に集まっていた住民に暴漢が迫っていると伝え、労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込む。その建物の中でネオ・ナチのグループは住民を虐殺、死体を焼くだけでなく、上の階へ逃げた人びとを焼き殺すために放火したのだ。
当時の状況を撮影した映像を見ると、屋上へ脱出できないようドアはロックされ、外へ逃げた住民は撲殺されている。会館の外で撮影された映像は少なくないが、虐殺を終わった後に内部の無残な様子を撮影した映像もある。
この時に50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地の人は語っていた。
その3日後に右派セクターは「アゾフ大隊」になり、今では親衛隊の「アゾフ特殊作戦分遣隊」と呼ばれている。この武装グループを当初率いていたのがビレツキー。その拠点がマリウポリだ。
5月9日にはクーデター軍の戦車がマリウポリの市内へ突入、住民を殺している。その様子も携帯電話で撮影され、世界へ流された。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その様子を撮影した映像もインターネット上にアップロードされていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。マリウポリの住民にとってアゾフ大隊は占領軍ということになる。
右派セクターをビレツキーと組織したヤロシュをゼレンスキー大統領は昨年11月2日、ウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。ウクライナ軍もネオ・ナチの支配下に入ったということだが、そのネオ・ナチはNATOにコントロールされているはずだ。
ジョー・バイデン大統領の軍事顧問で、2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務め、ネオコン/シオニストと強く結びついているフィリップ・ブリードラブ大将は核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと主張しているが、NATOはロシアに対して好戦的だ。
それに対し、アメリカの統合参謀本部は自重している。例えばニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAはロシア軍が長距離ミサイルで攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定している。
また、アメリカ政府が宣伝している生物化学兵器による「偽旗攻撃」について、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。
(後 略)
米国やウクライナの政府にとって不都合な住民証言を独誌が間違って報道して混乱
櫻井ジャーナル 2022.05.08
マリウポリのアゾフスタル製鉄所から住民が脱出している。そのひとりであるナタリア・ウスマノバの証言をシュピーゲル誌は3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、すぐに削除してしまった。この事実はドイツの日刊紙ユンゲ・ベルトによって報道されている。
シュピーゲル誌はこの映像をロイターから入手したとしているが、ロイターが流した映像は1分間。アメリカのジョー・バイデン政権やウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権にとって都合の悪い部分を「編集済み」だった。日本のマスコミが垂れ流しているゼレンスキー政権の主張もそうした種類のものだが、そうした話が事実に反していることを明らかにするウスマノバの証言をシュピーゲル誌は伝えたのだ。脱出したほかの住民と同じように、彼女は西側有力メディアが広めている話を否定したのだ。
製鉄所で働いていた彼女はアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)が住民を2カ月間掩蔽壕へ閉じ込め、恐怖の生活を強いたとしている。ロシア軍が設定した脱出ルートの存在は知っていて、脱出しようと試みたが、アゾフ大隊が許さなかったという。ほかの住民と証言と一致している。西側のメディアはこうした事実を無視しようとするだろうが、すでに少しずつ外へ漏れ出ている。
(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。