2022年5月4日水曜日

憲法施行75年 今こそ9条の力を生かす時だ

 第二次大戦後作られた日本国憲法が施行されてから5月3日で75年になりました。

 世界に類例のない平和憲法を75年間守り続けてきたことは誇るべきことですが、時あたかもシアのウクライナ侵攻が行われているため、改憲勢力は「9条で平和が守れるのか」などと煽り、自公政権や日本維新の会「敵基地攻撃能力」の保有を主張しています
 しかし軍事力に軍事力で対抗するというのは、結局果てしない軍拡競争の道に迷い込むしかないもので、国民が戦後築いてきた9条の精神・平和の努力に真っ向から反する、愚かな選択です。
 しんぶん赤旗は「憲法施行75年 今こそ9条の力を生かす時」とする主張で、「国家間の争いを絶対に戦争にしない  これが9条を持つ国の責任であり、そのために知恵と力を尽くすのが政治の使命あるとして、「憲法前文のめざす崇高な理想と目的達成に向けて力を尽くす時あると述べました。
 要するに軍備の拡張では決して解決にはならず、平和は近隣諸国をはじめ諸外国との友好関係を維持することでしか維持できず、いたずらに相手国を挑発したり威嚇したのでは国の安全は保てないということです。
 また共産党の小池晃書記局長は憲法記念日にあたり発表した談話で、「戦争を起こさせないために、9条を生かした外交に力を尽くし、平和な東アジアをつくることこそ政治の責任である」と述べ、具体的に「9条を生かして、ASEAN(東南アジア諸国連合)との連携を強化しながら米露を含めて東アジアを平和な地域にしていくという外交ビジョンを提案しています。
 逆に日米間の集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力の保有を標榜することほど危険なことはありません。もはや「核抑止」は「無力」で、「核共有」などという議論は際限ない核軍拡と核戦争の危険を増大させるだけです。小池氏は、核兵器の使用を止める唯一の保障は全世界から核兵器を廃絶することしかないと述べています。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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主張憲法施行75 今こそ9条の力を生かす時だ
                        しんぶん赤旗 2022年5月3日
 日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから、75年を迎えました。アジア諸国民と日本国民に甚大な犠牲をもたらした侵略戦争への深い反省の上に憲法は制定されました。前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」と決意し、9条で戦争放棄・戦力不保持を掲げています。ロシアのウクライナ侵略という暴挙によって第2次世界大戦後の国際秩序が大きく揺らぐ中、75年前に日本が世界に向かって発信した平和主義の原点に立ち返り、改憲を許さず憲法を守り生かす取り組みを強めることが一層重要になっています。

憲法学者の記した覚悟
 戦後日本を代表する憲法学者の一人、芦部信喜(あしべ・のぶよし)・東京大学名誉教授(1923~99年)が、憲法公布(46年11月3日)直後に執筆した論文「新憲法とわれらの覚悟」が昨年、見つかりました。同氏の出身地・長野県駒ケ根市内の農家の土蔵に保管されていたことを信濃毎日新聞(昨年7月16日付)が「『幻の原稿』発見」と報じ、雑誌『世界』が今年5月号に論文の全文を初めて掲載しました。
 「(国民の責務は)この憲法を生かすことを真剣に考えることである。そしてそれは我々の『主体的意識の覚醒』の一語につきる」「誠に平和日本の建設の成否 したがって新憲法の成否は、一にかかって国民の資質にある」
 芦部氏は東大入学直後に学徒動員され、敗戦後は郷里で過ごし46年秋に復学しました。論文はその頃のもので、新憲法を国民が主体となって生かす努力が欠かせない点を繰り返し強調しています。
 意識にあったのは、戦前のドイツです。民主的で先進的とされたワイマール憲法がナチスによって破壊されたことを挙げ、「この歴史の悲劇を対岸の火災視することはできない」と警告しています。これらの記述は、現在の日本への重い問いかけになっています。
 憲法12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と明記しました。憲法施行以来、国民は自由・人権保障だけでなく、憲法の各条文を生かす「不断の努力」を重ねてきました。9条を守り生かす世論と運動は、日本が直接戦闘行為に参加することを許さず、自衛隊は一人の戦死者も出していません。
 ロシアのウクライナ侵略に乗じた9条改憲と大軍拡加速の動きは、国民が戦後築いてきた平和の努力に真っ向から逆らう企てです。「軍事力には軍事力」の発想は、歯止めのない軍拡競争への道です。国家間の争いを絶対に戦争にしない―これが9条を持つ国の責任であり、そのために知恵と力を尽くすのが政治の使命です。東アジアに平和をつくるため、9条を力にした積極的・能動的な外交への切り替えが必要です。

崇高な理想達成にむけて
 「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」。憲法前文の一節は、世界が大きな岐路にある今だからこそ心に刻みたい言葉です。二つの世界大戦の惨禍を経てつくられた国連憲章に基づく平和秩序を回復するために、日本は役割を果たさなくてはなりません。憲法前文のめざす「崇高な理想と目的」達成に向けて力を尽くす時です


きょう75回目の憲法記念日
                        しんぶん赤旗 2022年5月3日
 3日は75回目の憲法記念日です。今年の記念日は、ロシアによるウクライナ侵略によって国際社会の平和秩序が大きく揺らぎ、戦争か平和かが問われる中で迎えました。
 改憲勢力は「9条で平和が守れるのか」などとあおり、自公政権や日本維新の会が「敵基地攻撃能力」の保有を主張しています。自民党は、「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と名称変更し、対象をミサイル基地に限らず「指揮統制機能等」に拡大することや5年以内に軍事費をGDP(国内総生産)比2%にすることを求める提言を岸田文雄首相に提出しました。
 自民党と日本維新の会は9条改憲をめざし、国民民主党を巻き込んで衆参憲法審査会で改憲の議論を進めようとしています
 日本を「戦争する国」に変えていくための9条改憲は許されません。9条を生かした平和外交によって、信頼を通じた平和な東アジアをつくることが政治の責任です。
 日本共産党の小池晃書記局長は憲法記念日にあたり談話を発表。「9条に示された平和主義を守る」とともに「憲法が国民に保障する豊かな権利を全面的に実現する政治、憲法を生かした政治を実現するために力を尽くす」と表明しました。
 「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし」を掲げて「2022憲法大集会」がきょう、東京・有明防災公園で開かれます。


憲法施行75周年にあたって 日本共産党書記局長 小池晃
                       しんぶん赤旗 2022年5月3日
 日本共産党の小池晃書記局長が3日の憲法施行75周年にあたって発表した談話は次のとおりです。

 一、今年の憲法記念日は、ロシアのウクライナ侵略に対して、世界が厳しい批判の声をあげ、戦争か平和かが問われる中で迎えた。日本共産党は、ロシアの野蛮な侵略を断固糾弾し、「国連憲章を守れ」の一点で世界が団結することをよびかける。この危機に乗じて、改憲勢力が「9条で平和が守れるか」などとの大合唱を行っていることは重大である。「軍事対軍事」の悪循環こそ、平和に逆行し、国民の生命と安全を危険にさらすことになる。戦争を起こさせないために、9条を生かした外交に力を尽くし、平和な東アジアをつくることこそ政治の責任である。9条破壊を許さないために、平和を希求する広範な方々とともに力を合わせる決意である。

 一、このときとばかりに、日本を「戦争する国」につくりかえる動きが露骨になっている。自公政権や維新の会などは、「敵基地攻撃能力」などと叫び、自民党は「反撃能力」の名で、「敵基地」にとどまらず、「指揮統制機能等」まで攻撃する能力の保有と、5年以内に軍事費をGDP2%以上にする大軍拡を提言した。「敵基地攻撃」は、集団的自衛権を容認した安保法制のもとで、日本が攻撃されていなくても自衛隊が米軍の相手国中枢に攻め込むもので、相手国からの猛反撃を呼び込む全面戦争への道となる。「専守防衛」を投げ捨て、自衛隊を変質させ、大手を振って「戦争する国」に変える、この道を推進するための9条改憲に断固として反対する。

 一、日本共産党は、9条を生かして、ASEAN(東南アジア諸国連合)との連携を強化しながら東アジアを平和の地域にしていくという「外交ビジョン」を提案している。ASEANは、東南アジア友好協力条約(TAC)を締結し、あらゆる問題を平和的な話し合いで解決する枠組みを粘り強くつくってきた。そして、日本、米国、中国、ロシアなども参加する東アジアサミットを平和の枠組みとして強化し、東アジア規模での友好協力条約を展望するという大構想を示している。これは、既存の枠組みを活用し、発展させるという実現可能な道である。軍事同盟のように外部に仮想敵をつくる排他的アプローチでなく、包括的なアプローチで、東アジアを平和と協力の地域にしていく外交が日本政府に求められている。

 一、プーチン大統領が核兵器の先制使用を言明しているもとで、核兵器の使用を許さないという声を世界中からあげていくことが求められている。そのために日本政府が力をつくすことは被爆国政府としての責任である。
 安倍元首相や維新の会が「核共有」を主張していることは被爆国の政党、政治家にあるまじきことである。核大国の指導者が核兵器の先制使用を言明するもとで、「核抑止」はいよいよ無力であり、「核共有」などという議論は、際限ない核軍拡と核戦争の危険を増大させるだけである。核兵器の使用を止める唯一の保障は全世界から核兵器を廃絶することしかない
 憲法9条は、日本が再び侵略戦争を起こさないという決意とともに、広島、長崎の言語に絶する悲惨な体験をふまえて人類を破滅に追いやるような戦争を再び起こさないという決意が込められたものである。唯一の戦争被爆国である日本政府が核兵器禁止条約に参加することを強く求める

 一、日本共産党は、9条に示された平和主義を守るとともに、「幸福追求権」(13条)、「生存権」(25条)、「財産権」(29条)など、憲法が国民に保障した豊かな権利を全面的に実現する政治、憲法を生かした政治を実現するために力をつくす決意である。